宝塚は演者を育てるだけじゃなく、脚本家演出家を新卒採用で1から育てる日本の唯一の劇団です。

しかもそれを観るのは観劇歴ほぼ人生と同じくらいの猛者ばかり。

大変なんだけど実際、何人もの新進気鋭の演出家を外部排出している。
最近では植田景子とかね、劇団がわざわざヨーロッパに留学させて育てて、今は外部で大活躍!

まぁ、ずっと居てくれないのも困るんだけど、帰ってきてたまに演出してくれるんで充分ですハイ。

で、昨日は横浜のKAATで見てきた「海辺のストルーエンセ」も19年デビューの新人演出家、指田珠子先生の作品

もうね、導入の場面からこりゃエリザ?ベル薔薇?ワカリヤスー!
中盤にはなんとエアテニス?!レーザー光線までは使ってなかったけど間違いなくスパンスパンの球音使ってコスチュームものに無理やりテニプリ突っ込んで来てる爆

若い演出家はもうすでに物心付いた子供の時からテニプリ2.5舞台があり、帝劇はミュージカル全盛期。

もう、観てきたもんをぶっこみ、イケメン眼鏡にラケット萌を炸裂させるその素直さイイゾイイゾ!←もしかしなくても手塚ファンだな!

どうせなら白衣もくれたら良かったのに←欲しがりちゃんには油断せずにイこう!

古参観客には観てきたものを透けて観る楽しみまであるなんて。

宝塚は育成ゲームと言われるけれど、それは演出家にも言える凄い世界ですよ。

場面展開はスピード感見事で歌も歌詞も良い。

テーマもカワイイ「それは恋の病」から「新しい自由で平等な時代への挑戦」も今の世情に合ってる。

白兎とライオン(虎)の対比とか、大河かどっかで観たようなキーワードも素直に使っとるワハハ

タイトルの「海辺の…」もそりゃ横浜だし、ワハハ

そしてアンニュイなセピア色の海岸線でラストは虚しく「貴方は何者?」と観客の人生にまで迫る壮大な所へとグイグイと持ってく手腕恐るべし。

トップと娘役の恋や当て書きなんかのお約束をクリアしつつ、言いたいことを全部言う宝塚座付き作家の正統派の誕生に拍手を贈りましょう。


周りのイケメン賛美をむしろ嫌がっていた二番手、朝美絢がむしろ吹っ切れてその美を見せ付けるまでに進化した別箱主演を成功させたのはマジ凄いよ。

とはいえまぁ、まだ若いし言葉のチョイスがね。
「恐悦至極に思います」←存じますじゃないのそこ!他にも色々。。

日本語は新しくなっていく、若い子がそっちのほうが今はしっくりくるってことなんだね。。

見守って育てるよ。うん。

八月納涼大歌舞伎の新・水滸伝での主演は猿之助の代演にも関わらず、とてつもない当て書きのような出来だった。

しかも二列目ドセンなんて2メートル先に生で隼人!まさに隼人にドボンの沼り席じゃないの!これはもう運命!

BS時代劇大富豪同心、卯之吉の気配の欠片すらない、舞台の真ん中の隼人は男臭さを纏って悪党のマントを翻し、竜の頭に乗り(宙乗り相勤め申し候)天翔ける漢だった!!

ハイ!私の中で「永遠の二枚目」が音を立ててグァーンと入れ替わりましたよ!←ニザ様はいま静かに二枚目の殿堂に入られました

17歳でお練りの列の最終で前髪下ろして下向いて歩いてた可愛い男の子の隼人はもう居ない。

インタビューで「これから挑戦したいお役は?」と聞かれ

「仁左衛門の伯父様がおやりになった役を全て、それに尽きます」と堂々と答えたのには全員が度肝を抜かれた。

目標を最高の位置にロックオンした男はもう迷うこともないんだな!

顔良し声良し姿良し、の三拍子(の素質)が揃ってこそこれが言える、確かに今は隼人の他にこれを言える歌舞伎役者は居ない。誰も文句が言えないってこと。

ニザ様だって二十代はヒョロッヒョロの呑気な三男坊で、仁左衛門にさせられるなんて全く思って無かったんだから、隼人は覚悟が違う、凄いよもう。

テレビでもガン良し、な映えるところはすでにニザ様の昔のTV時代劇出演のそれを超える、さすが萬屋、先の錦之助の血もあるね。

猿◯助の事件は、確かに悲しいけれど「三代目から託された大きな仕事を果たし、そしてその役目は立派に果たし終わったのだ」とも言える

(その事に関しては)心からありがとう、と思うわ。

スーパー歌舞伎をやり続けワンピースで若手を育てて大成功!大御所が出られないコロナ禍の歌舞伎座に毎月出続けチケットを売りまくった偉業は誰も真似できない金字塔だ。

そしてその仕事の最後、居場所を空けたからそこ、育てた種たちがこうして羽ばたくのを観ることになる不思議。

ここまでは契約で決まっていた舞台だから良かったけど、来年からは澤瀉屋の屋台船がどんな荒波を受けての航海になるのか。

そこにリンクするような、一丸となっての今回の水滸伝、梁山泊の一味の活躍がいちいち胸を打つ。
横内謙介の演出にシテヤラれる号泣!不安じゃない、嬉涙だよ!

