はじめましてでしたが、とても好きでした、『任侠』シリーズ。

 

 

 

2022年12月の読書メーター

読んだ本の数:16冊

読んだページ数:5978ページ

 


 

 

■赤いべべ着せよ…

12月1日 著者:今邑 彩

 

 

■PSYCHO-PASS ASYLUM 2

12月3日 著者:吉上 亮

サイコパス・スピンオフ二篇。未成年の妊婦を拉致しては出産の後に惨殺するという猟奇事件。六合塚が過去の因縁を断つストーリーでありカタルシスがあります。そして六合塚&唐之杜のガールズラブが、思った以上に情が濃やか。二篇目・宜野座編は、愛玩動物保護とアニマルセラピストの失踪事件。この真相たるや、全くもって吐き気を催す邪悪であり、かなり厄々しい顛末でした。全二篇。『サイコパス』メンバーの過去だけでなく、恋愛事情や動物愛玩など本編で描かれていない『サイコパス』社会の営みが取り上げられており、それもまた面白いところ。

 

 

PSYCHOPASS

 

 

 

 

 

■覘き小平次

12月5日 著者:京極 夏彦

 

 

■小悪魔女子大生のサーバエンジニア日記

12月7日 著者:aico、株式会社ディレクターズ

今日日インターネットなんて空気みたいなもので、あって当然無いと困るものではあるのでしょうが、その仕組みについては実際はよく知らないという人も結構多いかもしれません。ましてや、情報インフラ系の仕事でもしていない限り、サーバなんてあまり気にしないでしょう。ここではインターネットとサーバのさわりの部分が、跳梁跋扈するゆるキャラのもと、解説されています。内容自体はしっかりとしており、インターネットの基本を学びたいとか、急にサーバ関連の仕事をしなければならなくなった人などには、入り口の一つとしていいかもしれません。

 

 

小悪魔女子大生のサーバエンジニア日記

 

 

 

 

 

■透明カメレオン

12月9日 著者:道尾 秀介

ラジオパーソナリティと愉快な仲間たちが加担させられる復讐計画。妙竹林な復讐タスクとストーリーがどう転がっていくのか予想つかず、滑稽味もあり始終楽しんで読み進めていました。ミステリー的な驚きはそこまで強烈ではありませんでしたが、虚と実が入れ替わるような真相はたいそう好みです。そして、虚実を入れ替えていたのは彼女だけではなかったのです。消したい過去や消えない悔恨は、嘘の「話」に作り替えてしまう。語ることで嘘は実になる。過去も変えられるし、透明なカメレオンもいるのだろうと思いました。愉快で悲しくて感キワな一篇。

 

 

透明カメレオン

 

 

 

 

 

■京の怨霊、元出雲 古事記異聞

12月11日 著者:高田 崇史

 

 

■探偵の探偵 桐嶋颯太の鍵

12月13日 著者:松岡 圭祐

帰ってきた対探偵課。続編ということで『探偵の探偵』らしい、バイオレンスとイリーガルさが遺憾なく発揮されています。ターゲットは、色欲と脂肪が服着て歩いているような成金親爺。その親爺が企むきな臭い大犯罪を見極めるため、そして女の無念を晴らすため、「探偵の探偵」が調査に動き出す。最後の抗争劇はちょっと長すぎる感があって、やや飽きてしまった部分はありますが、全体的にはたいへん痛快なドライブ感でした。主人公がシフトチェンジされていますが、松岡圭祐小説で男性主人公は久しぶりな気もするので、なかなか新鮮さもありました。

 

 

桐嶋颯太の鍵

 

 

 

 

 

■化物語 (1)

12月15日 著者:大暮 維人

コミカライズで楽しむ「物語」。小説のほうは、むかし知り合いから借りて読んだことがありますが、それに画が付くとこんな感じなのかって結構新鮮でした。ストーリーは漫画で読んでも面白かったですし、小説読んでいるときはあまりピンと来なかった「蟹」にしてもこうゆう造形だったのかと妙に感心しました。原作読んだ記憶を色々辿りながら読むのが、これまた楽しい。シリーズとしては、小説を5~6冊くらい借りて読んでみたものの、途中からこのノリに付いていけなくて辟易した記憶があるのですが、マンガで読んだらどうだろうなとは思いました。

 

