『マジシャン』と同発の『イリュージョン』も購入したので、ちょうどいま読んでいます。『Q』シリーズも『事件簿』を読了しましたし、10月に入って『ヒトラーの試写室』を再読しました。ちょっとした松岡圭祐ブームが来ています。

ところで9月はDIR EN GREYのアルバムも出ました。前のアルバム『ARCHE』が曲数も多くて割とバランスの良いイメージがあり、DIR EN GREYを初めて聴くよ、という人にも薦めやすいのかもしれませんが、今回はだいぶ振り切ったイメージがありいつも以上に、万人受け、という言葉を親の腹の中に忘れてきたようなイメージでした。「軽蔑と始まり」や「Devote My Life」は8月にライブで聴いたときは、何だいこりゃあ、って感じでしたが音源で聴いたら凄い格好良かったです。思春期に好きだったバンドは今でも好きなものです。

 

20189月の読書メーター

読んだ本の数:27

読んだページ数:8898ページ

 

■マジシャン 最終版

マジックで狼藉を働く者もいれば、人を救う者もいるそうです。「マジックを悪用した大規模詐欺」ですが、その下手人は結構ノーマークで読んでいたので、すこぶる意想外でした。そしてその悪行を暴くのは、マジックに通暁したお嬢さん。他シリーズと比べても、ひと際うら若く、それ故か成長途中感が割とあるような気がします。場末の雑居ビルからホール、そして世界へ。マジシャンとして名声を上げていく彼女ですが、次はどんな舞台で御目文字するか、とても楽しみなラストでした。そして実際にマジックショーとかちゃんとした場所で観たくなります。

930日 著者:松岡圭祐

 

 

 

 

■対訳 サザエさん〈3

929日 著者:長谷川町子

 

■眠りの庭

よくわかる嘘をつく人間の心理。貫き通した嘘は真実、というのは月並みかもしれませんが真理だと思います。二篇収録されており、前篇の雨と曇り空の薄暗く背徳的な印象と、後篇の特に明るく楽しいお話ではないものの初夏の風や日差しが感じられるその対比が面白く読めました。出てくる男性も、斜に構えた社会の落伍者一歩手前みたいな御仁と、極めて凡庸な人畜無害の会社員で、これまた印象的でした。前篇が特に好きです。こうして溺れて堕ちて背徳を抱えるような境遇は、別にそうなりたいとは思いませんが、それでも何か憧憬めいたものがあります。

928日 著者:千早茜

 

 

 

 

■ベロニカは死ぬことにした

927日 著者:パウロ コエーリョ

 

■幽談

926日 著者:京極夏彦

 

■鋏の記憶

925日 著者:今邑彩

 

■万能鑑定士Qの事件簿 XII

昔「トルコ人」という、中に隠れた人が操作してチェスを指す人形があったそうですが、それを思い出しました。今回は「太陽の塔」での誘拐・盗難事件。真相を追う中、ひたすら得体の知れない鑑定試験を強いられる莉子嬢ですが、出てくる連中は大体みな怪しいし、何が目的なんだか、と考えながら面白く読み進めました。最後には海外のミステリーサークルという「特命リサーチ200X」みたいなお話もあり、そうゆう展開、私は好きです。Qシリーズはまだ続きますが『事件簿』としては最終巻。最後はたいそう愉快な「フィナーレ」が見れたと思います。

924日 著者:松岡圭祐

 

 

 

 

■パラダイス・ロスト

わたしも一度くらい「魔王」と呼ばれるような身になってみたいです。今回はその魔王もとい中佐の生い立ちに迫る「追跡」のお話が見られました。前回の「柩」のように、その過去が描かれるのかと思いきや、まさかというか矢張りというか、それは敵をおびき寄せるための周到なデコイ。今度もまた中佐そして機関員たちの、計画の誤算すらも取り込んだ暗躍が、実に鬼がかっている全五篇でした。「ケルベロス」では最後に一人と一匹を託された機関員。なにか人間味が感じられるラストに思えて、とても好きなお話でした。クロスワードをやりたくなります。

923日 著者:柳広司

 

 

 

 

■哲也―雀聖と呼ばれた男 (7)

922日 著者: さい ふうめい,星野泰視

 

■アルテーミスの采配

921日 著者:真梨幸子

 

■いぬの日

犬も、人間でいうところの孤独という感情を持つものなのでしょうか。悪徳飼い主たちに虐げられ、そして飽きられてボロ雑巾のように捨てられた犬たちが、暴力と知力で人間の首級を挙げんとする反逆のお話。「悪意に悪意を返す」その果てには悔悟の念を覚え、喋れたとしても、人間と動物のかすがいとして迎え入れられなかった彼女には、なんとも惻隠の情が湧くラストでした。でも正直なところ、これが犬だから互いを理解する共生の道を欲しもしますが、蛇蝎やゴキブリが人語を喋り徒党を組んで襲ってきたら、たまったもんじゃないだろうなと思います。

920日 著者: 倉狩聡

 

 

 

 

■嗤う伊右衛門

918日 著者:京極夏彦

 

