アツシに渡された電話番号の書かれた紙を見ながらしばらく考えました。
「ジェッツて確かリーゼントしたゴリゴリのバンドやったよなぁ…ウチに合うんやろか…」
迷ったあげく思い切って電話をしてみました。
「あ、メンバー募集のチラシ見て電話したんですが…」
「え、あ~~はいはい。」
「うちロンサムロード言うてまだ結成したばっかりでベースはサポートメンバーに手伝って貰ってライブしてますねん。俺は前のバンドんときジェッツとは対バンしたこともあるんやけど、覚えてくれてないかな?」
「あ~俺、対バンとかに興味ないからねぇ…覚えてないですわ」
「……。あ、そう。」
「……」
「まぁ…電話じゃ何やし一回会って話でもしてみいひん?」
「ええっすよ。」
「今ちょっとライブやらで忙しいから時間が取れたらまた連絡しますわ…」
「はぁ、ほなまた~」
数日後スタジオでアツシと会い
「ジェッツのベースの子に連絡したん?」
「したした。なんや感じ悪かったけどなぁ…。とりあえず時間出来たらまた電話することにしといた。」
「ホンマぁ…ほな俺らとは合わんかも知れんなぁ。」
そしてバンドは色んなイベントに誘われたり次の音源の録音に取りかかったりしててかなり多忙に過ごしおり、ジェッツのベーシストの事はすっかり忘れてしまってました。
それから数ヶ月後、ギャングスターズ主催のイベントに参加したときでした。
イベントが終わって後片付けをしているとギャングスターズの当時のベーシスト曽我君が私に話かけてきました。
「アパッチ君、元ジェッツのベースの子が今日見に来ててな、ロンサムロードから全然連絡がないって言うてたで。」
「あ…しもた、忘れてたわ!怒ってた?そら怒るわなぁ。」
「アイツ、ホンマはええ奴やから一回ちゃんと連絡したってぇな。」
「放ったらかしにしてた俺が悪いから連絡して謝るわ…」
私は再び電話して彼に謝りました。
「長いこと連絡せんでごめんね。忙しくてすっかり忘れててん」
「全然連絡ないから話も無くなったんかと思てましたわ。」
「まだ話聞いてくれる気あるなら会って話さへん?」
「そ~ですね、じゃあアメ村あたりで。」
約束の日に私はアツシと2人で待ち合わせ場所へ向かいました。
電話での印象と違って彼は人当たりもよく、お互いの誤解もすぐに解けサポートとしての参加を引き受けてくれたのです。
音楽性や目指すスタイルの違いに多少不安はあったものの、割と早く溶け込んでくれました。
そして心斎橋クアトロ、枚方ブロウダウンでのライブをいい感じで終え、初めて4人揃った酒の席で…
「年末まで予定残ってるけど、まだしばらく手伝ってくれるんかいな?」
「うん、ええっすよ。ってか…居心地ええからこのまま居座ったろかと思てたんやけど(笑)」
「あ、そうなん!? ほんならもう一緒にやろうや!みんなもそれでええよな?」
誰ひとり反対する者もなく大阪は泉州出身、元THE JET'Sのヨシカズ加入が決定しました。
最初はお互いの印象が悪く少し遠回りになりましたが、この4人が揃うが為の回り道だったのかな?と、このとき思うのでした。
そしてこのメンツでの猛進へと続きます…
