『感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン(2017 年改訂版)』。日本循環器学会のページから。
需要はないと思うのですが、以前メモしていたのでそのまま載せます。
これは私が勝手にメモしたものです。
情報が古くなっていたり、間違っている可能性があります!
これを読んだのは入院当初のことでした。入院したばかりで主治医の先生との信頼がまだ無く、病気になったショックもあって誰も信用出来ませんでした。でも病気について知らなければ、自分の未来を丸投げすることになります。
だから、信頼できる情報、詳しい情報を見ておく必要がありました。
その意味で、これを読んだことはよかったと思っています。分からないところばかりでしたが、治療方針への疑念(最初は「抗生剤長い!」と思っていました)が解消しましたし、正体の分からない漠然とした不安が、理由のある、正体のはっきりした不安に変わりました。
不安がはっきりすることは怖いことですが、そのおかげで、その不安について先生や薬剤師さんに相談することが出来るようになりました。
ただ、その分、「それが必要なのは分かるけど、いやだーー!!」ということが増えました(笑) 食道エコーや手術がまさにそれでした。それはどうしようもないものですね……。
なので、この病気になった人に、こういう資料があるよ、と、生意気にも伝えたいと思ったのです。(ググったらすぐ出るけど!(笑))
(勝手な抜粋で、内容を保証するものではありません(^-^;))
先天性心疾患と発熱
観血的な歯科治療や外科手術など,誘因となる病歴が発熱以前に存在する症例は約 25% にすぎないが 10),僧帽弁逸脱を含めた弁膜症や先天性心疾患を過去に指摘された症例に発熱が認められた際には,診断的価値が高い
私のこと。弁膜症(逸脱だったか閉鎖不全症だったかは子ども時代のカルテを参照しないと分からない……)、歯科治療などの誘因を持っていた。そして発熱が認められていた。
これらは分かる人からすれば「診断的価値が高い」のだろうし、そうでなければ「ただの風邪」として処理されて発見が遅れていたかもしれない。
疣腫が残ることもある
抗菌薬治療により,約 30% の症例では疣腫エコーが消失するが,残りの症例では残存する45).したがって,治療後に疣腫エコーがみられた場合でも必ずしも再発とは限らない.
菌のかたまりは消失しないことも少なくないのねぇ。変化しない、増大することもあると、どこかで読んだ気がする。
弁逆流から心不全になることが多い
IE に合併する心不全の多くは,感染による大動脈弁または僧帽弁の弁破壊による弁逆流によって引き起こされる.こうした弁逆流は急性発症であることが多く,容量負荷に対する左室拡大などの代償メカニズムが不十分なため,急速なうっ血性心不全を発症することがある
左室に負担がかかると心臓が拡大(心拡大)して心臓の機能が落ちてゆく、と思っていたのだけど、感染によって急性に発症するのでそうしたメカニズムが働く間もなく心不全になりうる。これが単純な僧帽弁閉鎖不全症との違いだろうか? 心不全の併発は予後(治療後の寿命)に大きく関わる。
塞栓症のリスクを高めるもの
塞栓症のリスクに関与する因子として,疣腫の大きさ(10 mm 以上または 15 mm 以上,抗菌薬投与後に増大),可動性,付着部位(僧帽弁,とくに前尖),原因菌(ブドウ球菌,真菌)などが報告されており 16, 19, 46, 67, 216, 218–220, 223, 225, 226),
塞栓症のリスクは、早期手術を考える理由のひとつ。私のときも、ゆうぜいが10mm以上だと動く危険が高まるという説明はあった。ただ、私は6mm程度でそれ以下らしいとのことだった。
僧帽弁IEの手術について
すこし長いけど抜粋。
僧帽弁 IE に対して,感染が弁膜または弁下組織の一部に限局する場合は,僧帽弁置換術で感染巣の切除と再建は達成できる.しかし,人工僧帽弁の耐久性,合併症を考慮すると,僧帽弁形成術が望ましい場合が多い.
弁の穿孔病変には自己心膜または異種心膜でのパッチ修復術,腱索断裂には人工腱索での修復が可能である.さらに広範な弁の破壊に対しては,感染組織の郭清後に,残存組織での弁形成が可能かどうかを判断することが重要である.
