ゾっとする話ではなく
ゾっとした話です。
私がまだ子供だった頃
毎年 夏になると
お盆の時期に合わせて
祖母の家に家族で遊びに行きました。
今になってみると
「え?そんな事していいの?」
と思ってしまいますが
祖母の住んでいた地方では
ちょっと変わったお盆の風習が
ありました。
それはお盆の時期お供えした
他人様のお供え物
を頂いてくるというもの。
自分がお供えしたものを
持ち帰る・・というのは
わかりますが
自分のお供えしたものは
そのままで
他所のお供え物を
頂戴してくるというものです。
毎年お盆の時期になると
祖母の家に集まった従弟達と共に
お供え物を頂きに
夜遅くなってから
お墓に向かいました。
(それも子供達だけです。
今じゃそんな事出来ないので
まだまだのんびりした昭和の時代
だったんですね)
多分時間は夜の7時8時
といったところだったでしょうか。。。
お墓は真っ暗でした。
夜のお墓に入るなんて
肝試しですよね。
本当〜に本当の
リアル肝試し大会です。
「みんな離れないで
一緒に行動して!」
一番上の従弟のお兄ちゃんが言いました。
夜のお墓は真っ暗なので
懐中電灯を持って歩くのですが
昼間見る感じとは全く違います。
(お化けなんかいない!)
と心に言い聞かせても
やっぱり怖いものです。
この時期は夜のお墓に
同じようにお供え物を
頂きにくる子供達の姿を
チラホラ見る事が出来
その光景は
夏の風物詩のようでした。
お供え物が沢山並んである
お墓を見つけると
いくつか頂き家に持ち帰っていました。
他人様のお供え物を
勝手に頂くなんて
(ちょっと非常識じゃないの?)
と思ってしまいますが
この地方独特のものだったのかも
しれませんね。
戦後、物が不足していた時代に
お盆の時期このような風習が出来て
助け合ったのかもしれません。
他人様のお供え物を頂くけれど
誰かの為に
自分達のお墓のお供え物はそのままに
しておくようになっていました。
お供え物は色々なものが
ありましたが
封が開いているものや
生ものは持って行かず
まだ開いていないお菓子や
缶ジュース、果物
などを頂いたりしました。
頂く時は必ず
仏様に
「頂戴します」
と手を合わせて。
お供え物を頂き
家に持ち帰って
食べる・・という事が
恒例行事でした。
ある年のお盆
従弟達と集まって
またお供え物を頂きに
お墓に行きました。
この年のお盆は
いつも頂く場所ではない方へ
向かってみました。
裏側の草むらから通れば
すぐにお墓に着けると思い
懐中電灯を照らしながら
草をかき分けると
ゾッっとしました。
いつもこの時期には
お供え物を探す子供の姿しか
見ないのに
この夜は
草むらにお婆さんが
しゃがみこんでいました。
懐中電灯の光が暗闇の中に
しゃがんでいた老婆の顔に
ピンポイントに当たり
暗闇から
老婆
浮かび上がる〜
で 出たぁ〜
夜の墓地で
子供達の大きな叫び声が
響き渡ったはずです。
このお婆さんも
お供え物を頂戴しに
来ていたんだと思います。
この風習
今でもまだ
残っているのかは
わかりません。