Kさんとバンドを組む事になった私は中学時代からアルバイトしていた、友人の親父さんが営む運送会社でフリーターとして毎日働き始めました。
当時Kさんも私もエアロスミス、ハノイロックス、ニューヨークドールズ、シルバーベッドなどからの流れを受けたいわゆる"バッドボーイズロックンロール"に傾倒しており、二人とも腰近くまで伸ばした長髪、金髪に茶髪、ウエスタンやエンジニアブーツといういでたち。
そんな連中には肉体労働かテレクラのティッシュ配りぐらいしか仕事がなかった時代…バンドをやる為に我々は体力を使って働きました。
Kさんは胡散臭い部分もあったけど、それ以上の行動力とバイタリティーに溢れていて頼りになる存在でもあったのです。
そして我々は曲作りとメンバー探しを開始、数曲が溜まったときKさんが
「俺が前にやってたバンドのドラマーCズルと合流してみいひん?」
「なんか新しくバンドやるって言うてなかった?」
「まだギターのGちゃんと2人だけらしいわ」
「ほな俺とツインギターになるなぁ…」
私は少し躊躇いましたが、他にアテもなかった我々は彼らが住む京都へ向かいました。
何となく話が進み、「とにかく音を合わせてみよう」となり何度か4人でスタジオに入り私の曲とGちゃんの曲をいじり始め、途中でベースにN村くんという人が加わり5人編成で何とか形になりかけたのです。
しかし私はどうもしっくりいかなかった。慣れないツインギターやCズルらとの微妙なノリの違い、しかもGちゃんの曲がメインになっていきそうな雰囲気で年下の自分だけがどうも浮いてるような気がしてならなかった。
モヤモヤする日々はその後も続き
「このバンドに俺はいらんよなぁ…」
そう思うようになりKさんに電話をしました。
「Kさん、やっぱり俺は合わんわ。あのバンド辞めるわ…」
「俺は見ててわかってたけど、だいぶモヤモヤしとったもんな。わかった。ほな俺も辞めるわ!」
「はぁぁあ??アンタやる気やったんちゃうんかいな!?」
「いや、俺もちょっとちゃうような気がしててん。せやからもっかい2人で仕切り直しや!」
すっかりやる気になってると思ってたKさんの意外な言葉に拍子抜けしたものの、また1人になると思ってた自分に「一からやろう」と言ってくれた事は正直心強かった。
間もなくKさんが高校時代の友人を連れて来ました。
「昔ギター弾いてたんやけど今はベースをやってるAちゃんて言うねん。男前やけどめっちゃオモロイし絶対俺らと合うで!」
Aちゃんは後にバンドで一番人気になるぐらい本当に男前で 、カラオケとか飲みに行くと本当にめちゃめちゃ面白かった(笑)
すっかり意気投合した3人はすぐに曲作りを始め、ドラマーを探して何人かと合わせてみるもののしっくりいかず、また足踏み状態となりました。
そんなときKさんがCズルらとやってたバンドの残党が組んだ新しいバンドでのライブがあり3人で見に行くことに。当然Cズルも来てたのです。
私と彼はいささか気まずい雰囲気で会話を交わすも終始ギクシャク気味。しかし打ち上げが終わり始発まで時間潰しの頃には笑いながら話すようになり
「この4人でやろうや!」
てな会話も出だし、関係も次第に修復していきました。
数日後、彼から私に電話が…
「Kさんからもう一度やろうと誘われてんやけど…俺と組むこと、正直どない思う?」
「前が中途半端やったからな。俺はもっかいちゃんとやりたいわ。」
「わかった。この話受けるわ!」
こうして4人が揃いバンド名は「タンブリンダウン」に決定。
「どう言う意味なん?」
「転がり落ちるっちゅう意味や。」
「落ちる?なんか縁起悪いなぁ…」
「どん底まで落ちても、落ちたらあとは上がるだけや!」
Kさんが豪快に笑った。(後で聞いたら誰かの受け売りだったらしい(笑))
アパッチ20歳
やっと動き出せる喜びに満ち、このあと本当に転がり落ちる事になるとはまだ思いもしませんでした…