タイトルどおり「守備」に視軸を合わせたビギナー向け指南書です。

自分もそうですが、スジとか現物とかなら知っているし残り枚数なんかでロン牌を推測する事はあるけれど、それでも捨て牌の読み方や危険牌の見定め方なんてさっぱり分からんという人もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。そうした人向けに、放銃しないための基本的な考え方が、具体的な例をもって解説されています。ほかにも、他家からリーチが掛かった場合または鳴きが入った場合にオリるか押すかの基準、安全牌が無いときの身の振り方などが含まれています。

捨て牌の読み方なんて、素人が我流で考えたところで所詮休むに似たりであり、やはりプロの打ちまわしを知るべきだなと感心しました。


 

 

 

[内容]

第1章 守備のための基礎知識

第2章 ベタオリのテクニック

第3章 読みのポイント

第4章 リーチへの対応

第5章 鳴きへの対応

第6章 押し引き・手組のポイント

 

 

前作『効率的なアガリ方』の続編。前作はタイトルどおり効率的にアガりを目指すためのストラテジーが主であり、「攻撃」にフォーカスした内容が殆どでしたが、翻ってこちらは「守備」について書かれた一冊です。

 

第1章では、守備に関する基礎知識。現物・スジから始まり、またぎスジや裏スジなどのテクニック。「スジ」くらいなら知っているけれど、またぎスジと裏スジははじめて知るという人もいるかもしれません。また、ノーチャンス・ワンチャンスなどの専門用語も紹介されています。

第2章は、ベタオリする場合のテクニック。ベタオリも立派な戦術であり、オリると決めたのならば、どっちかずの中途半端ではなく、一貫してベタオリに徹すべき。このベタオリに関してもちゃんとテクニックがあるとのこと

第3章は、捨て牌の読み方のポイント。どういう観点で他家の捨て牌を見ていくのか。どの牌が読みの肝になるのか。チャンタや染め手の場合は明らかですが、七対子の気配が濃い場合の捨て牌相など、いくつか例が挙げられています。

「難しく考えないことが大切」と書かれてはいるものの、素人には中々どうして難しいのですが。

 

第4章は、リーチが掛かった時の対応およびロン牌の読み方です。第2章のとおりベタオリも立派な戦術ではあるものの、他家のリーチのたびにベタオリを決め込んでいては、振り込まずともトータルで沈む可能性大。そうかと云ってリーチなど歯牙にもかけず、無為無策に己のアガりだけを目指すはもちろん愚の骨頂。だいたい、そんな打ち方では全く面白くない。リーチに対して押すかオリるか、その辺の基準がサジェストされています。

第5章は、鳴きが入った場合の対応。鳴いた意図、警戒しなくてもいい鳴き、鳴いたときに切った牌。他家の鳴きには、目に見えるもの以外にも多くの情報が内包されており、それらを読み取ることで適切な身の施し様を決められる、という趣旨でした。

そして最後の第6章で、まとめ的な内容として押し引き・手組のポイントを解説。

 

 

全六章構成、いろいろ書かれていて、素人からすると結局どうしろっていう感じがしないでもないのですが、まあ麻雀の守備なんて攻め方よりも更に時間を掛けて身に付ける類の技術なのでしょうし、マニュアル通りにいくものでもないのだろうと読んでいて思いました。もっとも、マニュアル通りにいかないからこそ面白いものなのでしょうし、読んでいると実際に試したくなるアイデアばかりでした。

なお前作同様、麻雀のルールについては一切説明されていないので、まあ麻雀のルールを何も知らないでこの本を買う人はまずいないだろうとは思いますが、その辺は一応注意が必要です。

 

役は知っているしそこそこアガることも出来るけれど、捨て牌の読み方やロン牌の当たりの付け方となると、皆目分からないという方も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。そうゆう人には誂え向きの入門書。「攻撃」にフォーカスした前作よりも複雑な感じはありますが、自分のような素人から見ても総じて分かりやすい内容でした。

 

 

読了:2023年8月26日