気になる臨界期(Critical Period) | 「衣食住育学」石川幸夫のブログ

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教育畑40数年、猫好き、子ども好き、音楽好き!幼児、小学生の算数指導用に、水道方式のタイルを独自開発。教育評論家・教育研究家・子育て評論家としても活躍中です。

 

適切な学習時期

■脳のOS(オペレーションシステム)

 今日もご訪問頂きありがとうございます。

 

 このブログでも何度か取り上げたことがある、子供の発達段階における適切な学習時期を見定めるのに参考とされる「臨界期」(Critical Period)。この臨界期が主に、幼児期の0歳から9歳に集中していることから、様々な仮説が立てられています。というのも、これを実証するにはまさに乳幼児を使った人体実験になるからです。

 

 ただ、医学、科学の進歩により、人の脳の発達が解明され、臨界期と関係する脳細胞の発達過程から考えることができます、人が持てる多くの能力は、脳細胞間の結びつきや刺激、学習によって異なり、その時期も想定されます。以前も紹介した、インドのジャングルで発見された姉妹、アマラとカマラは、飛行機事故で幼児期に両親と死別、その後、オオカミの群れの中で生き延びたため、言語能力を中心に、人としての能力を持たず成長してきました。その後、発見され、牧師夫婦によって育てられたのですが、まさに臨界期を過ぎていたと思わざるを得ない状況で、言語の獲得に多くの問題を抱えたのです。

 

 では、臨界期の対象となる能力とは何でしょうか。以下にまとめてみます。(年齢は推定で誤差があります)

 ①言語能力 0歳~9歳

 ②運動能力 0歳~4歳

 ③絶対音感 0歳~5歳

 ④数学的能力 0歳~5歳

 ⑤視覚能力 0歳~4歳(特に0歳から1歳が重要)

 ⑥社会・感情的発達 0歳~9歳

 ⑦音楽やアート 0歳~7歳

 ⑧言語外の認知能力 0歳~9歳

 

 こうして上げてみると幼児期に臨界期を迎える内容の多さにびっくりします。この時期を過ぎると、その能力をまったく取得できないのかというと、そうではなく、困難になるということです。その中で、重要なのが、言語能力と視覚能力です。また、芸塾関連では絶対音感で、これは皆さんよくご存じだと思います。

 

 視覚に関しては、目の機能以上に脳神経の発達で、この神経には縦線を認知するもの、横線を認知するもの、曲線を認知するものが一つの神経群となています。つまり、0歳から4歳の時期に、線を見て認識することが求められているのです。目の機能としては正常でも脳が見ていない、認知できない状態になるのです。こうした、幼児期に認知機能を高めることを学習と言います。学習は、教室のような四角四面の場で行われるものばかりではありません。

 

 幼児教室の中にも、優れた指導者のいる教室では視知覚指導を行っている教室もあります。ただ見えるだけでなく、物の形、色、位置などを認知できること、また視野の範囲を広げる為の眼球移動の指導を行ってくれる教室もあります。優れた幼児教育を行っている教室では、小中学校で行う教科学習以外のこうした指導も行っています。この指導のおかげで、視知覚障害を発見できた例もあります。

 

 幼児期は、大人になった時に必要とされる能力の基本を学び、鍛える時期であることがわかります。まさに、その後の脳の活動を高める脳のOS、オペレーションシステムの働きをしているようです。