ガンダムAGE大地に立つ | 百済ん観音堂DX

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たまには140文字以上の文章を読んだり書いたりしないと馬鹿になりそうなので、ボケ防止の観点からどうでもいい日記を書き綴っております。

なんか頭おかしいババアが、飛行機で他の客が連れてた
赤ちゃんの泣き声がうるさいからってキチガイみたいな
クレームつけてる事件が話題になってて
(馬鹿馬鹿しいかぎりの売名行為だと思うので詳細や
リンクは書かない)
まあその事はどうでもいいのだが、 少し前に似たような
経験をしたのを思い出した。

今年の6月、社員旅行で沖縄に連れてってもらったんだが
その行きの飛行機でのことである。

うちのボスは予定では仕事を終わらせてから旅に出る
はずだったんだけど、まあいつもの事でネームが完成
しなくて、しょうがないから宿泊先からFAXするってことで
編集に勘弁してもらって、結局ネームは飛行機の中で
描こうって算段だったのな。

ところが離陸してすぐに俺らの数列前に座ってた
男の子が物凄い勢いで泣き始めたわけですよ、
まあ怖かったんやろうね飛行機、けっこう凄い音するし
ただこの子、乳幼児とかじゃなくて小学生の低学年
くらいの年恰好で、それにしちゃ少し肝が小さすぎや
しないかいとは思ったんだが。

とにかくずうぅぅぅっとギャーギャーわめき続ける、
さすがにそんな環境で漫画のネームなんか描けるはずも
なくボスも俺も他の皆もめっちゃ不機嫌な顔になる。

ただ、そのクソガキ様リサイタルが続くうちに
だんだんわめいてる内容が明瞭(?)になってきた
こんな感じに
「○○ちゃん!ありがとうございました!ありがとうございました!」
「××ちゃんがだいすきでした!だいすきでした!」

言語は明瞭になったが意味は全く不明瞭に、
困惑する俺達
「ううむ、ボスこれは一体?!」
「これはですね犬塚さん、もしかすると彼にとって今の状況は
マジで死に直面していると感じているのではないでしょうか」
「つまりこれは彼の親しい友達とか親戚の子に対する
ガチの別れの言葉ってことなんすかね?!」

どうやら少年にとって、この轟音を発する鉄の塊に
閉じ込められた事は、本気で死を覚悟するしかない状況
だったようで、そして彼は心の底からの必死の叫びで
今までお世話になったり仲良くしてくれた人達にお別れと
感謝を述べていたようなんやな。

この大人の感覚では全く思いもつかない真実が発覚
するに及んで、人間を観察するのが趣味というより
本当に職業にしてしまっているボスの目がイキイキと
輝きだし、少年の言葉をもはや一言たりとも聞き逃がす
まいと生気がよみがえってくる、もちろん俺たちも。

そしてスタッフの一人がトイレに行くついでに少年の
ご面相を拝んできた際、彼がガンダムAGEのTシャツを
着ているという新たな衝撃の事実が判明する。

ガンダムAGE──ここ十年来に作られた数多の
アニメの中でも1、2を争うクズアニメとして業界を
震撼させた大傑作である。

当時はうちのスタジオでもそのあまりのクソっぷりに
「地獄へ落ちる道連れは一人でも多いほうがいい」
のスローガンのもと、月曜日に出社するとスタッフの
全員が視聴することを強いられていたんだ!

そのガンダムAGEのTシャツをよりにもよって少年が
着ていたのだから、いやがうえにも我々(だけ)は
盛り上がりまくり、満場一致で少年のことを「エイジくん」
と呼称する事が決定された。
ちなみに俺がガンダムAGEの関連商品を実際に
目撃したのはこれが最初で最後である。
なんといういいネタを拾わせてくれたのかと。

東京から沖縄までの道のりは飛行機を使っても遠く、
3時間近くかかるんだが、エイジ君はその後も泣き止む
ことなく延々と近親者への送別の辞や、はては自分の
好き嫌いとおぼしき何かを羅列してわめき続けるという
謎パフォーマンスで周囲の乗客を戦慄させていたが、
我々だけは菩薩のように穏やかな気持ちでその後の
フライトを満喫していた。

そんなこんなで那覇に到着したんだが、今回の旅行は
沖縄本島からさらに石垣島へ行くプランだったので
もう一度飛行機に乗らねばならない。
一時間ほど那覇で待機して新しい便に乗り込もうとした
我々の目の前の座席にいたのは……エイジ君だった。

なんという笑いの神の悪戯かと。また一時間ほど
あのリサイタルに付き合うのかと、さすがに気力が
もたないかと思っていたら。
今度のフライトではウンともスンとも一言も発しやがら
なかったのでした、それはもうあたかも憑き物が落ちた
かのように。

個人的にはこの旅行中に乗った飛行機のうち、
石垣島への往路のやつがランディングとか乱暴で
一番ヒヤっとさせられた感があるんだけど。

恐るべきかな子供の環境適応力(?)
世の中の不思議をまた一つ発見してしまい
新たな感動を覚える一同だった。

その後も旅行中に、乗り継ぎの待ち時間とかで
手持ち無沙汰になってもエイジ君の話題で盛り上がり
退屈することは無かったという。

エイジ君、ありがとうございました!ありがとうございました!

今回の日記には特にオチも教訓もありません。