藤倉梓さん作、演出のソング・サイクル・ミュージカル「Sign」

大好きな舞台で、DVDも購入して繰り返し見ています。

違うキャストでも観たいと思い、再演を心待ちにしていたので

いち早く初日に足を運びました。

 

前回の感想↓

http://ameblo.jp/apple-tulip/entry-12006912323.html

 

今回の出演者(敬称略)

麻田キョウヤ/西川大貴/松村栄司
丹羽麻由美/中村萌子/田宮華苗

 

曲も2曲入れ替わり、装置、衣装、演出も一新。

もちろん、より良い舞台を目指しての変化だとは思うのですが・・・

 

思い入れのある舞台だけに、変わって残念なところも・・・

 

特に好きだった和のナンバー2曲の衣装が変わってしまったことへの

戸惑いが大きく、なかなか集中できなくて・・・

 

1曲は中村萌子ちゃんが歌った「八百屋お七」。

前に私が生で観たのは水野貴以ちゃん。

DVDではタミ(田宮華苗)ちゃんが演じているのを何度も観ています

(タミちゃんは今回も出ているけれど別のパートを担当)。

前回は素足に、着物を纏って登場し、着崩れた感じが色っぽかったのだけど・・・

今回は基本の衣装(白トップス、黒パンツ)の上に

赤っぽい腰下くらいの長さの羽織のようなもの?を羽織っていただけで、

祭りの法被みたいに見えてしまって・・・。

上半身だけ見ていれば着物に見えると集中しようとしたけれど、

どうしてもパンツスタイルが目に入り・・・

お祭りの人?太鼓叩く人?とか想像が止まらず、

せっかくの中村萌子ちゃんの歌声が全く頭に入らなかったという、

何とも残念な結果に・・・。

 

もう1曲は「夢追い」=竹久夢二とお葉の場面。

前回は2人とも和服だったし、今回、お葉のパートを演じた

丹羽麻由美さんが和風のお顔立ちだったので、

お葉さんの和服姿は綺麗だろうなぁ・・・と期待していたのに・・・。

基本の白トップス&黒パンツの衣装の上に黒いコートを着て、

大きな旅行鞄を持った丹羽さんが登場して・・・えぇ~?

夢二パートの西川大貴くんも洋装・・・。

でも、この2人、本当に夢二とお葉さんだったのかな?

台詞も変わっていて、丹羽さんが夢二のことを「バガボンド」って言った

(前回版にはなかった言葉)のが、お葉さんらしくないと引っ掛かり、

これはもしかして、夢二とお葉に自分たちの関係を仮託している、

もっと後の世代の画家とモデルのカップルとも考えられる?

そう考えると・・・前の八百屋お七も、

終盤の硫黄島指揮官家族の話(軍服、もんぺ、学生服ではなかった)も、

基本衣装+αくらいだったのは、

現在の役者が様々な時代の人物を演じているということを前提に、

それぞれの人物と気持ちを共有する現代人・・・を

全面に出したとも思える?

そんなことを考えつつ、夢二とお葉さんの場面も

前半は集中できなかったのだけど、後半、引き込まれました。

前回公演の夢二はお葉を後ろから抱きしめ、引き留めようとしていたのだけれど、

今回の夢二はお葉に触れることはなく、

口では「行ってしまうのか?」と言いながら、

苦しみ嘆くお葉の姿を一心不乱に描き、スケッチブックに残そうとしている?

苦しむ彼女を画題として見ている画家の本能?がクローズアップされて怖・・・っ!

まさしく歌詞の通り「あなたは芸術を求め/私は愛を求めた/交わらない道」で、

前回よりよりずっと壮絶さを感じてしまったので、

もう和服でないことは気になりませんでした。

前より深く濃くなったシーンだと思います。

 

他は感じたこと、好きなところなど、アット・ランダムに。

 

新しい装置、東京の風景が繊細。白い箱から青枠の箱?に変わったのは、洗練された感じで好き。

 

最初と最後の「Send Me a Sign」・・・演奏が止まってアカペラで6人の声だけで歌われる瞬間、凄い迫力。

 

松村栄司くんの忠犬ハチ公のナンバー。2年前に観たときはハチ公の話とわからず聞いていたけれど、今回は初めからわかっているので、先生との出会いの場面からもう涙が・・・。「毎日♪毎日♪」のリフレインに号泣。

 

タミちゃんが歌った新曲のカードマジックのナンバー、カードと歌詞がピッタリ合って鮮やか。

 

西川大貴くんが歌った新曲は、様々な詩人の名前が出てきたけれど、主役は尾崎豊さんだったのかな?大貴くんの歌は、これも、最初のコーヒーの歌も、何かグルーブ感?あって新鮮。

 

中村萌子ちゃんの「で、ミゼラブル」。

前任のタミちゃんや貴以ちゃんほど弾けられないのでは?と思ってたけど、新しい歌詞(設定?)も加わって面白かった。

今までは離婚した主人公が元夫とその今カノと共演するというだけで、3人ともアンサンブルっぽかったけど、今回は主人公はアンサンブルで、今カノがプリンシパル(たぶんコゼット?)と差がつけられた設定。

ウェディングシーンにも彼女が花嫁で、自分は参列者・・・と複雑なものを感じている(「言葉にならない痛みと悲しみ」という部分も)?

加えて今カノ役が、「で、ミゼ」の第一人者?タミちゃんなので、さらに盛り上がって・・・。

ラストの旗振りは、客席も盛り上がり、ミュージカルファンの「レミゼ」愛を感じる。

 

硫黄島の指揮官の歌は麻田キョウヤさん。死を覚悟した父親の手紙だから、悲しい歌だと思っていたけれど、穏やかで明るい曲調と透明感。萌子ちゃん演じる奥さんも、優しくおっとりした雰囲気、「お世話になりました」が心に沁みる。

 

ラストの「Send Me a Sign」前のタミちゃんソロが心に刺さった。歌詞の一言一言が深く心に入ってきた感じ。

 

もう一度、4月2日の千秋楽に行くので、その時はもう少しまとまった感想を書きたいと思います。