学校の成績を上げるには? | 「衣食住育学」石川幸夫のブログ

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教育畑40数年、猫好き、子ども好き、音楽好き!幼児、小学生の算数指導用に、水道方式のタイルを独自開発。教育評論家・教育研究家・子育て評論家としても活躍中です。

「”教科書”を無視しているから……!」

 

AI VS 教科書が読めない子どもたち

 教科書をもっと活用しましょう!

 タイトルにある「AI vs 教科書が読めない子どもたち」は、教育界や保護者の間で大いに話題に上った本でした。著者は情報科学の第一人者 新井紀子さんです。自ら開発した人工知能ロボットを駆使し東大を目指すというユニークなチャレンジをされ、かなりのレベルまで達しています。その後、「教科書が読めない子どもたち」は、更に悪化し、「問題文が読めない子どもたち」へと、より深刻な状況に追い込まれてしまいました。

 

 では、教科書を読むという学習行為は、子どもたちの学力とどのような関係性があるのでしょうか。まずは、教科書の存在です。何故、学校教育に教科書が必要なのでしょうか。先生の中には、教科書を使わず、自身のノートや、テキストを使い、指導されている方もいます。教科書があるのに、教科書を使わず授業する。こうした先生が増えているとは思いませんが、実際にいらっしゃることは事実です。教科書は、文科省が定めた学習指導要領に基づき、それぞれの専門の先生方がその制作、編集にあたります。つまり、子どもたちが学ぶべき内容を全て網羅し、まとめたものが教科書です。子どもたちに教科書を読んでいるか尋ねてみると、国語・英語については読んでいると答えた子は多くいるのですが、その他の教科ではまず見当たりませんでした。読むという行為は、以下のような学習効果を生みます。

 

【教科書を読むことの学習効果】

 

 1,教科書を読む(音読する) 

 2,教科書に書かれてある内容を読み取る(内容理解)

 3,教科にある資料を読み取る(表・グラフ・写真・図・図形など)

 4,学習の先を読む(予習的要素・先行体験)

 5,学習の過去を読む(復習的要素・学習の定着)

 6,学習情報の獲得(重要語句・名称・公式など)

 7,国語・算数・理科・社会等々広範囲に語彙を獲得できる(必要語彙の獲得)

 

 教科書を読む、子どもたちの身近にある教科書の活用は、家庭でも、学習対象として捉えていなかったようで、一つの盲点と言えます。子どもたちに、必要な学習要素が詰まっている教科書以外の参考書は他には見当たらないほどです。このブログに引っ越す前から、このブログを読まれている方は、教科書の重要性についてはよくご存じでしょう。まずは、教科書の音読みから始めます。その際、教科による読む、読まないという区分はなく、全ての教科書を毎日に日課として行います。教科書を毎日読み解くことで、学校の授業を積極的に受けることができるようになります。授業を受けている子どもたちの中に、先生の説明が解らないという子どもが増えているのも、教科書から得られる情報をしっかり身につけていないからでしょう。重要語句など、言葉を知っていることは、子どもの聞く姿勢を形成していきます。授業を聞く、この姿勢が子どもの学力を着実に高めていきます。

 

 教科書を読む、国語の教科書も、側で聞いて上げてください。すると、多くの子どもは、漢字ではなく、平仮名でつっかえていることが解ります。感じも大切なのですが、意外かもしれませんが、平仮名の言葉は、読みにくいものです。下記は、有名な詩です。さて、読む事ができるでしょうか。

   「はなののののはなはなのななあになずななのはなかわいいのばな

 読む場合は、黙読ではなく、音読で行ってください。自分で読んだその声を、自分で聞く、視覚から、しっかりと学習情報を入力し、それを音声に変えて出力します。記憶された言葉は、授業の説明の時に蘇ってきます。読みこなしていくと、教科書が思い浮かび、そのページが映像として読みがえることもあります。教科書からの文字情報は、間違いなく学力を上げていきます。なぜならば、それが、本来の学習形態だからです。国語に限らず、算数も理科もしっかり読み込んでください。

 

 「花野の野の花、花の名なあに、ナズナ、菜の花、可愛い野花」