とても分かりやすいと思います。自分がこの本を読んだのは十年以上前であり、まさにこの本でルールを覚えたのですが、完全な素人でもすんなり頭に入ってきました。ルールや駒の動かし方の基本的な内容から、ピンやディスカバー等のテクニックまで、そして少しですが定跡も紹介されています。

この本を座右にアプリなどでコンピュータ戦を何度かプレイしてみれば、初歩は押さえされるのではないかと思います。チェスを覚えてみたいという方にお誂え向きです。

 

 

[目次]

本書の使い方

チェスはこんなゲーム

第1章 準備編 駒の種類と動きを知る!

第2章 基本編 チェスのルールを知ろう!

第3章 序盤編 序盤での基本テクニック

第4章 終盤編 終盤での基本テクニック

第5章 必勝編 攻め手・決め手のテクニック

第6章 実戦編 いろいろなチェックメイト

実戦! チェス観戦で実力アップ

詰めチェスで実力アップ

 

 

 

 

駒の動きについては、見開きでそれぞれが動けるマスと注意点が紹介されています。キング・クイーン・ルーク・ビショップは割と単純なので分かりやすく、ナイトが少し特徴的でしょうか。そして、こうしてつらつら眺めてみるとポーンっていうのは大層例外的だなって改めて思ったものでした。駒の取り方、アンパッサン、プロモーションなど。ほかの駒は全部2ページで解説されていますが、ポーンだけ8ページ割かれています。特徴的でもあるし、ここでも述べられていますが、駒単体としての価値は最弱だけれどこいつの動きひとつで戦局が大きく変わってくる事も珍しくないわけです。

 

 

そしてルールに関して。こちらも明快に解説されており、例えばよく耳にするけど「チェックメイト」とは具体的にどういうものなのか、「チェック」とはどう違うのか、その辺りも含めてたいそう分かりやすいと思います。

そこから序盤における駒の進め方、終盤におけるチェックメイトの例、そしてフォークやピン、ディスカバーなどのテクニックまで、アドバンスな内容に踏み込んでいきます。この辺りが一番面白いところでもありますし、読み応えもあります。最後には往年の名対局が三戦掲載されており、もしお持ちであれば、実際に駒を動かして考えながら読んでみるとこれまた面白いと思います。

また、巻末には詰めチェスが載っています。1手メイトから最大5手メイトまで。とはいえ3手メイト以上はさすがにルール覚えただけでは難しいかもしれませんので、取り敢えず1手と2手に挑戦するので丁度いいでしょう。

 

ひと通り読んだら、この本を見ながらネットやアプリなどでコンピュータ戦に挑戦してみると面白いと思います。読んでいると実際プレイしてみたくなります。フリーでコンピュータ戦が楽しめるサイトはたくさんありますし、Chess.com などであればレベルを割と細かく設定できるのでお誂えかもしれません。

最初はルールや小手先の技だけ覚えてもなかなか勝てないとは思いますし、本気でプレイしたら結構消耗するとは思います。それでも実際プレイしてみてちょっとでも何か面白いと感じるところがあれば、もう少し続けられることをお勧めします。はじめて自力でチェックメイトできたときの快感は格別ですから。自分も何度もの長考のすえ、ようやっとチェス入門βのレベル2に勝ったときのことはたいそう嬉しかったのでよく覚えています。今にして思えば、目も当てられないほど恥ずかしい棋譜だったのでしょうが。それでも初心者なりに相当集中していたので、だいぶ消耗はしましたが勝ったときの充実感も一入でした。

 

何度かプレイしてみて慣れてきたら、定跡の本とか詰めチェス集なんかに手を伸ばしてみるとよいかもしれません。YouTubeなどで実際の対局を観戦するのも実に面白いです。あるいは、この本の「チェス観戦」のパートで名前が出てきたボビー・フィッシャーなどの往年の名プレイヤーについて調べてみるという楽しみ方もあると思います。

日本ではチェス関連の書籍は、大型書店でさえなかなか品揃えが乏しいのですが、それでもビギナーの方でもしこの本を見掛けることがあれば、ぜひお手に取ってみてはいかがでしょうか。

 

 

手前味噌ですがご参考。

◆読書感想【ボビー・フィッシャーのチェス入門 / ボビー・フィッシャー】

 

読了:20201126