「正しい音」と「通じる音」(3) | 100万人の中国語 

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田中則明(たなかのりあき)
小田原在住。中国語研究家。

二つの壁:「四声」と「日本語にない母音子音」

入門者の目標が明確になりましたので、

今度は、それに到達するためのステップ

を考えることになりますが、


それは自ずから、次のようなものになる

でしょう。


  とりあえず、

  「正しい音」ではないが「通じる音」

  100%


  ↓


  「正しい音」ではないが「通じる音」

         70%

  +

  「正しい音」30%


   ↓

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


   ↓

  「正しい音」100%


それは、まさに、


「正しい音」ではないが「通じる音」

       100%


   ↓


「正しい音」100%


の道のりと言えるでしょう。


でも、こういう目標を立てるのは構わな

いのですが、通常とてつもなく長い旅

になるに違いありません。


5歳以下の幼児であれば、「正しい音」

100%は可能かも知れませんが、大人

になってから習ったのでは、100%とは

簡単に行かないはずです。


例えば、J.Conrad という作家の

"The Heart of Darkness"という小説を

大学で先生の指導の下精読したこと

があります。大変感動しました。

東欧出身の船乗りの彼が英語で書いた

のですから、まさに奇跡だと、そういう面

でも大変感動しました。


ところが、ところが、どこかで、彼の話す

英語は晩年まで、何を言っているか分か

らない方言まみれのものだったという

話を聞き、思わず笑ってしまいました。

抱腹絶倒ものでした。


その位、「正しい音」を身に付けるのは

困難なのですね。


一方、こういう奇跡も耳にしました。

最近です。中国人出身の女性(まだ若い)

が、日本のアニメの声優に挑んでいると

いう話です。それも、日本語は、10代から

習っただけだそうです。

そんなことが、本当に可能なんでしょう

か?

自分と引き比べると、まさに奇跡です。


まあ、最終目標は、いろいろな条件に

左右されるでしょうから、一概には言え

ませんが、


【第一歩】

とりあえず、

「正しい音」ではないが「通じる音」100%


というのは、誰にも共通したステップ、

万人の偉大なる第一歩になるはずです。



では、今度は、その


「正しい音」ではないが「通じる音」


というのは、どんなものなのでしょうか?
それに焦点を絞って考えてみましょう。




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