5月28日、月曜日。曇り。
朝5時起床。
検査は、血液検査、心エコー、レントゲン。
早くも一ヶ月(と一日)を迎えた。
読書や学習がめまいなどに惑わされてまったく進んでいないのを考えると、退屈に思えた入院生活も意外と早く感じる。
具合が悪い日などは寝たきりだから、そのときは「一日ひまだなぁ」と思うのだけど、いざ過ぎると早い早い。
やはり、体力も落ちているのだろう。
そんな話を先生とした。
閉鎖不全のせいとは考えにくいらしい。もう少し聞いてみたい。
体調が悪い、胸が痛いな、と思っても、モニター心電図は悲しいほどに正確なリズムを刻んでいる。昨日の12誘導心電図でもそうだった。
心臓の問題だとしても、瞬間的なものだから確認がとても難しい。あるいは本当に心臓はほぼ無関係かもしれない。そこが見極められない。
冤罪裁判にかけられた被告のように、「ウソじゃない、あの動けなくなる感覚はたしかにあった!」と、叫びたくなる。
昼は新聞を見ながらメモ。これをやらないと、ほんとうに浦島太郎になってしまう。竜宮城にも行ってないのに。
『茗荷谷の猫』を読み終えた。三回目。短編集なのだけど、何度読んでも惹かれる。「てのひら」という作品は、憧れの対象だった母が、老いとともに崩れてゆくさまをはっきり描く。
しかも、母に贅沢をさせようと高級料理店の予約をとる娘の思いやりと、倹約に努め手料理の弁当を振る舞おうとする母のすれ違い。
都市の生活が、世代の違いが、時の流れが、二人の断絶を残酷につきつける。読んでいてつらかった。
半分読書日記になってしまったけど。
やっぱり心の栄養。
笑って、悲しんで、泣く。
病院だとどうしてもそれが無くなるから。
午後10時就寝。