本当に体験した怖い話
実話・人玉を見た話①の続き・・・
その夜 母と私は
玄関から入って
リビングを通った先にある
1階の和室に泊まった。
父は2階にある和室
(ゲストルーム)で寝ていた。
マンション住まいの私は
祖母の一軒家は大きく感じ
迷路のようで面白く感じていた。
色々な部屋に行っては
駆けずり回っていた。
1階奥の和室の部屋から
サンルームの部屋を抜け
祖母の部屋に入り
階段とトイレの間に出る
小さなドアを開けるのが
一番のお気に入りコースだった。
少し広めなサンルームは
雨の日など洗濯物も干せる
スペースがあった。
引き戸がありそこから
外に出る事も出来た。
窓から下を覗くと
犬小屋があり祖母が飼っていた
大きな雑種の犬がいた。
サンルームから祖母の部屋へと
続く襖があるので
私はそこからよく祖母の部屋に
入った。
祖母の部屋は他の部屋よりも
小さく薄暗かった。
迷路の様で面白いコース
なのだか祖母の部屋は
子供の頃の私には何か
怖さを感じる空間だった。
いつも通過するのみでそこに
長く居る事が出来なかった。
怖く感じる大きな原因は
額縁に入った
大きなモナ・リザの絵画だった。
5畳ほどしかない祖母の小さな部屋には
似合わないほどの大きなモナ・リザ画。
ドアの真上に飾ってある
大きなモナ・リザが上から
覗いているように感じが
とても恐ろしかった。
祖母の部屋から出ると
トイレ、脱衣場があり
脱衣場の奥には
タイル張りの昭和風な
お風呂があった。
祖母の家の中で怖い場所というのが
もう一つあった。
脱衣場のすぐ横には
2階へ上がる階段があった。
マンション暮らしの私にとって
2階は未知の世界
なんとなく上で
お化けが待っているような
予感。。。
そんな怖さもあったが
2階の怖い場所というのは
一番奥にある「応接室」であった。
応接室は家を長く空ける叔父が
実家に帰ってきた時に
使っていた
「叔父お気に入りの部屋」
でもあった。
この叔父の部屋に入る時が
一番怖く感じたのだ。
勇気を振り絞って
応接室のドアを開けると
叔父の部屋はいつでも
綺麗に整頓されていて
他のどの部屋とも違う
空気が流れていた。
叔父の部屋には沢山の
「ボトルシップ」
が置かれていた。
船乗りだった叔父の趣味は
「ボトルシップ」を作る事で
実家に戻ってくる事があると
コツコツと作っていたそうだ。
叔父の作った
10個以上のボトルシップ。
幼い私は叔父の死の悲しみの深さを
理解することは出来なかったが
形見となってしまった
このボトルシップを見る度に
もうこの世にはいない
叔父の体温を感じる気がして
その得体のしれない感情が
湧き起こる度に恐ろしくなった。
2階の和室で眠る事はあっても
積極的にこの応接室に入る事は
なく必要があって入った場合でも
すぐに部屋から出てきたものだ。
・・・・・・・・・・・・・
その夜 私は1人
1階の奥の和室で寝ていたが
夜中トイレに行く為に
目が覚めてしまった。
横を見ると
寝ているはずの母の姿がなかった。
襖を開けると
なぜか真っ暗なリビングの中で
母が仏壇の前に座っていた。
蝋燭の火の明かりだけで静かに亡き兄と
会話をしていたようだった。
「おトイレに行ってくる」
母にそう伝え早足でトイレに向かった。
子供にとっては夜のトイレは
怖いものであるが特に祖母の家のような
日本家屋は廊下も暗く怖さ倍増だった。
急いで戻ると母はまだ仏壇の前に座っていた。
「ママ、まだ寝ないの?」と聞くと
「もう少しで寝るから貴方は先に
寝ていなさい」と母は言った。
布団に入ったがその後
目が覚めてしまい
なかなか眠れなかった。
ふと右側の障子に目をやると
月の光が青白く映っていた。
ぼんやりとその青白く光る障子を見ていた時
信じられない事が起こった。
ピョン!
と障子から飛び出してきたかのように
青白い人魂が現れたのだ。
ひ、人魂!?
初めて見る15センチ程の人魂は
ガスの炎のように青く
宙に浮いていた。
本当に体験した怖い話
実話・人魂を見た話③へ続く・・・
(背景一部お借りしています)