読書メーターのほうは、登録開始から4000日経っていたようで、長いなって思います。おかげで色んな本と出会えたと思います。そして4000日目に読んでいたのは今邑彩『鬼』でしたが、それも読書メーターのなかで出会った本のうちの一冊です。
2026年9月の読書メーター
読んだ本の数:14冊
読んだページ数:4496ページ
■ブラック・ラグーン (1)
9月4日 著者:広江 礼威
いいだけ堅気の元社畜が、堅気のカの字もない非合法運送屋の一員に成り下がる。アニメは以前視たことあるも原作は初見だったのですが、原作もやっぱりクリミナルだしインモラルだしデンジェラスだし、それでいてその端々に窺えるウィットが実にクール。レヴィ、ダッチ、ベニーといったメンツが魅力的で痛快であり、またアニメにおいて強烈なインパクトを残したロベルタも、この巻から既に出ていたんだなって妙に感心しました。こうして見るとアニメの演出って鬼がかっていたと改めて思います。そしていつ見ても圧倒的な格好よさを誇るはバラライカ。
■ボビー・フィッシャーのチェス入門
9月6日 著者:ボビー・フィッシャー
■ガーデン
9月8日 著者:千早 茜
彼のもとからは例外なく女性たちが離れていく。厭世とも諦観とも皮肉とも違う、一口では言い表せない人物像とストーリーであるという印象でした。自分だけの庭に生きて、他人と深く関わることを避け、彼女達の求めに応え続けることに恐れと億劫を感じてしまう。もっとも、そうしたことは誰にでもあるだろうし珍しい話でもないのかもしれませんが、それでも溜まった屈託は、ときに善からぬ結果を生む因となるようでした。そして植物も人間も通底するものがある。病みのきざしを見つけた時には既に遅い、という述懐が象徴的であり印象的に思えました。

■梅安針供養 仕掛人・藤枝梅安(四)
9月10日 著者:池波 正太郎
■親指のうずき
9月12日 著者:アガサ・クリスティー
『トミーとタペンス』シリーズの長編三作目にあたるらしいのですが、シリーズはじめましてでも十分楽しめました。夫婦探偵というガジェットがまず面白いですし、老境ゆえの成熟感と少年のような無鉄砲が感じられる人物造形が実に魅力的。ストーリーとしては、養老施設で出会った老婆が行方知れずになり、不穏の気配を感じたタペンスが運河の家の絵を手掛かりとしてその消息を追っていく、という導入でありミステリーとスリラーが相和していたと思います。そして最後の独白において窺える彼女のインサニティと、読んでいて走る怖気が大層出色でした。
■鬼
9月14日 著者:今邑 彩
■剣客商売
9月16日 著者:池波 正太郎
仇討ち、真剣試合、道場の跡目争い、老中毒殺の企み。これぞまさに時代小説という趣向であり、それでいて他の追随を許さないオリジナリティは、読み進めるだに胸の高鳴りを覚えます。流行らぬ道場の主、悠然な暮らしを楽しむ老父。そんな父と息子を主人公に据えたストーリーは、鬼気迫る剣戟は勿論のこと、女流剣士・三冬たちを含めた人情劇もまた見どころのひとつではないかと思います。剣客たちの端倪を許さない全七篇。怨嗟、悔恨、宿業。剣に一筋に生きる者たちの境涯や業の重さが垣間見え、そしてそこにはどこかロマンも感じられたものでした。
■悪魔の審判
9月18日 著者:神永 学
■永遠の途中
9月20日 著者:唯川 恵
羨望は妬みに、同情は蔑みに、友情は劣等感へとすり替わる。広告代理店における同期入社の女性二人を主人公に据えた長編であり、ひとりは仕事にひたすら打ち込み、ひとりは結婚して仕事を辞めたのでした。一見対照的な生き方を選んだ二人の人生を、特定の年代でなく27歳から60歳まで結構レンジを取って描いているところがまず趣向として面白いと思います。相手に対して負い目を感じたりあるいは優越感を覚えたり、相手の毀誉褒貶が自分の胸に蟠りを残す。誰しも少なからず経験があるだろうし、そうした未練と劣等感がリアルな一篇だと思います。
■チェス 次の一手 111題
9月22日 著者:東 公平
■しろがねの葉
9月24日 著者:千早 茜
山は人間にとって恩となることもあれば仇となることもあると思いますが、そんな山に対して畏怖を覚える一篇でした。家族と別れ、山師に拾われ育てられ、そして石見銀山で働くことになった少女。彼女を主人公に据えた、鉱山に生きる者達の物語。序盤こそ世界観の独自性に馴染みきれず、読むのに少し難儀しましたが、次第に主人公に同調するようになり気付けば読み耽っていました。その果て、病に蝕まれる銀堀たち。愛する者を遺して逝く無念、そして愛する者を救う手立てのない女たちの無念。始終坦々とした語り口の中、幾つもの哀切が胸に迫ります。
■不能犯 8
9月26日 著者:宮月 新、神崎 裕也
想い人の遺志を継ぐ覚悟、食品偽装の告発、実母殺しの依頼、最後は因縁のありそうないわくの刑事も現れ、盛りだくさんの巻であったと思います。保身と愛情と劣等感。胸中に凝った屈託が、赤い瞳を覗くことで、底無い悪意へと転じるのでした。ハイライトは、宇相吹逮捕のために仕組んだ警察の権謀術数。これまでも何度か登場していた、人相の悪い高慢警視が再び出馬ですが、“正義とは「権力」”という己の金科玉条を貫いた顛末であり、彼の印象が少し変わったものでした。そしてそんな渦中で揺らめく不能犯。終わりと新たな展開を予感させる第8巻。
■深泥丘奇談
9月28日 著者:綾辻 行人
■作家刑事毒島
9月30日 著者:中山 七里
勘違い作家志望、ストーカー気質のファン、老害作家、因業編集者、悪徳プロデューサー、出版界隈にはそんな特級呪物たちが生息しているようです。そんな中で起こる殺人事件。探偵役は、小説家にして刑事技能指導員という兼業作家であり、業界に関する造詣と鋭い慧眼、そして毒舌を遺憾なく発揮して真相に迫っていく。見下げた性格悪と評されていますが、いかんせん被害者と容疑者の方も大概であり同情の余地があまり無いという。また、ミステリーとしての面白さも出色ですが、むしろ出版界隈のごちゃごちゃの方が話の本体のように思えたものでした。







