子どもの学習にある「言葉の壁」 | 「衣食住育学」石川幸夫のブログ

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教育畑40数年、猫好き、子ども好き、音楽好き!幼児、小学生の算数指導用に、水道方式のタイルを独自開発。教育評論家・教育研究家・子育て評論家としても活躍中です。

 

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分かったふり

■何を言っているのかわからない!

 今日もご訪問頂き有難うございます。

 

 先日、急な要請でアベマTVに生出演しました。中学生の外国旅行の是非と、修学旅行の是非がテーマでした。教育評論家としての見解を述べなければならないのですが、私は、こうした物事を二つに分けてどちらかを迫る考え方が苦手で、最終的にはそれぞれの考え方を優先したいという、情けない評論家です。

 

 その中で、「経験」の大切さは、自分自身が若いころ行った外国での学びが未だに生きていることからも実感しています。十代のころ、初めて国を出る、国境を超える、税関を通る等など、初めてパスポートを手にした若き頃の想い出は今も鮮明に残っています。初めは、何を言っているのか分からず聴き取れなかった言葉も、1週間もすると慣れてきます。

 

 私たちは日常、「理解」するための努力をしています。それが言葉の学習です。最近は、油断をするとミーティングにもついていけなくなるほど新しい言葉(ほとんどがカタカナ)が出てきます。教育界でも、インクルーシブ・リカレント・エンカレッジスクール・イエナプラン・オルタナティブ・STEAMなどなど、時折、「何だったけ?」と必死で前後の言葉を拾い集め理解しようと努める自分がいます。

 

 子どもたちの学習場面でも、こうした「言葉の壁」が存在し、学校など、先生の説明をすべて聴き取り理解できる子についての調査が必要なのではないかと思うほど、子どもたちは、意外にも分かったつもりにさせられているケースがよくあります。授業などでは、「わかった?」「わかった人?」と「わかった」という言葉を多用し、子どもたちに「わかった?」「わかったでしょう!」「もうわかったよね!」と3回も先生から言われると、つい「はい!」と、返事をしてしまいます。

 

 多くの子どもたちが最初に躓く「引き算」、「引けないときは、隣から10借りてくる」大人なら”当たり前”に理解できる繰り下がりですが、13ー7の場合、隣は「1」じゃないの?と数字だけの操作で計算を学んできた子は、この説明が理解できないと質問してきた子がいました。

 

 なるほど、算数の学習でも言葉の理解という側面があり、考えるという行為は、間違いなく言葉を通し行われるんだということを再認識させられます。すると、様々な場面で、子どもたちは解ったふりをしている、もしくはさせられていることに気付きました。

 

 言葉の学習は、国語という教科だけで行われるのではなく、全ての教科に共通した学習です。そして、各教科にはそれぞれで使用される専門的な言葉が存在します。繰り上がる、繰り下がる、算数では一般的な言葉ですが、この言葉を、その導入の授業で使われると、語彙数の乏しい子は理解にまでは至らず、”分かったふり”をさせられるかもしれません。

 

 子どもの学習理解では、こうした言葉の理解についての確認が大切です。私は、先生方の研修で「わかった!」という言葉を多用しないようにお話しています。先生にとって「わからない!」という言葉は、自分の指導力が問われている気になるものですが、そう捉えず、子どもの疑問を拾い上げるような対応が求められるとお伝えしています。逆に「わからない所を教えてください!」など言葉を変えるの良いですね。