私はいろいろ考えに考えてしまうタイプなのだけど、だからこそ、考えても意味がないこともあるのだと知っている。
考える必要のあることは、しっかり考える。あとは待つしかない。そして、心配や不安はどこかで切らないといけないのだと思う。
ネットにはたくさんの情報がある。
例えば、「めまい」ひとつとっても、脳梗塞から自律神経失調まで、「即手術」から「気のせい」まで。原因も、頭、目、耳、首、胸、腹、足、こころ、しかも痛む場所と原因が違うこともある。
ネットで症状から病名を推測できるサービスがあるけど、私にとっては悩みを増やす結果にしかならなかった。
めまいで悩んだあと、悩みすぎる無意味さを学んだ。
だから、感染性心内膜炎で入院することになったとき、知りたいことをふたつに絞った。
・自分の置かれている状況、治療方針
・経験者の声。生の声。何が辛かったか、どう乗り越えたか
自分の状況や治療方針を考えるための確かな情報。当然、先生には説明を受けるけど、医学を熟知する先生がいくら丁寧なつもりでも、まったく無知な患者(=私)では「分からないところが分からない」さえある。だからまず自分で調べる。
けどネットは情報が多すぎる。説明の重複も多く時間を浪費する。けど、感染性心内膜炎については、幸いにもいい資料があった。
分かるところだけ見て、「これ、先生に聞いたところだ」などとおさらいしながら読んだ。先生の考えも部分的になぞれるので、質問にも役立つ。
悲しいことに、血液培養の結果を待つまでもなく、私の病状は、感染性心内膜炎の診断基準の大基準1つ、小基準2つに触れているのだと、納得した。「確定」と「可能性(疑い)」の間だ。
先生は、分かりやすく、かつ無駄な時間を省いて伝えるために情報を省略することが多い。けど、最初は信頼関係が無いから、私は先生がどういう理由で判断しているのか、知りたかった。
死ぬことはそうそう無いにしても、自分の人生に関わること。「この先生なら」とか「専門家だから」というような安易な判断をするつもりはなかった。
それでガイドラインを見て、種々の検査、治療方針が、ガイドラインどおりに、かつ用心深く考えられていることを知った。例えば、ガイドラインでは血液培養陰性後、4週間の抗生剤投与が推奨されていたけれど、先生は5週間やると言った。5週間と聞いたときは長いなと思ったけど、それで納得した。
他にも、ガイドラインを見て分かることがいろいろあった。
経験者の声は、それとは別の意味で参考になるし、励みになった。人それぞれ病気も治療方針も違うけど、入院生活の不安や悩みに共感させられることも多い。
自分がやるであろう検査の感想、術後の経過、同じ病気の人が退院後どんな日常生活を過ごしているのか。
気持ちの面でとても支えられている。身近には感染性心内膜炎の人も居ないし、独りではお先真っ暗、不安しかなかったと思う。
快復した人の話を見ると、早く元気になって、寿司とピッツァが食べたいなと思う。
オープンカフェで街行く人を見ながら、家族や友達とお茶したいなぁ(食べ物ばっかり)。