永冬生活…事後 | 腹回り鏡餅に浮輪ネガポジ部屋

腹回り鏡餅に浮輪ネガポジ部屋

光と闇は表裏一体。
2017年末に 脳梗塞で倒れ 糖尿病も併発、軽い右側麻痺、言葉がたどたどしい。
LDH系、特に三代目JSB、特に登坂広臣(臣ちゃ)好き♡♡♡
斎藤工(工ちゃん)好き♡♡♡
《いいね》は生存確認、内容に関わらずしてます。
(記事に無関係、無神経な※ 無言削除)

会社を辞めた私は、また、ぷーたろーに戻った。
まぁ、一応【リハビリに通う】という仕事はあったが。

リハビリと言っても、患部に電気をあてたり、首を引っ張ったりするだけの簡単なものだった。
ただそのリハビリも、週2~3回通うのが精一杯だった。

リハビリ自体は嫌いじゃなかった。
むしろ気持ち良くて、毎日でも通いたいくらいだった。

が、しかし。

リハビリの前に一通り診察を受けねばならず、その診察を受けるのがまた、大仕事だったのだ。
患者の数が凄くて(ほとんどお年寄り)、診察券を出してから数時間は待たされるのだ。

リハビリ自体は、ほとんど待たずに出来るが、診察までの長いことと言ったら。

もともと。
辞めることが決まっていたとはいえ、思いがけないカタチで仕事を辞めることになり。
なんだか色んな意味で、色んなことに気持ちが萎えていた。

それでなくともそんなに待たされるのは苦痛なのに、今の私には、拷問に近いくらいのダメージを感じたのだった。

リハビリを終えて自宅へ戻ると、暫くは起きあがれぬ程疲労していた。
なので通えば通うほど、相手の保険会社から貰える金額は大きくなるのが解っていながら、毎日、とはいかなかった訳だ。

そして全治2週間と言われたが、なかなか痛みは引かなかった。
しかも痛いところをかばったりする為に、別のところまで痛み出す始末。

一番気になったのは、左腕を右肩側にまわそうとすると筋に痛みが走り、前よりも柔軟性がなくなったことだった。

例えば。

お風呂で体を洗う時、右肩側がうまく洗えない、

手も届かないし力もはいらない、

布団の上げ下げをすると、ピキッと痛みが走る、

等々。

日常の些細な場面でそれらは
【ここ痛いですよっ。忘れないでねっ。】
とでも言いたげに、ちょくちょく現れた。

そんなある日。
突然、私の携帯が鳴り出した。
(まぁ、電話は急に鳴るものだが)
夜11時近かった。

((こんな時間に誰だろ?))

見覚えのない番号。

いぶかりながらも出てみる。

《…もしもし?》

「あ…。遅い時間にすいません。ⅩⅩです。」

その相手は事故の加害者だった。

《な…何ですかっ?》

「あの…すいませんでした。今日はお詫びに…。」

《お詫びにって…こんな時間にですかっ。》

「すいません。仕事が終わると、どぉしてもこんな時間になってしまうもんですから…。」

彼は確か、スーパーで働いていた。
何部門だったかの店長だっけか。

責任者だから、終わって後片付けやらしていたら、このくらいの時間になってしまうのも解らないではないが…。

というか。

あなた、休みくらいあるでしょう。

それをわざわざこんな時間に。

まだ事故のすぐ後とかなら解るが、この時点でもう、3週間以上経っていた。

そういえば…
いつだったか、保険屋から電話があった。
その時に彼への不満を言ってやった。
普通なら本人が謝罪すべきなんじゃないか、と。

最初だって私は悪くなかったのに、ギャンギャン噛みつかれたのだから。
それに対する謝罪もなく、誠意も見せず、示談にしろと言われても納得出来るかって話しで。

その電話の数日後。
また保険屋から【加害者はお詫びに来たか】と電話があったので、ないと答えた。

それで恐らく。
このままじゃ示談に出来ない、とでも脅されたのだろ。
その気もなかった癖に、慌てて、それも嫌々来たのがミエミエだった。

かといって、そのまま追い返すのことも出来なかった。
彼は私の部屋の前まで来ていたのだから。

仕方なく外へ出る。

薄暗い夜の静けさの中に彼は立っていた。
手に菓子折りを持って。

前回会った時とは別人のようだった。

なんだかしょぼくれて、闇のせいか、哀れにすら見えた。

「す…すいません…。」

おずおずと切り出した彼は、うなだれ、肩をすぼめ、出来る限り自分を小さく見せようとしている。
全身で、必死に申し訳なさを出そうとしているのがよく伝わってきた。

暫しお互いに黙りこくったあと、彼が重い口を開いた。

「あの…すいませんでした…。」

こういう場合、どう言ったら【誠意】が伝わるのか解らず、私の様子を見ながら探り探り言葉を発しているようだった。

一通り彼の話しを聞いたあと

《まぁね。おたくだって事故を起こしたくて起こした訳じゃないしね…。事故って被害者も大変だけど、加害者も色々大変だもんね…。》

事故から随分時間が経っていたせい…ではないが、まぁ、一応わざわざ来た訳だし、ここで彼を責め立てるようなことを言うのも大人げないなと思ったら、そんな言葉が出ていた。

半分は【ほめ殺し】みたいな、嫌味もあったが(笑)。

すると

「いえいえ、とんでもないッ。あれは本当にコッチが悪かったんですから…そんな風に言われると申し訳ないです。」

何度もピョコピョコと頭を下げながら彼が言った。

へぇー。

そんなまともなことも言えるんだ。

最初からそんな【謙虚】な態度だったら、私はもちろん、相手だってさほど嫌な思いをせずに済んだだろに。

とりあえず軽くそんな話しをし、最後に

《おたくも毎日のようにこんな遅くまで仕事で大変なのに、わざわざごめんなさいね。体、壊さないようにしてね。》

と言うと、また、頭をピョコピョコ下げながら詫びとお礼を言い、去っていった。

しかしもちろん。

それ以後一度も来ていないし、電話でその後の体の調子なども聞いてこないあたりは、流石だな、と思った。

そんなことがあったりする中。

また別の、重要なことが起きていた。