今回は本当に辛かった。


8月に手配したLOCO便。

9月初旬に輸入となり、クリアランスセールにしようとしていた。

それが飛行機の予約が取れないという事で中旬に伸びた。


そして中旬。


ペルー行く手前でギリギリ。

キツいなぁと思っていた。


無事イキトスを出発し、リマへ魚が届く。

ここでまさかの飛行機トラブルで、予約した便が飛ばないことになりました。(マジで予約した便は故障で飛ばなかった)


代替えは私が出発する4日前が最短。

無理だろ。


という事で、ペルーからの帰国後に合わせてもらいました。


ストックが心配だったので、再々「ストックは大丈夫なのか?1カ月もあるから痩せさせたり、死なせたりはしないか?」と何度も確認しました。


「大丈夫だ!任せてくれ」

返ってきた返事はこれでした。


不安しかねぇ。



実際ペルーでお会いしたんですが、「餌代がない」と始まり、少しイラつきました。


だって万全だって言ってたじゃん。

痩せさせないって言ってたじゃん。


結局金の無心かよと。

ただ、別に良いんだよ、金払えば元気に届くならさ。


って思っていました。

実際帰国後に再度輸入する為に再パッキング代や輸送業者への支払いなどで1000ドル払いました。

私に何の落ち度もないのに。


こちらでは8月に9月初旬じゃないとダメだと伝えてある輸入が10月下旬になったのにです。


それでも無事であれば良かったんです。

赤字が出るのなんて直輸入をしている以上、ある程度はしゃーない。

採取費用まで出して、やっと見つけた新種をうちの3倍の値段で買うから数ペアだけ分けてくれなんつって横取りして、仕入れ値以下で販売する人も現れた。


まあそれも商売。


アホかとは思うが、それでエンドユーザーが喜ぶなら良いんだろうと思ってた。


私は何にも困らない。

私が向いているのはお客さんと一緒に楽しむって方向だけだからね。



今回は開封ライブをしなかった。

分かっていたんだ。

ペルーで実際に会ったときに「餌代がなくて・・」と言われた瞬間に。


勿論、わざと死なせようと思って彼らも魚を送ってはいない。

そして実際に餌代がなく痩せていた訳でもない。


しかし彼らにとってアピストという魚は、ただただ面倒な種類なんだ。


手間をかけなければ死ぬし、手間をかけても調子を崩す。


そして開封の儀の動画からシッパーを探し当て(会社名貼ってくるからねw)シッパーへこちらにも売ってくれと頼む業者もいるし、シッパーに対して「あいつには売るな」といわれも無い悪評を流して嫌がらせをする所まである。


ただただめんどくせぇ。



開封の儀が最近ほんと凄くやりにくい。

メリットが皆無だからね。


そして、1カ月ストック、餌代の無心で私の心は輸入前から折れていた。


絶対まともにつかない。



温室でスタッフと共に開封した。



絶望しかなかった。






死着率もさることながら、状態がとにかく悪かった。

ヒレは白色に溶けており、泳いでいるアピストすら少数だった。


生きて届けば立ち直す自信は私にはある。


しかし、これは・・・。


ほぼ言葉を出せず、黙々と開封し、水槽にアピストを移していった。


スタッフも察したんだろう。

二人で無言だった。


作業が終わり、「帰ろっか」と呟き温室のドアを何故か力一杯バタンと閉めた。



明日、朝一番で温室行こうねって帰ってもらった。

「全部元気になるといいなぁ」とスタッフが言った。


「無理だよ」


って返した。



案の定、翌朝水槽内は死骸の山だった。


仕方ない。



でもこれは元気だ。

でもこれは治せる。


精一杯頑張った。


私の持ってる知識と経験全てを注いで立て直した。



そこから毎日、二人で元気になっていくアピストを見ていた。


1400匹?輸入して、100匹くらいしか居ない水槽を見ていた。



スタッフは生き物にとにかく異常な愛情を注ぐ人だ。


一匹でも魚が死んでいると、とにかくテンションを落とす。


それが今まで一度も見たことがないであろう死骸の山を見せてしまい、とにかく温室でスタッフは声を出せないほど落ち込んでいた。


「明日死んで届いた子達の処理をしておきます。」


そう言って、私が別の会社に顔を出している時間に温室に行き、半ば溶けており、開封すらせず箱の中に残ったままの死骸の処理をしてくれていた。


普段は私が処理している。

今回はそれすらさせられない姿を見せてしまったんだろう。


交わす言葉もなく、うなだれながら温室に行くと、全ての死骸が無くなっていた。


感謝の言葉も言えず、飯でも行くかと言うのが精一杯だった。


なんか美味いもんでも食おうぜって。



数日間、私は上手く話せなかった。



これが自分でも、出資と見合わない成果になり、怒っているのか、大好きなアピストが沢山死んで届いた苛立ちなのか、落ち込んでいるのかも全く分からなかった。



3日後に採取したアピストが来るから、落ち込んでられねえな!つったりして。



また輸入をした。



自分で採取した魚の輸入は、四年ぶり2回目。



ペルー滞在時時点でバタバタアピストは死んでいった。


主に現地で買い付けた種類だけだった。


金額的に痛え!w

気丈に金額だけの話を皆に話した。


採取魚は全く数を減らしていなかったからだ。



アガシジィばっかり1000匹も居てどうすんかー!

