5月16日、水曜日。晴れ。
5時起床。
今日は血液培養のみ。
だけどいろいろ印象に残ることがあった。
夜中、看護師さんが外れた心電図を治しにきてくれたのだけど、寝ているときにいきなり触れられてビックリ、ガバッと起き上がってしまった。
おばけ屋敷の(驚かせ役の)死人もかくやという動きだった。あちらもビクッとしていた。こっそりやらずに、起こしてくれていいのに。
今日も変な夢ばかり見ていた。
街を歩いていたら、黄色い服を着た怪しい宗教信者たちに誘われてマラソンをする夢。
父が私のカップ焼きそばを作りかけで残していて、私が激怒する夢。
デヴィッド・スーシェ氏と檀れいさんが「名探偵ポアロ」として共演している夢。
夢の中のオムニバス(笑)
あまりよく眠れていないのかも。
ベッドでもぞもぞしながら思ったこと。
点滴の固定の仕方が、看護師さんによって違っていることに気がついた。
丁寧に細いテープで何ヵ所か固定する人もいれば、太いテープで一ヶ所だけという人もいる。
抗生剤自体も、きっちり最後の一滴が入るまでやる人と、思ったより遅いときに「ほとんど入ったから大丈夫」と、けっこう残ったまま持って行っちゃう人もいる(^-^;
そんなことを考えながらベッドでもぞもぞしていた。
朝食後、点滴の時間が迫る。
ベッドのスペース的な問題、利き手がふさがるという問題で、点滴は毎回左側から左手にしているのだけど、血管がちょっと心配。でも、右は明らかに痛い……利き手だからか?
そして血液培養。やっぱりこれだめだ。毎回、全身から汗が吹き出る。看護師さんにやってもらうより痛い気がする……

看護師さんには「いい血管出てるわねぇ!」と、よく言われるし、実際ほとんど痛みもなくスムーズにいくことが多いのに。
もう一発。気合いを入れて、ぐっ、と堪える。汗が噴き出す。時代劇で切腹に臨む武士じゃないんだから。ちくっとするだけなんだから。
いや、でも、先生、毎回入れてからけっこうえぐってくる感じなのよね……。ぐい、ぐい、ずぶ、ずぶ、って。さくって、行かないのかな。さくって、いうか、すっ、って。
終わって抗生剤点滴をしてもらうころには、全身汗びっしょり。完全に脱力。
ぼけーっとしながら、点滴が終わるのを待つ。先生が新しい看護師さんにしていた話を思い出していた(うろ覚えなので違う部分もあるかも)。
正しいやり方は、アルコールで消毒、続いてクロルヘキシジン、ポビドンヨードで消毒。
コンタミ。とうぜん皮膚にも菌は居るから、その混入を極力防ぐ。菌が混入すると、血液中に居るのか、外から入ったのか、判別の精度がブレる。そのために二セットやるけど、とにかく混入は無い方がいいから、消毒、清潔を徹底する。
皮膚に刺した針から菌が入るかもしれないので、針を交換してボトルに入れる(検査に影響は無いと、しない人もいるらしい)。嫌気性ボトルに入れるときは注意する。
「触っちゃダメ」と、静かに、でも力強く叱ることが何度かあった。とくに注射針の扱い。「まだ開けちゃだめ、あああ開けたら使わなきゃ」「触っちゃダメ、もう清潔じゃなくなっちゃう」と叱る声が響く。緊迫。
先生が直接やる理由が分かった気がする。
看護師さんと先生で微妙な違いを感じる。先生が厳しすぎて看護師さんがついてきてない気がする。
ある朝、看護師さんたちが部屋の前に来たときのこと。その一人が「aplicityさん、xx先生の指示で抜き差しなんです」と言った。すると別の看護師が「めんどくさ」とつぶやいたのを、ベッドのなかから聞き逃さなかった。
複雑な思いがした。
・「いつもニコニコしてるけど、裏でそんなこと思ってるんだ、こっわー!」
・「忙しいなか面倒ですよねー」という共感
・「それ患者の前で言っちゃう? 聞こえてないと思ってるでしょうけど、聞こえてますよ」という苦笑い
・その人に当たりませんように。あちらも「面倒」だろうし(皮肉)

気を取り直して、血液培養のあと、点滴。そのあとシャワーを浴びて、新聞を買いに行ったら、もう12時。
お昼を待ちながら新聞を読む。
隣の人が痛がっている。造影剤の針、痛いよなぁ。私のときも、血管が細いのか、2日くらい腫れてて、押さえると痛かったもんなぁ。
おじいさん、血管が細いらしく、しかもまっすぐでないので何度も失敗している。カーテンごしに聞いているだけで朝のことを思い出して震える((( ;゚Д゚)))
でもおじいさん、すごく冷静に
「入ってない。」
「入ってない。」
の連呼。
すごいな。いやほんとに。
仙人かと思った。私には無理だ。
お昼ごはん。
おおおギョーザーー!!
(クラシカロイドのベト風に)
……クラシカロイド見た人居ないと思うけど。
俄然元気になった。
うまいものを食べれば元気になる。
日ごろ心配性の私だけど、根は単純人間だ

うまいものを与えておけば元気になる。
ドリルをセクション半分進めた。計450問。でもこれ、用例の多い順なので、最初はそれこそ「The」とか「I」から始まって、だんだん難しくなってくる。
サキの短編集『平和の玩具』を読む。同名の作品は示唆めいている。
午後はこれだけで6時になってしまった。
母が来て、着替えを持ってきてくれた。お駄賃ではあるけどアイスココアをごちそうした。というかあっちも「お前が飲みな」と言ってくるので「こういうのは受けとるべきだ飲みたくないなら仕方ないけど」と一息に言って押しつけた。
今日は話題が多すぎた。夜も今日の日記のようなこと(不安とは別の雑念)をいろいろ考えてしまって、なかなか寝つけなかった。
ある意味で、充実した興奮なのでいいけど。
22時就寝。