1つ前の記事に書いた通り、仕事のためにアーカイブなしの「マタ・ハリ」配信2日目を諦めた日曜日(6月27日)。
もう1つ、興味引かれた配信がありました。

 

稲垣吾郎ちゃん主演の「サンソン」。

こちらは翌日午前3時までアーカイブありということで、帰宅後にギリギリ全部観ること可能!と思い、ポチッ。

 

 

チケット争奪戦に参加もしていなかった舞台(どうせ取れないだろうと思ったんだけど、実際はどうだったんだろう?)。

観られて良かったです。

筋が面白く、脚本が良い。演出の緩急に惹きつけられ、テレビ画面を通して観ても、客席にいるような緊張感がずっと持続していました。

さすがは中島かずきさん脚本、白井晃さん演出。

 

フランス革命を題材にした本はいろいろと読み、舞台は「ベルサイユのばら」(←生では観たことないけど映像で)、「マリー・アントワネット」、「1789」と様々に観ているので、違う視点から描かれるこの時代が興味深い。

処刑人サンソン…名前だけは知っていて、「イノサン」という漫画があること、ミュージカル化されたこと(パリ公演が中止になったことも)は耳にしていたけれど、それ以上の知識はなく、初めて彼の人生を知りました(観劇後に確認のためwikiも読んだ)。

 

前述の本や舞台でおなじみのキャラクター・・・マリー・アントワネット、ルイ16世、デュ・バリー夫人、ギヨタン博士、ジャンヌ・バロア、ロペスピエール、サンジュスト、ナポレオン・・・など次々に登場。意外な関係性もあり、これまでのイメージと違う人物像が新鮮。

特に中村橋之助さんのルイ16世が印象的でした。「ポーの一族」の時よりずっと良かった。気品、優しさ、知性・・・この国王なら、救おうと必死になるサンソン(ナポレオンに救出を依頼というのはいくら何でも荒唐無稽と思ったけど)の気持ちに共感します。

 

逆に人物は知らなかったけれど、演じている役者さんを見て彼も出てたんだ~!とテンション上がったのはトビアス・シュミットの橋本淳くん。元スーパー戦隊(マジ・レッド)で1年間成長を見ていたから親しみを持っているのだけど、私が2.5次元でもミュージカルでもない話題のストプレを(劇場やテレビ劇場中継で)観ると遭遇率高い(「月・こうこう、風・そうそう」、「キネマと恋人」、「クレシダ」、「カリギュラ」・・・)。本当に良い役者になったなぁ~と嬉しく思っています。

 

そして、一番の見どころは、やはり主役の稲垣吾郎ちゃんだけど・・・不思議な魅力。

若い時代から晩年まで描くこの舞台で、年齢の変化の表現に長けてるわけではなく、別人になっているというわけでもなく、稲垣吾郎のままだなぁ~と思うのだけど、その存在感が凄くて、セリフ、語る思想に説得力あり、目が離せない。これが国民的アイドルの底力か~。

配信でこれだから、生だったらさらにオーラすごいだろうなーと思いました。

 

配信終了後、ラストに流れた字幕メッセージ。

本当は配信するつもりはなかったけれど、東京公演中断、大阪公演中止・・・大勢の人が観られなかったことから配信を決断した。舞台は生で、観客が入って初めて完成するものだから、次は劇場に来てほしい・・・皆さんの想いが痛いくらい伝わりました。

今は、何とかコロナ禍を生き延びて舞台を繋ぐことしかできないけれど、その後、日常が戻ったときに演劇はどうなるのか?観客は戻るのか?苦肉の策の配信は演劇にとって諸刃の剣だということを知りながら、それに頼るしかない現状。

配信で演劇の楽しみを知った人たちがコロナ後、劇場に足を運び、演劇が栄える・・・そんな未来を願っています。