 

化物語

 

 

 

 

 

■ecriture 新人作家・杉浦李奈の推論 VI 見立て殺人は芥川
12月17日 著者:松岡 圭祐

 

 

■任侠書房

12月19日 著者:今野 敏

ヤクザと出版社。あまり並び立つ感じはしませんが、その両極端な二者が相和して、とても面白いストーリーになっていました。万夫不当のヤクザが、倒産しかかった出版社の立て直しに奔走する。陳腐な週刊誌、売れない小説、精彩を欠く女性誌。マイナスのオーラに満ちた商品と社員たちが、ヤクザの経営により捲土重来の機運を見せてゆく。その模様は痛快でしたし、オフィスドラマとしても面白かったです。そして、姑息で狡猾なマル暴刑事に捕まった仲間を取り戻すため、ヤクザが社員たちと協力して策を講じる。その展開もまた面白いものがありました。

 

 

任侠書房

 

 

 

 

 

■万能鑑定士Qの事件簿Ⅷ
12月21日 著者:松岡 圭祐

海外スペシャル第二弾・台湾編。海水の淡水化に関する、犬が聞いたって嘘だと分かるような詐欺事件。その詐欺の証拠を掴んで故郷の財政破綻を防ぐため、万能鑑定士・凜田莉子がお友達とともに台湾を駆け巡る、というストーリーになっています。時間切迫による焦燥感たるや、読んでいてるこちらも緊張を禁じ得ないものがあります。台湾と日本。なまじ似ているが故に騙されるであろうトラップも、なかなか面白いと思いました。そして今回は再読でしたが、最後の港における「○○○○○○」は鮮明に覚えていましたし、再び読んでも笑ってしまいました。

 

 

万能鑑定士Qの事件簿

 

 

 

 

 

■人形館の殺人

12月23日 著者:綾辻 行人

 

 

■スケルトン・キー

12月25日 著者:道尾 秀介

フィアレス・サイコパス。ダークで背徳的なサスペンス感がとても好きでした。自他ともにサイコパス認定された青年を主人公に据えた一篇。ところどころ違和感があったので、何か仕掛けがあるんだろうと想像しながら読んでいました。実際それは想像の埒外だったわけですが、こうゆう犯人の正体については、ありそうだからこそ逆に珍しいような気もしたものでした。そして、終章におけるご母堂のメッセージは祈りと慈しみに満ちており、前章までのクリミナルでノワールな雰囲気との対比もまた面白いものがありました。生来恐怖という感情が欠落した者。

 

 

スケルトンキー

 

 

 

 

 

■鬼の跫音

12月27日 著者:道尾 秀介

鬼がかった短篇六篇。倒錯的だったり、狡猾だったり、情念深かったり、執心甚だしかったり。過去に遡行していく中でそれぞれの業が露になり、読んでいると、人ならぬ者の所業に戦慄を覚えます。鬼であった者。鬼となった者。鬼に魅入られた者。どの話も意想外の真相や鬼気深い顛末があって、不安感が残ったり、あるいは怖気が走って背筋が冷たくなったりしたものでした。破滅的で耽美。道尾秀介さんの短篇集ははじめて読みましたが、ホラー味もあればミステリ色もあり、とても好きなテイストでした。特に五篇目「冬の鬼」。構成もストーリーも最高。

 

 

鬼の跫音

 

 

 

 

 

■前巷説百物語

12月29日 著者:京極 夏彦

 

 

■豆腐小僧双六道中おやすみ

12月31日 著者:京極 夏彦

愛すべき馬鹿。我らが妖怪・豆腐小僧が、舞台を甲州に移して繰り広げる珍道中。ボケと笑いが遺憾なく発揮されており、読み進めるだに笑いがこみ上げてきます。豆腐小僧をはじめ、達磨、河童、化け猫、化け蟹、化け狸。数多の妖怪たちが、例によって「いないけどいる」という金科玉条のもと、珍騒動を展開していきます。一方、人間サイドは倒幕に関する大騒動。人間も妖怪も、有象無象の玉石混淆が跳梁跋扈しており、両者の物語が同時に進行していくという愉快で珍しい小説。『百鬼夜行』や『巷説百物語』とは別方向で、稀代の妖怪小説だと思います。

 

 

豆腐小僧双六道中おやすみ