髪の毛に白いものが混じりだして すっかりおじいさんぽくなった夫が
毛染めを始めた。
もちろんいつも世話になっている私も彼の後頭部は やらせてもらいます。
しかしいつものことだけど
あ~こ~注文の多い広い背中なんだな・・・・・。
「肌についてないだろうな?とれないんだから頼むぞ。」
昨日からムカつく夫
「つけてないし。」
そして時間がきて夫は風呂に入った。
その時に タイルのところのコーキングも一緒にやりだした。
裸の姿が写る 夫のシルエット
大きな体を一生懸命丸くして 職人になって作業している。
仕事することニ時間 やっと裸の職人が風呂から
黒々とした頭髪に照れながら 出てきた。
「カラスみたいだね。」
「黒すぎるよな。」
「いや・・・○○(夫の名前)には この黒がお似合いだわ。」
頑張ってくれた裸の職人を少しは讃えてみる
彼がふと後姿を見せた時 私は目が点になった。
あれだけ肌につけるなと言われていた あの・・・・黒い液体は
彼の首の付け根まで 紫に染めている。
「ゲッ」
声が出そうになったのを必死に止める。
夫の自画自賛を聞きながら どうかこの惨状を彼が気づかないように
私は必死に祈っている。
まだその心配は続いている・・・・
夫はまだ裸のままヒゲを剃っているからだ。
きっと頭髪が若々しくなって ご機嫌なんだろうと予想する。
その後姿の 紫色が語っている。
「黒々しく 染めてみました・・・・・」と・・・・・・・。