「右脳を鍛えると優秀な子になる」その真実 | 「衣食住育学」石川幸夫のブログ

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教育畑40数年、猫好き、子ども好き、音楽好き!幼児、小学生の算数指導用に、水道方式のタイルを独自開発。教育評論家・教育研究家・子育て評論家としても活躍中です。

 

 TODAY'S
 
学習と脳科学

■脳全体のシステム機能を活かすこと!!

 今日もご訪問頂きありがとうございます。

 

 最近の教育界の視点は教育のデジタル化に向いていますが、教育を受ける側の子どもたちが、まさに人というアナログそのもの、やはり、ここは学習を受ける側に焦点をあて、学習と切っても切れない脳の存在を考えてみたいと思います。

 

 以前、右脳教育の重要性が語られた時代がありました。ご存じの方も多いと思います。これは、亡くなられた七田真先生が提唱されたものですが、教育界だけでなく、日本中のお母さんやおお父さん方の目を、教育に向けさせたセンセーショナルな教育法でした。私は、同時期、七田先生と共に幼児教育の普及に全国を駆け回っていた時代でした。

 

 ここで、興味深かったのは、右脳の七田、左脳の水野という、お二人の幼児教育者が一緒に幼児教育の原型を作られたことです。言語を大切にされた水野茂一先生、右脳活動を重視された七田真先生、この間に立ってお二人の話を聴いていると、互いの主張と共に、バランスの取れた教育を目指されていたことがよくわかります。私は、その間で、幼児期の貸す学習を担当し、水道方式という小学生向けの学習法を、幼児対象に置き換え、数の幼児向け指導法や教材作成を行っていました。

 

 今日のタイトル、「右脳を鍛えると優秀な子になる:その真実」とは、この表現は、一部の真実を含んでいるものの、やや誇張されています。右脳の機能(創造性や空間認識など)を刺激することは重要ですが、それだけで「優秀」になるわけではありません。むしろ、全体的な脳のバランスをとることが重要であることが省かれたタイトルと言えます。

 

 最新の理解では、
・脳の左右の分担

 右脳と左脳は、それぞれの強みを持ちながらも、相互に補完し合って機能しています。特定のタスクにおいて、片方の半球が主に活躍することがありますが、もう一方もサポートする役割を果たしています。
・ネットワークとしての脳

 脳は複数のネットワークから成り、異なる部位が共同で複雑なタスクを処理しています。例えば、前頭葉は計画や意思決定に重要な役割を果たしますが、これらの機能は他の脳領域との連携によって支えられています。
・発達と経験

 脳の発達は経験に大きく依存しており、特定のスキルや能力は経験によって強化されます。したがって、幼少期からのバランスの取れた刺激が重要です。

 

 つまり、七田先生、水野先生が共に幼児教育という、教育の基礎の部分をご一緒に築かれてきたこと自体が、未来を見据えた教育内容であったことと、脳科学への深い理解だったということになります。

 

 どうも、わが国ではどちらか一方に傾く傾向があり、教育論も同じように、よりセンセーショナルな表現が多用されています。しかし、子どもたちの成長、発達を第一に考えると、お二人の先生の取られた行動が、如何に子どもたちのことを考えていたものかが理解できます。これは、近くにいた者だから理解できることかもしれません。

 

 大切なのは、教育界に、脳の発達と成長に関し、事実として脳科学を教育に持ち込んだことです。今は、当たり前に脳科学が語られていますが、今から45年ほど前は、脳科学は幼児だけのものという見方がありました。今では、脳科学を抜きにした教育は語れないほどです。更に、脳の発達と成長の違い、そして、最近話題の臨界期説は、脳の特定の機能(例えば視覚、聴覚、言語など)の発達には特定の時期が重要であることを示し、幼児期の基礎教育の重要性が広く知られることになりました。

 

 最後に、優秀な子の脳の特徴は、直線的な情報処理ではなく、脳の中の機能を最大限生かす、様々な部位に迂回できる脳であることです。物事を論理的に思考できる脳は、脳内にある、様々な機能を持つ部位に情報を伝え、そこで思考という優秀な脳として機能しています。

 

 脳の成長はこの先も続きます。しかし、脳の発達には限られた期間があります。どんな子にも才能、素質を極めることができます。脳を知ることで!