1週間前の4月13日、ソワレ公演を観劇しました。

 

般若心経(英語ではハートスートラ)を題材にしたミュージカル・・・というよりショーに近いかな?

流れとか、盛り上がりとか、もう少し・・・と思うところもあるけれど、

ブロードウェイで成功するようなアジアのミュージカルを作ろう・・・というミュージカル座の意欲、力の入れようはビシビシと感じました。

 

現代の若い女性、ゆう(小此木まりちゃん)が般若心経を学ぶ・・・という枠組みで、

お釈迦様の弟子、舎利子(吉武大地くん)が、ゆうに釈迦の物語を伝え、般若心経の教えを解説し、ナイトスタンド・ブディストのパーティに案内し、般若心経の魔除けの力を表す話(耳なし芳一、三蔵法師のエピソード)を語ります。

舎利子は現実の存在ではなく、ゆうの頭の中の物語・・・として考えても良いわけですね。

パンフレットのハマナカトオルさん(脚本、作詞、演出、振付)の言葉によると売りはストーリーではなく、アジアの思想や哲学で、それに近いものとして詩集を原作とした「キャッツ」を上げられていました。

「キャッツ」の場合、たしかに様々な猫の生態を羅列しているのだけれど、それだけではなく、犯罪猫に長老猫がさらわれるハラハラの展開や、グリザベラの昇天というクライマックスがあるので、ストーリーは希薄でもドラマティック。

それに比べると、「ハートスートラ」は、大きな起伏はなく、ナンバーの羅列・・・と感じたので、そこは、まだこれからかなぁ?と思います。

 

ただ、その中でも、ゆうが般若心経を学ぼうと思ったきっかけは、亡くなった父が最後に般若心経を読んでいたので、父が最後に思っていたことを知りたかった・・・という告白、舎利子を(若いころの)父のイメージに重ねていた・・・という言葉には、ウルっとしました。

 

アンサンブルの皆さんもレベル高く、いつもミュージカル座に感じるような素人っぽさはなかったです。

特に、新体操選手ばかり集めたと思われる五蘊ダンサーズは見事で、六行会ホールの狭い舞台で巧みにリボンを操る華麗な動きに目を見張りました。

 

印象に残った出演者は、

 

小此木まりちゃん:般若心経を学ぶヒロイン、ゆう。真っ直ぐで力強くのびやかな歌声に、彼女の真摯な生き方と父親への愛情が感じられました。

 

吉武大地くん:お釈迦様の弟子で、この舞台では語り手となる舎利子。大ちゃんの温かい歌声と、ちょっと浮世離れした雰囲気がピッタリでした。基本、着物っぽい衣装だったけど、ナイトスタンド・ブディストの場面のブラック・スーツはESCOLTA(現在、活動休止中)のコンサートを思い出して、ちょっと嬉しかったです。

 

高野絹也さん:頭を丸めてお釈迦様や耳なし芳一を演じている姿を見て、ソフトな歌声を聴き、昔、「レミゼ」でフィイを演じていた方だと思い出しました。やっぱりフィイって歌上手枠だったな~。

 

萬谷法英さん:極道から三蔵法師まで・・・非常~に幅広い役を演じられ、どの役でも目を引いていました。

 

谷口浩久さん:ロバート・トバイアスを結成され、最近は歌と芝居の人・・・というイメージだったので・・・二幕の踊る菩薩様には度肝抜かれました。そういえば谷口さんって、ストリートダンサー出身でしたねー。

 

白木美貴子さん:昔、「レミゼ」のエポニーヌ&コゼットを観た記憶がありますが、長いキャリアの方。一時期、四季に出演されていて(シーズンメンバーだったのかな?)、最近、また外部での活躍を始められ(リトル・ウィメン」と「キンキー・ブーツ」観ました)たのですね。この舞台では花の女性の美しい歌声に惹きつけられました。