なんて自分でもおどけてみせた。


それがさ。


皆で泥に埋まりながら、必死こいて網振るって捕まえた魚が、殆ど死んでいた。


これは予想していなかった。


成田で皆で箱を開けて行った。

「うわぁ・・・」


言葉が出なかった。


正直、涙が出そうだった。



悔しい。

あんなに皆で採った魚が、殆ど死んでいた。

とにかく悔しい。


全部開ける前に「もう大体分かるんで、帰りますか!w」と全部開けずに笑って皆んなと別れた。

これ以上、ツアー参加者を落胆させたくなかったんだ。




温室に着き、私の顔を見てなのか、開封動画を見てなのか、スタッフは「ダメそう?」と一言だけ言ってきた。


「多分生きてたらラッキーくらい」



それだけしか言えなかった。


箱をスタッフが開ける。

セ「ダメみたいです」


私「だろうね。仕方ないよ」


セ「こっちも・・」


私「良いから早く開けてよ!無事なやつ居たらすぐ水槽に浮かべてよ」


八つ当たりも甚だしいね。



悔しかったなぁ。

ほんと。



これはあそこでこんな思い出があるんだけどーと自慢げに話しながら開封したかった。


それが八つ当たりを受けるとは思ってもいなかっただろうなぁ。


結局、ほんの1時間ほどで水槽へ移されたアピスト。


通常なら3時間はかかるよ。


全然生きて届いてない。

そして、そもそも輸入された数が異常に少ない。



私「何しにペルーまで行ったんだろうね。魚の死骸集めに行ったんかな」


スタッフ「仕方ないですよ、生きてる子も沢山いるし、頑張りましょう」


どっちが店長なんだっていう 笑


その後も毎日、温室に行くたびに落胆する私と、作業の指示を待つスタッフ。


私「これこうしといて」

セ「え?聞こえない」

私「だから、この水槽はこうしといて!」

セ「ごめんなさい、ちょっと聞こえなくて💦」

私「じゃあもういいよ、こう言ったんだけどね!」


私は元々声が小さい上に、何故か飛行機で耳にダメージを受けたようで片耳あんまり聞こえなくてバンドやってたせいか右耳が難聴)、自分ではちゃんと声を出してるつもりでも相手に伝わってないのは多々ある。


また八つ当たりしちゃったなぁ。

なんつって余計にテンション落ちる毎日。



でも生きてる魚は元気だし綺麗。

たまにスタッフが「これカッコいい!」「これ可愛」と言ってるのを聞いて、恥ずかしくなった。


凹む場所違わねえか?って。


確かに皆で採った魚だ。

自慢げにこれはここで採ってこんな思い出がーと話したかった。


でもこうして殆ど届かずに死んでいたのが現実だ。


そして水槽で泳いでいる魚はめちゃんこ綺麗だ。



凹む場所間違えてるな。



こんな輸入もたまにはある。

それで良かった。


確かにペルーで楽しい思い出はたくさん出来たし、色んな持論の推測を裏付けるだけのリアルも見つけた。



もう私は凹まない。


こんなにこんなよく分かんないお店を愛してくれてる人がいる。


こんなに良い加減なお店から購入してくれてる人がいる。


凹んでる場合じゃねえ。



私は「アピストの魅力を伝える」だけを経営理念としている。


そこに損得はそもそもない。


赤字がどんだけ出ようが、経営している他の会社から補填出来るパックボーンが私にはある。


例えば一億の損害を出しても一億稼げば痛く無いというパックボーン。

他の熱帯魚ショップには絶対できない事だろう。



アピストが沢山死んでいた。


これはどう考えても悔しい。

現地の環境を荒らした可能性もゼロじゃない。





でも、ショックを受けたんですーて客前で言うことか?

それで魅力伝わるんか?


絶対そんな事はない。


私が楽しんでいるのを楽しんでくれる人達でこの会社は成り立っている。



私が楽しめなかったら誰がアピストの魅力を知ってくれるんだよ。



マジ反省。


そして、私がこんな姿なのにも関わらず沢山のご購入ありがとう。

今回は高かった。


それでも買ってくれた。


私は、絶対に今後、アピスト飼育者は勿論、他の魚もそうだけど、「変な店があってさー」と皆さんに楽しんでもらえるお店を目指す。


そして私自身も一緒に楽しんでいるんですよーと胸を張りたい。



闘魚庵のけんごさんもそう。

あの人は全くネガらない。

ずっとお客さんの事だけを考えている。


私も初心を思い出そうと決めた。



今後、アピストを一番愛しているのは私だよって。

そして今後、アピストの魅力を発信出来るのは私だよって。


また自信を持てるように自分を見直していこうと思う。



なんだかしんみりな話になってしまいましたが、うちはうちらしく。

それだけを見失わないように再度邁進していきます。


ご支援ありがとうございます。


見てろよ、今後のAP FARMを。


絶対満足させてやるし、絶対アピスト飼育者増やしてやんぜ。



これを反省と感謝に変えさせて頂きます。





まだまだ。

まだまだ。


絶対負けねえよ。




誰にも。 






自分にも。