再来夢…嬉泣 | 腹回り鏡餅に浮輪ネガポジ部屋

腹回り鏡餅に浮輪ネガポジ部屋

光と闇は表裏一体。
2017年末に 脳梗塞で倒れ 糖尿病も併発、軽い右側麻痺、言葉がたどたどしい。
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斎藤工(工ちゃん)好き♡♡♡
《いいね》は生存確認、内容に関わらずしてます。
(記事に無関係、無神経な※ 無言削除)


「ドタの父親も、ドタがお母さん(母)のとこにいると思うから了解したんだしねぇ。」

と言うその言葉の裏には、まだダーリンを信じられない気持ちもあったろうが、何より、ドタを手放したくない、という強い思いがあった。

もちろん、孫が可愛いという気持ちもあるが、それはあくまでも後継ぎとしてだ。
いや、或いは、自分の所有物としてだったのやもしれぬ。

でもとにかく、このままという訳にはいかない。

ドタが母の言うことをきくとは思えないし、母も穏やかではいられないだろう。
このままでは上手くいくものもいかない。

母もそれは解っていた。

話し合った結果、とりあえずドタが落ち着くまで私達と一緒に暮らすことになった。
期間は1週間ほど。

ドタを連れて出る時、母は少し淋しそうだった。

帰りの車中は皆、妙にテンションが高かった。
短い期間とはいえ、思いもかけず私達だけで暮らせることになった嬉しさからだったのだろうか。

特にドタは、そのお喋りが止まることはなかった。

ダーリンとの緊張の初対面。

実はあれから、ドタとダーリンが話す機会はほとんどなかった。
故にこの時もまだ、初対面のようなもんだった。

もっとも。
馬鹿みたいにお喋りなのは私で慣れていたので、特にダーリンが不機嫌になることもなく(笑)。

そんなこんなで我が家に帰り着く前。

それまでほとんど喋っていなかったダーリンは、予定外の所でハンドルを切った。
【行こうか】とも【行くぞ】とも言わず、いきなり、黙って。

そこはケーキ屋さんだった。

私はスグにその意図に気付き、思わず泣きそうになった。

『すいません、これください。』

とダーリンが指さした先には、大きなワンホールのケーキ。

まだ気付かず、きょとんとしているドタ。

『ろうそくは大きいのが1本、小さいのが6本で。』

あっ…

えっ…

やっと気付いたドタは、泣きそうなのを必死にこらえ、あらぬ方向を見ている。
涙がこぼれないように。

ダーリンは、ドタが誕生日に父親と喧嘩し、全くお祝いしてもらってないことをチャンと覚えていたのだ。

自宅に帰ると少し片付けetc.をして、3人で座る。
ろうそくに火をつけ、部屋の明かりを消す。

チョコプレートには
【ドタちゃん、お誕生日おめでとう】
と書いてある。

はぁーぴばーすでーとぅーゆー

はぁーぴばーすでーとぅーゆー

はぁーぴばーすでーでぃあどーたー

はぁーぴばーすでーとぅーゆー

ダーリンと私が声を合わせて歌を歌うと、ろうそくの灯りの向こうに目にいっぱい涙をためたドタが見えた。
ろうそくを吹き消し明かりをつけると、こらえきれずに泣き出す。
その頭をダーリンがくしゃくしゃっと撫でる。

約1ヶ月遅れの誕生日。

まさかこの日、それも出会って間もない義理の父親になるであろう人が、そんなことをしてくれるとは夢にも思っていなかった娘は、ただただ幼い子どものように泣きじゃくっていた。

まだ泣きやまぬうちに

《さあっ、食べるよっ。》

と渡されたスプーンに、泣き顔のままきょとんとしている。

「えっ…食べるって…このままっ!?き…切らないのっ!?」

《んなの切るかぁいっ。面倒くせぇっ。》

そう。
その後我が家の恒例となるホール喰いだ。

そんな経験などなく、なんだかアタフタした感じのドタ。
(一般的にもあまりないことだろうが)

『あのー、コッチは待ってるんすけどっ?主役が食べてくれなきゃ俺らが食べれないだろっ。』

そう言われチョッと慌てて、戸惑いながらもでっかいままのケーキにスプーンを差し込む。
一口食べたその顔が、みるみる笑顔になってゆく。

「おぉーいしぃーっ!!!!!」

まだ泣きながらではあったが、そのくしゃくしゃの笑顔はとびっきり輝いていた。

そんな感じで始まった束の間の3人の生活。

私の住んでいたアパートは、築、昭和40年後半という古いものだったが、部屋が2階にもあるいわゆる【メゾネットタイプ】だった。
私達は寝るのも全て1階で、2階は半ば物置状態だった。

そこにとりあえずドタの寝る場所を作る。

布団も余分にある訳ではなかったので、私が使っていた布団を使わせ、私はもう使わなくなっていたこたつ布団を縦長に折り、布団代わりにした。

ドタとしては本当は3人で寝たかったようだが、流石にそれは出来ず(苦笑;)。

どのみちダーリンの仕事が、まだ日も昇らぬ暗いうちに家を出て深夜遅くに帰る、というものだったので、高校生であったドタがそれに合わせた生活をすることは出来なかった。

久し振りに一緒に暮らし始めた娘は、私が想像していたよりも素直で良い子だった。
このままなんのトラブルもなく過ごせると思った。

近い将来、一緒に暮らすようになっても全くなんの問題もなく…。

しかし。
我が家に来て3日目。
朝、お腹や腰が痛いと言う。
熱はない様子。

もちろん女子デーでもない。
グジグジ言うので、散々悩んだが遅刻していきます、と学校に連絡。

結局そのまま休ませてしまった。

通常ならそこまで苦にしなかったのだが、いかんせん、その日はコンサートに行く予定だった。
元ダンとの前々からの約束で。

学校を休んでおいてコンサートには行くなんて、どう考えてもおかしな話で。

だがそれ以前に、それまではなんともなかったのに夕方ぐらいから発熱してしまった。
熱は38℃ほど。
止めた方が良い、と言ったのだが

「グダグダ言われるのが嫌だから。」

と、どうしても行くと言い張る。

その剣幕に根負けし、仕方なく行かせることになった。