「哀愁の町に霧が降るのだ」 椎名誠
椎名誠氏の半自伝小説。新潮文庫版。こういうのにやはり弱い。
東ケト会などでおなじみの「あやしい探検隊」も面白いが、こちらもなかなか。
確かに「昭和軽薄体」の文体はあまり主食にする気はない(するする読める)が、これはこれで一つのスタイルであるのだし、こういうものだとして読む分にはなんら不具合はない。
この「哀愁の町に霧が降るのだ」は、同時期に書かれたであろう他エッセイ(スーパーエッセイといったか?)と微妙にリンクしている。執筆途中で入った他の仕事であったり、旅であったり。
もちろんこの作品だけでも充分楽しめるのだが、そういった他のエッセイも併読しておくと、楽しみは倍になるのではないだろうか。
肝心の内容といえば、椎名氏たちのモラトリアム青春記であろう。
若いころの蛮勇エピソードをたっぷりと詰めこみつつ、悩む普通の人間としての側面も描かれている。共感を呼ぶ人も多数いるだろうし、呼ばない人も多数いるだろうが。
一つの区切りが付いたところで、物語は終わる。その区切りがなんであるか。それは読んでのお楽しみ。
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「あの頃ぼくらはアホでした」 東野圭吾
人気作家・東野圭吾氏の半生記。こういうのに弱い。
氏の著作は幾つか人に奨められて読んだ。そのうちに一つがこれである。
するすると読めて、読後感も悪くない。主食には物足りないが、これはこれで大丈夫。
そこまで無頼でもないし、そんなにムチャクチャをやっているわけでもない。
だがやはり人の半生はおもしろいのだ。
ちょっとした空き時間や、夜寝る前などに読むのがよろしい本だろう。
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「ボクは好奇心のかたまり」 遠藤周作
狐狸庵エッセイ集。
「遠藤氏らしい」内容であった。
共感を覚えない変わりに、「こういう考え方もあるのだな」と興味深い。
怪奇小説集の元ネタなどがつまっているので、サブテキストとして活用してみるも一興。
行動の原動力が、好奇心というより野次馬根性じゃないかと思ったが、それはどちらでもよろしい。
最後の「小説家になって良かったこと」を読み終えて、氏の言っていることと照らし合わせ少々腹を抱えたが、それもどうでもよろしい。