■いつもの朝に<>

帰る場所があるというのは素敵な事だと思います。今回は女史のほかの御本のように、心胆寒からしめるホラーシーンや読者を騙くらかすようなトリックが仕込まれている訳ではありませんが、お話自体が面白くカインとアベルを見るような展開も胸に迫るものがありました。「家族」というのがテーマのように色濃く残ります。慈しみや思いやりの情愛もあれば恨み疎んじる邪な想いもある、愛憎半ばなのでしょうが、同じいつもの朝を共に気の遠くなるほど繰り返してきたというその積み重ねた時間が、ときに愛おしく縋りたくなるときもあるのかもしれません。

917日 著者:今邑彩

 

 

 

 

■いつもの朝に<>

蛙の子は蛙罪人の子は罪人か、親の因果は子に報うか。そんな不吉さを残します。タイトルと梗概からはどんな雰囲気でどうゆう展開のお話なのか、なかなかピンとは来ませんでしたが、ここには己が血筋の呪いを知った中学生の少年とその兄がいました。本当の父親と思しき男の遺書には、彼がかつて起こした罪科、誰にでも平等に訪れるはずの朝が、いつも通りでなくなった、希望の朝ではなく惨劇の後になったその仕儀が綴られています。そしてある程度想像はしていたものの、最後には歯車が入れ替わるような何か不穏さを示唆して下巻へと続いていきます。

916日 著者:今邑彩

 

 

 

 

■赤いべべ着せよ…

915日 著者:今邑彩

 

■螺旋の底

螺旋階段と地下室があるようなお家には憧れがありますが、このお宅は過去の罪が葬られた、業が深いフランス片田舎の石造りのお屋敷でした。そこに住まうは復讐を目論む新妻と淫靡な享楽に耽る当主殿。互いに互いを欺き合う二人の視点が交互に語られ、徐々に真相の眠る地下室に降りてゆく、まさに螺旋を描くような綺麗な構成でした。どこかゴシックさを纏った印象で、大胆で周到な仕掛けも施されており、大戦後のフランスという深木女史の中では些か珍しい舞台設定ですが、自分はこのお話が一番好きです。再読のネタが割れた状態でも面白く読めます。

914日 著者:深木章子

 

 

 

 

13000円のガトーショコラが飛ぶように売れるワケ 4倍値上げしても売れる仕組みの作り方

913日 著者:氏家健治

 

■人形館の殺人

912日 著者:綾辻行人

 

■かにみそ

911日 著者:倉狩聡

 

■ダブル・ジョーカー

「魔王」はかつて「魔術師」だったそうです。中佐殿が「魔術師」の二つ名で呼ばれていたスパイ現役時代のエピソードや、悪魔「蠅の王」に喩えられるお話、「風機関」なる本家D機関の粗悪品みたいなお話もあり、今回も全編通して面白く読みました。前巻では語り手が機関員側だったお話がほとんどでしたが、今回はその限りではなく、誰が中佐の息のかかった者なのか、いつどこで機関員が御目文字するのか、いろいろと期待したり想像したりしながら読み進めるのが、これまた楽しいものでした。全六篇、利用する者される者の遠謀深慮に昂奮を覚えます。

99日 著者:柳広司

 

 

 

 

■千里眼 完全版

98日 著者:松岡圭祐

 

■チームのことだけ、考えた。サイボウズはどのようにして「100100通り」の働き方ができる会社になったか

97日 著者:青野慶久

 

■クロク、ヌレ!

汚辱に塗れても悪罵痛罵を浴びせられたとしても絵を描き続けた生前は無名だった絵描きさんです。益体の無い絵ばかり描いて人生を無駄にしている下衆なクズ人間だった彼も、死して後、不審死を遂げた大物作家との繋がりから広告企画に採用されるようになります。後世の評価というのは分らないものかもしれません。エロさグロさはほとんど無く、巧緻なトリックのミステリーというわけでもないですが、御婦人方や女男、兄弟の群像劇は安定的に面白く読めました。死んだ者が語り役を張るアストラル世界な視点もあり、なかなか不思議な読み味に思います。

96日 著者:真梨幸子

 

 

 

 

■虚言少年

94日 著者:京極夏彦

 

■ジョーカー・ゲーム

93日 著者:柳広司

 

■満願

服役五年で悟りを啓いたなんて話は聞いた事がありませんが、彼女の場合は悟入を果たしたのか魔境に到ったのか、なにか退廃感が漂う表題作でした。全六篇、どれもお話が面白く気持ち良く読めたと思います。胸温まる素敵なお話は見られなく、寧ろ縁起の悪さが見られますが、最後に意想外の展開もあり、それがまた快感でした。「柘榴」「関守」は、こうゆう事かしら、と何となく結末の想像が及ぶものの実際にそのラストを読むと、肌が粟立つのを覚えます。なにか歪み切ったような小娘と婆ちゃんが、何とも厄々しく映ります。この二篇は特に好きでした。

92日 著者:米澤穂信

 

 

 

 

■哲也―雀聖と呼ばれた男 (5) (少年マガジンコミックス)

91日 著者: さい ふうめい,星野泰視