目立つようになってきた「問題文の意味がわからない子」 | 「衣食住育学」石川幸夫のブログ

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教育畑40数年、猫好き、子ども好き、音楽好き!幼児、小学生の算数指導用に、水道方式のタイルを独自開発。教育評論家・教育研究家・子育て評論家としても活躍中です。

 

 TODAY'S
 
授業は大丈夫?

▇深刻!! ますます進む言葉の理解力不足

 

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 算数、数学を指導する立場から、言語教育、それも、幼児期からの指導に興味を持ったのは、算数も数学も、「言語認識」や「文字(記号も含む)認識」を無視できないからです。実際、数字も記号も数詞も、文字や言葉と同等ですから、言葉の教育は無視などできません。

 

 算数や数学に出てくる記号一つとっても、様々な概念や、法則性が詰まっており、その理解に言葉を使う以上、子どもの国語力の低下は、そのまま、算数、数学に大きな影響を与えます。これは、英語指導をされる先生方からも異口同音の意見が寄せられます。国語を基礎とした外国語の理解ですから、国語力は全ての教科の基本になります。

 

 子どもの国語力の低下は、ここに来てかなり深刻な状態になってきました。学力の二極化は、その手前で、国語力の二極化があります。本を読む子と、読まない子(読めない子の存在も)の国語力の差は、想像を超えています。黙読から、音読に切り替えて読んでもらうと一目瞭然で、同じ量の文を読んでも、読み切るまでの時間は、時に、数倍も違うことがあります。それは、単純に遅いというのではなく、読めない漢字や、言葉の読み間違い、なんと、”読めないひらがな”もあるのです。それは、ひらがなで表された言葉を知らないことから起こります。意外に思われるかもしれませんが、読めない子の多くが、言葉を知らないため、ひらがな表記の読みが苦手なのです。この状態は、文字や数字の読み飛ばしも多く見られます。

 

 以前、算数や数学の問題文が満足に読めない事をご報告しました。今は、その状態から更に悪化し、問題の意味を理解できなくなっています。その傾向、実は幼児期から見られ始めているのです。それは、受験指導で見られています。幼児では、問題文は先生が読んで、問題を考えてもらうのですが、問題を読んでも、その意味がわからず、戸惑う子どもが目立ち始めていると言うのです。更には、指示しても、それまでの子どもたちは理解していた言葉での指示も、その意味を理解できない子どもたちが数多く出始めています。

 

 すでに、指導する以前の問題に、現場の先生方は頭を抱えています。もちろん、先生の言葉や、指示をしっかり理解して、問題に臨む子はいます。この4,5歳の子どもたちに何が起きているのでしょう。そして、この差は、どこから生まれているのでしょう。

 

 原因としては、親子間の、言葉の交わりの減少です。子育て期間中の0歳から小学校に上がる満6歳まで、6年間で親と子どもの直接的に関わる時間が、この10年で大幅に減少しています。それが、秒や、分単位ではなく、時間単位での減少です。それは、ここで登場してしまうのですが、スマホ使用の時間と比例してしまうのです。それは、言葉がけの減少を加速させ、時には、幼児期のスマホでの子守が、子どもの言語獲得に大きな影響を与え始めていると考えられています。

 

 スマホからの動画と音声に対し、直接の言葉がけでは、脳への言語刺激に大きな差が生じ、動画の視覚情報に対し、大事な言語情報が子どもの脳内の言語中枢に届かないと考えられています。小学校受験の指導から、幼児の言語発達の遅れがわかったのは、不幸中の幸いなのかもしれません。先日の、小学校受験を希望される保護者対象の講演会で、この事をお話しすると、ほぼ全員の方から感謝されました。実際に、スマホの悪影響を感じていらっしゃったようです。

 

 「教科書が読めない子どもたち!」が指摘され、多くの方々を驚かせましたが、それは、解決されるどころか、今では、短い問題文が読めない状態になり、授業での説明に対し、その内容を把握し理解することができない生徒の存在も明らかにされて来ました。低学年で、テストで100点近くをとっていても、問題が機械的で、パターン化されている状態では、問題文を読まずにテストに臨んでいるので表面化してきません。高学年になる頃から、点数が下がりだし、読解力を問われる問題で苦戦している子は注意が必要です。特に、中学に上がり平均点に達していない子は、国語力に原因があると考えられます。この傾向は、年々強まっているので、各ご家庭で、何らかの対応が求められると思います。特に、幼児期からのスマホ使用は、十分にご注意ください。

 

 学習は基本技能として「聴く」「見る」「読む」「書く」「話す」の5つがあります。残念ながら、今、この5つ全ての能力が低下傾向だと考えられています。学校でのテストでは、なかなかこれらの技能全てを確認することが難しく、細かな部分での検査が望まれます。