ほんと、風邪かと思ったら心臓病、それが感染性心内膜炎なのだと思った。念のためとはいえ、まさか、即入院だなんて。病気に縁のなかった私には、とてもショックだった。

 長くなってしまうけど、最初なので経緯を書きたいと思う。

 最初の症状は3月のこと。仕事中に、ふらっときた。平衡感覚に違和感を覚えつつ仕事をしていると、またふらっ。さらに寒気、吐き気、冷や汗が止まらず、ふらふら感も強まるばかり。その日は早退するも、数日寝込む。

 それから内科、耳鼻科、脳神経外科、心療内科にかかるも、結論は「自律神経かなあ」というあやふやなもの。「自律神経ならとりあえず」と、心療内科からでた抗不安薬もまったく効かない。

 昼までふつうに食べていたのに、おやつの時にいきなり食欲がなくなる、という不思議な症状も出てきた。

 さすがに「なにかおかしい」と思って体温を記録しはじめた。すると、体温が37度台を下回らない。それが数週間続いた。

 かつて少年期に僧帽弁に問題があると指摘されていたので、循環器内科を受診。依然心雑音はあるが、経過観察でとのことだった。

 4月、午後8時、コンサート鑑賞中にふらつき。だるい。吐き気もする。休憩の合間にあわててドラッグストアに駆け込み、体温計と吐き気止めを探した。

 体温39度4分。ドラッグストア店員さんから、「東京都医療機関案内サービスひまわり」を教えてもらい、あわてて電話(#7119しようかとも思った)。丸の内に9時までやっている病院があるというが、既に8時過ぎ。ろくに歩けないこの状態、溜池山王(サントリーホール)からでは時間的にきわどい。あとは救急しかない。

 やむなく帰宅を決意。39度にしては頭痛もなにもなかった。ただただだるい。

 翌日、循環器内科を受診。続く微熱、高熱、僧帽弁逸脱、とセットが揃ってしまったので総合病院を紹介してもらう。

 自分では、諸症状を考えて、自律神経失調症(ここでは実質的に″分からない″と同義)だろうと思っていた。抗不安薬と生活サイクルの見直しで治るだろうと。

 予約を申し込み、数日後に総合病院を受診。2時間待った。診断は「心内膜炎疑い」。疑いではあるが可能性は高く、念のために早くから抗生剤投与を開始したほうがよいとのこと。

 即刻入院でした。血液培養4セット、血液検査、経胸心エコー、レントゲン、胸部CT、頭部MRI. 期間は4週間程度の見込み(後日、血液培養で陽性になり、1ヶ月以上の入院が決定)。

 そのあとは手術が必要になる可能性も高い。機械弁を入れないといけないかもしれない。つい最近までまったく健康だと思っていたのに、いまや人工物を体内に入れるかどうかという話まで出てきてしまっている。

 病院の「び」の字も知らなかった私が、あっという間に立派な病人になってしまった。私の脳裏にまず浮かんだのは「お荷物」という言葉。これからどうしよう、どうなるんだろう、というのが本音。