ラストの宙乗りは途中、乗りこなすのにガガーっと竜をいなすとこがあるんだけど、前日公演でハリキリ過ぎて竜の尻尾が故障したみたい。

チョイと短い尾の竜に乗った「二枚目の看板を背負う覚悟」が悠々と夜空に消えて行った







ちと遅めの初詣を浅草寺で、と決まってるのは間違いなく全員歌舞伎ヲタです!😂

今年は芝居友達3人で目出度く初芝居に行ってきました。

浅草歌舞伎は三十代チョイくらいまでの若手のみ(御曹司でも容赦なく)で公演を1から企画、演出、出演と全てをこなす新人公演のようなもの。


もちろん出演する若手の誰かのパパ(大御所お当番今年は米吉パパの歌六さん)が総監督としてご出演されて、出ない方も影で大役に挑戦する若手を指導してくださるのよね。

今回はコロナ休演の2年間を挟んで7年くらいのこの世代の座組の卒業公演です!!←来年からはまた若い染五郎とか團子ちゃんとか入るのかな〜🎵


一人ひとりが、これから誰に習ってどんな役者になり、歌舞伎界のどの役割を担って最終的に何を演じたいのかをハッキリと打ち出している演目なのが判って奥様もう感涙ですよ。

中村隼人:仁左衛門様に習って源氏店「切られの与三」歌舞伎界の2枚目看板をもうすでにそこそこ背負ってる漢!今のお手本通り、な時期も貴重なおご馳走!これから艶が入ってどんどん成長するのが楽しみだ

中村米吉∶昨年からの三姫コンプリート!丁寧細やかな八重垣姫だった。これからは誰も文句の言えない中堅マルチな女形になるのかな?この人がホントのワルな凄みを手に入れたら怖い←褒め


中村歌昇:吉右衛門の型で大役の熊谷陣屋 播磨屋の家の大事な大きな役者になるんだね!素直は無敵

尾上松也:この代の座長としてのご褒美みたいな大役、菊五郎に習って魚屋宗五郎!江戸世話物をやっていく覚悟だね。

この7年ある意味この人の座組だったし、確かに一番成長したと思う。良かったねぇ。

江戸にしちゃぶっとい脚がチャームポイント?!

坂東巳之助:「どんつく」坂東三津五郎の息子だ!(いや、寿ひづるの息子だ!)舞踊も無頼も人情もバンドもどんと来いで、何やらしても間違いない!私の最推し大好き💕

早く歌舞伎座で襲名して!踊りも幸せな人情芝居もたくさんやってー!!

坂東新悟:熊谷陣屋の相模、この若さで心の演技、腹芸をここまで出せるのがスゴイよ!姫な米吉に対峙するものをこの人が全部乗せ!タイプ違いの上手い女形が同世代に2人揃うことが本当に貴重だと今回思い知らされる。歌舞伎役者としては彌十郎パパより大きく化けるかも?


もっと全員書きたいけどこのへんで。←いつも語りすぎ

浅草公会堂の上ロビーからみる五重塔と本堂が一番綺麗でいつも感動する

お弁当も浅草老舗がこぞってロビーに安く出してくれてるんだけど、今回はお蕎麦屋十和田の天丼で。しっかり濃いタレ大海老二匹も入って1000円コスパ最高!

昼終演後はゆっくり浅草寺に詣でて、梅園に並んで粟ぜんざいと栗餅ぜんざい!

平日だから少しはゆっくり仲見世も覗けてお土産に焼き立ての人形焼きも買えて幸せ。

いつも雨雪極寒の浅草歌舞伎なのに、こんなに暖かいの初めてだった。
温暖化すごいよ。。

歌舞伎界の行く先を観て、私達の行く先も明るい!これから20年が楽しみすぎる。

丁度退職するお友達もいて、みなこれから、どんなふうに観劇していくか、生きていくか、の決意を新たにした初芝居の一日でした。


今年も元気でカンゲキしよう!