時は2014年。
おっと、ジェッターマルスの稼働開始まであと一年ではないですか!?
…そんなわけで、仕事始めから職場は慌ただしい雰囲気です。現場の若造たちも、とてもお年玉をたかるどころではなさそうで、オイラは胸をなでおろしました。
さりとて、オイラもホッとしてばかりはいられません。オイラの所属するチームが担当しているセクションで大問題があるのです。
なんと、この時期になっても、まだマルスに搭載する動力源が決まってないのです。
先行モデルとなった鉄腕アトムでは超小型原子炉を搭載しており、開発を始めた当初は、マルスにはさらに小型に改良したものを載せる予定でしたが、三年前の震災―そして福島での原発事故を受けて、より安全な代替エネルギー源を採用するよう、急遽方向転換したのです。
しかし、これがなかなか難しいのです。
数々の試作と失敗を重ね、燃料電池か大容量の金属イオン系のバッテリーのいずれかになる予定ですが…
燃料電池は高価い!そして、生成される水蒸気の排出口が必要になります。
いつもどこかから湯気が出ているヒューマノイド…
「そんなの嫌だあ!!」
主任の叫び声が会議室にこだまします。
「足の裏のジェット噴射口でいいんじゃないですか?」
「常に足の裏から水が出てたら、人様のお宅に上がれないじゃないか!?」
マルスは高度なAIをもつヒューマノイドになる予定ですので、人間のお友達とのお付き合いに支障が出てはいけません。
その点、金属イオン系バッテリーなら、妙なものは出てこないので色々と好都合です。
しかし、パワーの持続性に問題が…
「敵との戦闘は三分が限界だと思います」
シミュレーション担当者が発言すると、一同は黙りこんでしまいました。
…それじゃあ、ウルトラマンですよ。
戦闘後、会社に帰って来て、充電器の上に体育座りして眠りにつくヒューマノイド。
それはそれで微笑ましい光景ですが
「そんなのオレのマルスじゃねえ!」
またもや主任が吠えました。
今日もまた、会議は長引きそうです。
やれやれ。