ナンバー 328 細く長くちょっとしょっぱいラーメン人生 その4 | 堀切光男のエッセイ畑

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主にエッセイ。

昨日 11月13日は このブログの 1日の閲覧数が久しぶりに100を超えて

121人でした。

これまでの 最高は289人、もう少し頑張るかな。

 

 

昭和 四十四年 入院する ひと月前。

そんな運命も 知らず モデルガンで遊ぶ 19歳。

 

暮れも近づき 忘年会で 自慢の声を披露して

 

酔いも興奮も 醒めやらぬ その日の夜に ハガキの通知を見て

 

肺結核にかかっていることが解り 天国から地獄に落とされる。

 

新年を挟むと半月も遅れてしまうからと ジングルベルで賑やかな街を後にして

 

 強制入院で連れて行かれた国立中野療養所の看護室。

 

入院手続きの僕の 前に座ったのはマスクをかけた30~35歳ぐらいの看護婦さん

 

落ち込んでいた僕が一目見て、急にドギマギする程の澄んだ 大きな目が綺麗な人で、

 

小柄でスタイルも良いし何か  入院生活も楽しくなるような予感。

 

その看護婦さん

 

「家族で 亡くなった方はいますか?」  「姉が」 「死因は?」

 

(貴方と 同じ病気ではと言う意味だったが僕は気が付かず 正直に答えてしまった)

 

「自殺です」  看護婦さん 顔を上げて じーと僕を見つめ

 

「事故死というのよ」とやさしく教えてくれた。

 

あとで 分かったのだがその看護婦さん 患者の男達の間では

 

「バービーちゃん」と呼ばれていた。

 

一週間ほど後で看護室に行くと そのバービーちゃんがマスクを外して仕事をしていた。

 

その顔 全体を目にした僕は 又 ドギマギしてしまった。

 

見てはいけない物を見てしまった感じ。

 

バービーちゃんのマスクに隠されていた口は あの 京 唄子さんも かくやと思われる大口だったのだ。

 

 

病室は10人部屋に入れられた。 衝立で 区切られたスペースに 二人づつ並んでベッドが置かれている。

 

当時は 一人一人のカーテンも無かった。

 

隣のベッドには S 君と言う3っつ年上の陽気な男がいて、直ぐにうちとけた。

 

S君には 別の病院の看護婦の彼女がいて良く見舞いに来ていた。

 

横になった S君の 耳掃除をしてあげるなど そのかいがいしさには 当てられっぱなし。

 

当時彼女が いなかった僕は 羨ましくて仕方がなかったものだ。

 

 

週に一回 朝食の前に 注射を打つ、筋肉注射で かなり痛い 良く揉まないと

 

腕の筋肉がパンパンになる。

 

看護室で並んで注射の 順番を待っていると 側でS君が バービーちゃんの前に座り

 

「たぶん 薬疹 だと思うんだけど・・・」

 

「とにかく 見せてみなさい」   とバービーちゃん。

 

すると躊躇いも無く S君、ズボンを下ろし パンツも下ろしてドスンと出した。

 

いや、ドスン と言う程 大きくて立派だったのだ。

 

躊躇いなく 出す訳だ、 自慢 もあったんじゃないの?

 

周りから「ほうー」と感嘆の声が上がった程だ。

 

しかし さすがはベテラン看護婦さんのバービーちゃんは  顔色も変えず、しっかと握ると ひょいと 裏返し

 

「ああ、 薬疹だわね」とさっさと  黄色い 液体を 脱脂綿で 丁寧に何度も 塗りつけた。

 

沁みたのか「あ、あ、あー」と言う S君の声がやけに艶めかしく看護室に 響き渡ったのだった。

 

 

廊下を挟んで娯楽室があった。

 

テレビが置いて有り 流しとガス台があったのでお茶を沸かしたり ラーメンを作って食べる等は出来た。

 

廊下の向かいは看護室、ここでは おおっぴらには タバコが吸えないので皆 はずれのベランダにたむろしている。

 

S君と僕だけで昆布茶(粉末のインスタント)を老人の様に すすりながら、話だけはナマ臭い会話をしていた。

 

僕が 「最近 彼女 みないね」   「いろいろあって、先月 別れた」 「えー、アツアツに見えたけど?」

 

「浮気が バレてね」「そうなんだ、じゃ今は 独りなんだ、淋しいね」「昨夜 ホテルに行ったよ」

 

「えー、さすが手が早いね。で、相手は?」

 

S君はゆっくり 首を後ろに回した。その先は廊下の向こう側。

 

「え、えーっ。やるじゃん 。でどうだった?」  S君肩をすぼめながら

 

「上と下は 同じと言う 俗説、アレはホントだな」

 

「へー S君の 立派なモノでも 太刀打ち出来なかったのかい?」

 

「バーカ 俺のは かたく なるだけでほとんどそのまま 大きさは変わんないんだよ。だから皆とそれ程は違わないよ」

 

「え、え、えー。そんなのもあるのうー?」

 

「ああ、だから かえってがっかりされる事もある。何でも普通通りのがいいんだよ」

 

百戦練磨のS君の話は 面白く、 いろいろ勉強になるのだった。

 

 

 

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