「こんな所にまで来てしまった」

 

 彼は壁に付き合った。

 

 「もう先には進めない」

 

 彼はくよくよと考えるのを止めにした。四肢を甲羅に戻し、しばらく休憩することにした。

 

 しばらくすると今まで考えていることを全て忘れてしまった。彼はくよくよ考えても仕方がないと思ったのではなく、くよくよ考えることをしないのでもなく、そもそも考えない。考えないから、ただただ歩いて行き止まりに来てしまったのだろう。

 

 甲羅の下に感触がない。その代りに、何かが甲羅の側面を痛くない程度に圧迫する。ここは水の中ではないのに甲羅が上昇する。下降する。さっきより柔らかい地面だ。上空から甲羅にチョロチョロと水がかけられる。

 

 彼の新しい生活の始まりだった。