「正しい音」と「通じる音」(4) | 100万人の中国語 

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田中則明(たなかのりあき)
小田原在住。中国語研究家。

二つの壁:「四声」と「日本語にない母音子音」

「正しい音」ではないが「通じる音」

(以後、「正しくないが通じる音」と

 呼びます)とは、どういうものか?

まさに、それこそ、私が必死になっ

て探し求めて来たものです。


中国大陸には、中国語の「正しい音」

が満ち溢れています。

日本列島には、日本語の「正しい音」

が満ち溢れています。

アメリカ大陸には、英語の「正しい音」

が溢れています。


「正しくないが通じる音」は、どうでしょ

うか?


やはり、中国大陸、日本列島、アメリカ

大陸に満ち溢れています。


ちょっと聞いただけで、

「あんた、外人さんだね。どこから来た

 の?」

と言われてしまう人達が話している

言葉には、「正しくないが通じる音」

が満ち溢れています。


では、これらの人々は、どうやって、

「正しくないが通じる音」を身に付けた

のでしょうか?


聞いてみましょう、ザンビアから来日

したA君に。


「日本語の音、どうやって身に付けた

 の?」

「もちろん、必死に『正しい音』を聞いて、

 マネをしたんですよ。

 どうですか、僕の日本語の音、大丈夫

 ですか?

 通じますか?」

「通じてますよ。」

「でも、おかしな音もあるでしょう?」

「正直言ってありますよ。

 でも、全部通じています。

 それで十分ですよ。

 『正しくないけど通じる音』は、全て

 マスターしているようですね。」

「???

 何ですか、それ?

 『正しくないけど通じる音』って?」


恐らく、A君に聞くまでもなく、誰もが

「正しい音」を聞いて、必死にマネを

して、「正しくないが通じる音」をマス

ターし、徐々に、


 ↓

 「正しくないが通じる音」〇〇%

 「正しい音」        〇〇%


へと移行して来ているはずです。


でも、不思議ではありません?


「正しい音」しか聞いていないのに、

結果的に「正しくないが通じる音」

がマスター出来てしまうのが・・・。


私が、疑問に思ったのは、この点

でした。


人は、一体どうやって「正しくないが

通じる音」を知るのか?

人は、一体どうやって「正しくないが

通じる音」の範囲を知るのか?

「正しい音」をペラペラと話すネイテ

ィブは、何も教えてくれないのに、

どうしてその範囲が分かるのか?


いや、原因追求よりも、その範囲

そのものが確定できないだろうか?


もし、中国語の全ての音について、

「正しくないが通じる音」の範囲を

確定できれば、一刻も早く「通じる

中国語」をしゃべりたいと願い釈迦

力になっている日本人達を上記の

A君レベルまで短時間でいざなう

ことが出来る筈だ。


このように考えて、私の、

「正しくないが通じる中国語の音」

の範囲確定の作業が始まったの

でした。


孤軍奮闘です。

そこでは、ネイティブは頼りになり

ません。

なぜなら、ネイティブは、「正しい音」

しか発音してくれないのですから。


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