棺の中で眠る息子はまるで寝ているかのような綺麗な顔だった。

 

まだ子供だからだろうか。

 

肌はみずみずしくて触ると福耳の耳たぶもプルプルしていた。

 

ただ違うのは冷たいという事だけだった。

 

おでこを撫でると長い睫毛と瞼までもが動き

今にも起きあがって来そうだった。

 

髪の毛も艶がありフサフサとしていて

「本当に寝ているみたいだね」

と誰もがそう言った。

 

そこにはいつも見ていた息子の寝顔があった。

 

このままずっと寝かせて置く事が出来れば

悲しみも減るのにと思った。

 

毎朝朝から最後まで葬儀場の控室で眠る息子と

家族で共に過ごした。

 

出棺の日 朝葬儀場に着くと息子はもう控室ではなく

既に式場の真ん中に動かされていた。

 

華やかに彩られた花と共に置かれている

まるで生きているかのような笑顔の息子の遺影。

 

お別れの日。

 

ついにこの日が来てしまった。

永遠の別れが来てしまった。

もうこれで息子の姿を見る事は出来なくなってしまう。

 

 

沢山の花に埋め尽くされていく息子。

 

 

お別れの時、お義母さんが棺にすがって泣いて叫んだ。

 

 

「おばあちゃんが代わってあげたいよ!!」

 

 

そりゃそうだ。

 

まだ12歳。

 

数か月前までは小学生だった。

 

物事の右も左もわからない。

 

人生のいろはの「い」の字さえわかっちゃいない。

 

ちょうど声変わりが終わった息子。

頬やおでこにあるニキビがこの先息子にも未来が

あったことを悲しくも物語っていた。

 

 

代わってあげられるものなら代わってあげたい。

 

息子にも一通り人生を経験させてあげたかった。

 

                        りんごりんごりんご