一方,感染が弁輪周囲へ波及して膿瘍を形成したり,正常な解剖構造が破綻をきたした重症例では,弁置換と弁輪周囲の再建手技が必要である.感染組織の完全な切除,郭清後,欠損部位を自己または異種心膜で再建する.
IE に対する僧帽弁形成術の優れた成績の報告もあるが,経験豊富な施設からの報告であり,一般的にはあてはまらない可能性もある.
また,感染がコントロールされた心不全のない IE の手術は待機的に施行される場合もあるが,
早期手術により形成術の完遂率が高くなり,生存率が向上したという報告も多い 351, 371–373)
私の弁はどうなっているのかなぁ。やはり形成(修復)で行けるのか気になる。「経験豊富な施設からの報告であり」と書いてあり、IEの場合の僧帽弁形成術(修復術)については病院選びも大切になりそうだ。悪くなって本当につらくなってから手術をするよりも、悪くなり始めるほうが良いのではないか、とも。
術後管理について(術後の治療について)
通常の弁膜症の術後管理と異なる点は,周術期中枢神経合併症の悪化または新たな発生があること,弁周囲逆流の発生率が高いこと,またその原因の 1 つとして感染が遷延する場合があることである.
これらの合併症に対する注意深い観察とそれぞれへの対応が必要である.中枢神経合併症を有するか予測される患者には,抗凝固療法を必ずしも要しない生体弁を用いるか,弁形成術を行う配慮があってよい.また,弁周囲逆流や感染の遷延は再手術を必要とすることがあり,その時期の判断を誤らないことが重要である.
たしかに、脳出血とかが予想される場合、抗凝固薬を服用している状況で脳出血したら、と考えると恐ろしい。反面、抗凝固薬を飲まないと脳梗塞などの恐れがある。どちらがよいかは一律には言えない。医療者の「注意深い観察とそれぞれへの対応」や判断については、患者として確認してもよいかもしれない。
再発について
再発は,再燃(初回と同一原因菌の感染)と再感染(初回と異なる原因菌の感染)に分けられる.再発の頻度は 2 ~ 6% とされる290, 381, 382, 384–386).自己弁 IE に対して人工弁置換術を施行した症例の再発は,術後 15 年で約20% とされている384).再発に関連する因子はいくつかあげられるが 385, 386)(表 22),初回治療時の不適切な抗菌薬治療が原因であることがもっとも多い.
再発には再燃と再感染がある。抗菌薬使用が不適切だと再発につながりやすい。
一度かかると再発しやすい(だから気をつけないといけない)
過去に IE の既往を有する症例は,既往のない症例にくらべ明らかに IEの罹患リスクが高い 392, 393).このような症例が IE に罹患すると死亡率が高い.そのため,人工弁置換症例と IE の既往を有する症例には,予防的に抗菌薬を投与するべきであり,患者にも適切な予防法を教育する必要がある(「CQ4:高リスク心疾患患者に対する歯科処置に際して抗菌薬投与は IE 予防のために必要か」p. 55 参照).
一度罹患している以上は再発のリスクも高い。出血しうる歯科治療の場合(歯石除去、抜歯など)には予防的に抗菌薬が必要。人工弁もそれ自体IEの大きなリスクであるとされている。
あらためて、大変さを知る。
歯科:菌血症
血液中に進入した細菌は肝臓など細網内皮系組織によりすみやかに血液中から除去され,多くは数分後に血液中から消失するため,「一過性の菌血症」とよばれる.歯科処置に伴う菌血症の発症率は,抜歯などではほぼ 100% であり,歯石除去でも高率である431).咀嚼や歯ブラシ使用によっても発症する(表 25)431, 432, 439–443).
菌血症がすぐにIEに繋がるわけではないけど、IEの大きな要因になる。
咀嚼、歯ブラシもリスク、どうやって防げるのか。だけど口腔内の不潔はもっとリスク!
一患者の実感としては、IEの治療にあたっては歯科のある病院がいいと感じました。
私は歯科治療のためにたびたび外出して大変でした。体調がそれを許してくれたのも良かった。
歯科のことはこちらに