上差し#本当に体験した怖い話 

実話・人魂を見た話③の続き・・・

 

 

障子から飛び出てきた人魂は

ゆっくりと真っすぐに横に動いて行った。

 

 

初めてみる人魂

 

私は布団から目だけを出して静かにじっと

人魂が前を通り去っていくのを見ていた。

 

 

ユラユラと青く光る人魂は

サンルームのある方へ行き

 

 

吸い込まれるようにガラス戸を

通過して行ってしまった。

 

 

恐怖で口の中がカラカラに乾き

脂汗が出ていた。

 

母を呼ぼうかと思ったがあまりの恐ろしさに

声も出ずそのまま頭から布団を被った。

 

気がつくと朝を迎えていた。

 

 

朝起きると私は既に起きていた

母を探した。

 

 

あんぐり「ママ、ママ!」

 

 

リビングで母の姿を見つけると

 

 

私は昨日の夜の話を

母に話した。

 

 

あんぐり「昨日トイレに行った後 和室の

障子から青い人魂が1個出来てたんだよ!

サンルームの方へ消えていったんだよ!」

 

すると母はハッとしたような顔をして

 

真顔「やっぱり!お兄さんが来たんだわ。」

 

と言ったのだ。

 

というのも同じ晩あの後母も

不思議な体験をしたそうなのだ。

 

 

私がトイレから戻った後

母もそろそろ寝ようと月明りが照らす

リビングの窓を閉めようと立ったそうだ。

 

 

すると窓が音もなくスーっと目の前で

10センチほど開いたのだそうだ。

 

 

 

慌ててこんな夜中に誰かが悪戯でも

しているのかと思い窓の外を覗いたが

誰もいなかったそうだ。

 

 

その窓の外側は道路になっていて誰かがその瞬間に

見を隠す場所などなかった。

 

 

その窓は取り付けが悪く

一度上に持ち上げないと

開ける事も閉める事も

困難な重たい窓だったが

まるで神業のように音もなく

開いたのだという。

 

母はこの時「お兄さんが戻ってきた」と

感じたそうだ。

 

そしてほぼ同じ時間に人魂を見た

私の話を聞いてそれは確信へと変わり

 

 

真顔「お盆だから

きっとお兄さんが来たのよ。」

 

と嬉しそうに笑った。

 

・・・・・・・・・・

 

それから何年もお盆の時期になると

父が車を運転し祖母の家を訪れた。

 

ある年のお盆もまた不思議な事が起こった。

 

叔父の死から何年か経った頃、祖母が

小さな店を構え「小料理屋さん」を

趣味程度に営んでいた。

 

 

毎年 お盆の時期に実家に戻った母は

夕方になると祖母の店を手伝いに

行くことが多くなった。

 

 

ある日の夕方

 母が祖母の店に行ってくる

というので

私は玄関まで母を見送りに行った。

 

 

真顔「じゃ お留守番お願いね」

 

あんぐり「行ってらっしゃい!」

 

母が鍵を手に玄関から出ようとした時

 

 

カシャンハッ

 

 

と鍵が1つ床に落ちた。

 

と 母が驚いたような声を上げた。

 

真顔あせる「え!なんで鍵が落ちるの!?」

 

母は落ちた鍵と他のキーホルダーに

付いている鍵を同時に私に見せた。

 

 

真顔あせる「ねぇ、appleちゃん、

この鍵落ちる訳ないよね?」

 

落ちたその鍵は

落ちるはずがないものだった。

 

鍵に割れ目がある訳でもキーホルダーが

抜ける構造のものでもなくしっかりと紐で

結ばれているものだった。

 

それなのに

まるで神業のように1つだけ

落ちてしまったのだ。

 

母は何度も何度も落ちた鍵を

私に見せ確認させた。

 

真顔ガーンなんだか気味が悪いわ。

虫の知らせかもしれないから

今日はお財布と鍵を置いていくわね。」

 

 

母はバックの中からカードも入った

長財布と手帳を出し小銭だけ入った

小さな巾着だけを持ち出掛けて行った。

 

 

なぜ母が「気味が悪い」と言ったのか。。。

 

 

それは落ちた鍵が私達の

「自宅の鍵」だったからだ。

 

 

母の直観は当たった。

 

 

 

夜10時を過ぎた頃だろうか。。。

 

2階で横に寝ていた父がいきなり飛び起きると

ズボンを穿き急いで階段を下りて行った。

 

この時外の方で女性の叫び声が聞こえたような気がした。

 

訳がわからないが私も怖くなり父の後を追い

階段を下りて行った。

 

 

母は祖母が先に帰った後

店の後片付けをし 夜道を歩いて

家に向かってたのだという。

 

その時

怪しげな自転車が近づいてきて

母はハンドバックを

ひったくられたという。

 

 

母はその衝撃で転倒してしまったが

 

 

すぐに起きて

 

真顔「泥棒! 泥棒!」

 

と叫びながら犯人を追っていたのだ。

 

 

その声に気づき父も外に出て行ったが

結局犯人を捕まえる事は出来なかった。

 

 

翌日 

数人のお巡りさんが来て

再度現場検証を

したそうだ。

 

 

犯罪者は必ず現場に戻る

 

という話を聞くが

その日容疑者に酷似した赤い

帽子を被った怪しい男が自転車で

遠くからその場を眺めていたという。

近所の人から得たが情報だが

犯人は捕まる事はなかった。

 

 

この時も母は

 

 

真顔「お兄さんが助けてくれたんだよ!」

と言った。

 

あの時 自宅の鍵が落ちなければ母は

ハンドバックごと犯人に

全部取られていただろう。

 

お財布やお金が取られる事より

怖い事は

家の鍵や個人情報が載っている

健康保険証などの書類も入っていた。

 

もしこれが犯人の手に渡っていたら

被害はもっと大きなものになっていたに

違いないと母は震えていた。

 

 

 

人魂はあれ以来一度も見ていない。

 

 

 

科学的には証明出来ない不思議な事が

起きる事がある。

 

 

それが故人からのメッセ―ジだと気づく時

 

 

私達は今でも近くで見守ってくれていると

実感し心震えるのだ。

 

 

 

 

りんごりんごりんご

(背景一部お借りしています)