子どもの耳を鍛える | 「衣食住育学」石川幸夫のブログ

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教育畑40数年、猫好き、子ども好き、音楽好き!幼児、小学生の算数指導用に、水道方式のタイルを独自開発。教育評論家・教育研究家・子育て評論家としても活躍中です。

 

 TODAY'S
 
聴き取りという能力

■驚きの素読効果

 今日もご訪問頂き有難うございます。

 

 台風第一号は日本列島に近づき、前線を刺激し大雨を降らすと予想されています。どうぞお気を付けください。

 

 学習には、ご存じのように集団指導に対し個別指導や個人指導などがあり、集団でも4,5人の少人数で行う場合もあります。子どもの指導には、やはり、個別指導や個人指導が、集団指導に勝るのではとお考えの方も多いと思います。ただ、それぞれに良さがあり、どちらがより効果的かは難しい所だと思います。

 

 低年齢の子どもには、比較的集団学習が効果的で、それは、子どもの中にある競争心が、他の子の影響を受け、競い合う傾向を示すからです。先日もNEWSポストセブンから最近の運動会についての取材を受けたのですが、赤白の組み分けで競うことを止める学校が増えてきているのですが、「競い合う」ことは、自己認識を高め、自分ができないことにチャレンジするという、その先の自己肯定感にも繋がり、それは、学習面でも見られることです。

 

 それは、子どもが自転車の補助輪を取るときなどにも、「競い合う」という基本的な他人意識が働いています。この光景は、近所で一緒に遊んでいる子に多く見られ、グループの中で一人が補助輪を取ると、あっという間にそのグループは皆補助輪を外しています。これこそ集団学習の影響になります。

 

 子どもの耳を鍛える学習に「素読」があります。幼児期から耳を鍛えるとなるのですが、聴覚の臨界期は、より高度な絶対音感になると5歳ころまでと言われ、脳内の音に対する認識の速さは驚くほど早い時期に発達します。乳幼児期の読み聞かせが重要視されるのは、こうした脳の神経発達と並行した時期だからです。

 

 そこで、幼児研修の際には、読み聞かせに加え、学習指導の現場では「素読指導」を実践して頂いています。素読で使用する題材は、漢詩や英語などがあり、英語指導でも素読を数多く用いています。先生の読む漢詩を聞き取り、それを復唱する。単純な学習ですが、先生の読む漢詩を正しく聞き取るには、先生の声に集中しなければできません。また、その言葉を記憶しなければ復唱はできません。特に漢詩の素読は、音読みと訓読みがあり、どちらもリズムよく読めるので、聴き取りも楽です。聴き取りという能力は、やはり、この時期なのだと実感します。

 

 素読は、俳句なども扱っており、幼児期から行っていくと、日本語によくある五・七調のリズムが心地よく、文章表現の際にも活かされています。この素読を行っていると、教室全体が言葉のリズムに包まれ、次第に子どもたちが落ち着いて復唱していくようになります。その集中力が、普段落ち着きのない子にも影響を与え、不思議なもので、クラス全体が落ち着いた雰囲気に包まれていきます。

 

 静かな雰囲気でありながら、子どもたちの復唱する漢詩が一つにまとまるとき、読む姿勢までもがピシッと背筋を伸ばし集中してる姿は圧巻です。聴く姿勢が付いてくると、他の教科でも、一度で聴き取れる子が増えていきます。これが、素読という集団指導の良い所なのでしょう。さらに、復唱という短期記憶の繰り返しが、子どもの記憶力まで高めていることに気付きます。この素読が子どもたちに受けるのは、負担が少なく、読むことが楽しいと異口同音に言ってくれます。