閉店の理由としては、『中合二番館』が入居する「平和ビル」が老朽化に伴い耐震基準に満たしていないことが判明したことから、「平和ビル」管理者と『中合』との間で耐震化工事の交渉を続けてきましたが、『中合』側がこの交渉に断念したためです。
「平和ビル」は、1973年に「山田百貨店」としてオープン。1998年には、「福島VIVRE」に改称して福島市曽根田へ移転。同年、「平和ビル」に隣接する『中合』が「福島VIVRE」跡に現在の『中合二番館』をオープンしました。
『中合二番館』は約20年間、福島駅前の顔として親しまれてきたわけですが、建物自体の老朽化が著しいため、惜しくも閉店することになってしまったのです。
この『中合二番館』の閉鎖の決定は、福島駅前中心市街地に大きな衝撃を与えたことでしょう。
しかしこのような車社会の時代ですから、『中合』を含めた地方都市の百貨店は大変厳しい状況の下に置かれています。近年では、地方百貨店の撤退というニュースはよく耳にします。
今回の『中合二番館』は“建物の老朽化”を理由に閉鎖することとなりましたが、採算面においてもかなり厳しい状況にあります。
『中合』の売上げは、バブル景気であった1992年の約200億円をピークに、現在の売上げはピーク時の半分以下の約95億円まで落ち込んでおり、このまま売上げが伸び悩んだ場合、近い将来『中合一番館』の閉鎖も十分にあり得ると考えてよいでしょう。
今回は全館閉鎖ではなく、『中合二番館』の閉鎖といった、約半分に縮小という形で済んだだけ良かったのではないでしょうか。
しかし、この『中合一番館』も閉鎖するとなった場合、福島駅前の中心市街地へ与える影響はかなり大きいと思われ、中心市街地の核となる商業施設が消滅するとともに、福島市内から“百貨店”自体が消滅することになってしまいます。
しかし、この『中合一番館』も閉鎖するとなった場合、福島駅前の中心市街地へ与える影響はかなり大きいと思われ、中心市街地の核となる商業施設が消滅するとともに、福島市内から“百貨店”自体が消滅することになってしまいます。
さらに、近い将来に撤退すると囁かれている、福島駅西口の「イトーヨーカドー福島店」撤退の噂が現実となれば、福島駅周辺は何も無くなってしまいます。
ではなぜ、福島駅周辺の衰退が近年顕著に現れてきているのか。
それは、建物の老朽化に加え、後継者不足、売上げの減少、駐車場が有料であること などが挙げられます。
もし仮に『中合』の売上げが順調に伸びていれば、または、ある程度の売上げを維持できていれば、今回の『中合二番館』も耐震化工事を施し、閉鎖するという事態には至らなかったでしょう。
ではなぜ、福島駅周辺の衰退が近年顕著に現れてきているのか。
それは、建物の老朽化に加え、後継者不足、売上げの減少、駐車場が有料であること などが挙げられます。
もし仮に『中合』の売上げが順調に伸びていれば、または、ある程度の売上げを維持できていれば、今回の『中合二番館』も耐震化工事を施し、閉鎖するという事態には至らなかったでしょう。
売上げが減少している要因は、バブル景気崩壊の他に、消費者が福島駅周辺の中心市街地へ足を運ばなくなってきていることです。
そしてさらに、福島市内でも郊外型の商業施設が多数進出したことに加え、近年では特に若者を中心とした多くの消費者が、週末になると宮城県や山形県などに相次いで進出した大型ショッピングセンターへ足を運んでいます。
消費者が他県へ流出している=県北地域の商業施設だけでは今の消費者のニーズには応え切れていない ということがわかります。
昨年10月には、この“他県への消費者流出”を抑えるべく、伊達市堂ノ内地区への「イオンモール」出店計画が再浮上し話題となりました。
この「イオンモール」の出店計画が実現すれば、他県への消費者流出を抑えられるだけでなく、逆に他県の消費者を県北地域へ呼び込むことができたり、県北地域の人口増加が期待されます。
しかし、この「イオンモール」出店計画地である伊達市堂ノ内地区は現在、開発を規制する「市街化調整区域」に指定されており、事実上大型商業施設の進出が不可能な地区となっています。
これを受け、昨年10月に発足した「伊達市堂ノ内土地区画整理事業準備委員会」が、同地区の「市街化区域」への編入、及び平成30年度中の造成工事着手に向けて事業計画を作成している段階であるということです。
しかし、伊達市への出店計画に対し、隣接する福島市が反対声明を出しました。
その理由としては、福島駅前の中心市街地の衰退が懸念されるといったことや、市内の中小企業に影響を与える恐れがあるということです。
特に福島市は、市内に立地する同系列大型スーパー「イオン福島店」の撤退を懸念しているようなのです。
しかし「イオン福島店」は、伊達市の「イオンモール」出店計画地から直線距離で約5㎞離れており、商圏人口から見ても「イオン福島店」と伊達市の「イオンモール」の共存は十分可能であります。
この「イオン」の共存例はいくつも見られ、福島市とほぼ同規模の地域では、山形県山形市商圏の「イオンモール山形南」・「イオン山形北店」・「イオンモール天童」の3施設や、岩手県盛岡市の「イオンモール盛岡」・「イオンモール盛岡南」の2施設 などが挙げられます。
いずれの共存例においても、店舗同士が約5㎞以内の場所に位置しています。
福島市は「イオンモール」について何か勘違いをしているのではないでしょうか?
また話によれば、福島市民の大半の方々が伊達市の「イオンモール」出店計画に賛成しており、伊達市にも「(イオンモールの)出店計画を早期に実現させてください」といった内容の応援メッセージが数多く寄せられているということです。
それに今はもう、中心市街地と郊外の大型商業施設が対立するような時代ではありません。
いくらコンパクトシティを目指すとはいえ、コンパクトシティだから郊外型の大型商業施設を造ってはいけない、というのはどうなのでしょうか。
というのも、県北地域から消費者が他県へ流出しているのも事実で、郊外型の大型商業施設の進出を過剰に規制してしまうようなまちづくりは時代遅れであり、宮城県や山形県に相次いで進出している大型ショッピングセンターにより、今後も“他県への消費者流出問題”が確実に深刻化するということです。
そしてこのことは、何も伊達市の「イオンモール」出店計画に限った話ではありません。
今後の県北地域のまちづくりにおいては、まちづくりの方向性を時代やニーズに合わせて慎重に見直し、郊外型の商業施設の進出も受け入れられるような体制を整えていくことが必要です。
福島市には今後、中心市街地の活性化ばかりにとらわれた偏ったまちづくりではなく、市民の民意を調査した上で県北地域の自治体との連携を図り、コンパクトシティを目指しつつ、県北地域全体を視野に入れた均衡なまちづくりを進めてほしいものです。