『無限にも大小がある』らしいです。
こんな話を聞くたび、物理とか数学ってドイツ人のようにめんどくさいなぁ(※実際ドイツ人のに知り合いはいないのであくまでも一個人の誤ったイメージです)、と思います。
と、遠くの人を見るように語っていますが、他の人からは、オイラもその「ドイツ人のようにめんどくさい」側の岸に住む人間に見えている可能性はすこぶる高めですな。
まあ、そんなオイラのこんな夢を見た話。
道を歩いている。
ふと気付くと、傍を歩いているじいさんが「重い、重い」と、此方をチラチラ見ながら呟いている。
これは、気づいていない体でやり過ごすのが得策な類いのやつだ。
しかし、あたりに人はなく、じいさんはなおも「重い、重い」とぶつぶついいながら、まるでついてくるかのように同じ方向に歩いてくる。
「なにがそんなに重いの?」プレッシャーに負けて、ついつい話しかけると
「使命が重い」と、じいさんは自慢気に、握った拳ごと手に持ったものをオイラに見せた。
紐である。
じいさんの拳の親指側と小指側から、それぞれ延々と伸びている。よくよく目で追いかけても、両端とも、地平線の彼方にかすんでオイラには見えない。
「随分長いねぇ」
「そりゃ無限だからな。その、無限を預かる使命が重いのさ」
「本当に無限なのか?」
普通の人間なら誰でも口にしそうなこの問いが、じいさんには不愉快だったらしい。
「嘘だと思うなら、半分やるから自分で確かめろ」と言うなり、紐をスパンと切り、片方の切れ端をオイラの手に持たせ、もう片方の端を起点にぐるぐる巻き取りながら次第に遠ざかり、じいさんはいつの間にか見えなくなってしまった。
逆ギレ的な責任の半分放棄である。困ったじいさんだ。
刃物のあとの妙に生々しい紐の切り口と、遥か遠く見えない紐の先に交互に目をやりながら、取り残されたオイラは途方に暮れた。
はっきりと片方の端ー即ち限りが見えているもののもう片方の無限を信じるのは難しい。
無限の半分は本当に無限なのか?
だいたい、こんなに長いものどうしようかね。
どこまでも飛べるロケットを探して、ポアンカレ予想の実証でもするしか使い道が思いつかないなぁ…