警察を呼んで色々話しをしたのだが、どうも雲行きが怪しい。
交通課のそのお巡り(あえて呼び捨て)は、非常に高飛車で、ダーリンばかりを責めるようなことを言う。
警察の言い分は
一時停止をせず、左右の確認も全くせず、そこそこのスピードで飛び出したんだろ
と。
あまりの言い方に、ダーリンは興奮しすぎ、今にも殴りかからんばかり。
それを私は、それ以上お巡りに近付かぬように、片手でズボンの背中側のところをベルトごとガシッと掴み、もう一方の手で背中をさすりながら、 必死でなだめた。
正直、私も一緒になって、いや、それ以上に言ってやりたかった。
それくらい理不尽な物の言い方だった。
(マジでむかついた#)
なにより私自身、ダーリンがちゃんと左右確認し、歩くより遅いくらいの速さでそろそろと動き出したのを見ていた。
彼が、ちゃんと確認義務を果たしていたのは間違いなかった。
恐らく
やや車体を落とし気味のベンツ
(これは、前の持ち主がやってあった)
フルスモ
いかにも悪そうな顔つき(笑)の運転手
それだけで、コチラに非があるように、偏見の目で見ていたのだろう。
気持ちは解らなくはないが…。
(コラコラ;)
おまけに。
相手のオバチャンも、眼鏡をかけていたと言い出した。
誰かに事故のことを連絡し、その時に入れ知恵されでもしたんだろうが。
それで、益々、警官の心象は悪くなった。
いくらドンヨリ曇っていた、とはいえ、前方に車が出てくれば気付かぬ訳がない、と。
避けることも出来ないくらい、ダーリンが急に飛び出したに違いない、と。
交通課のお巡りの態度は、最後までコチラを悪者扱いだった。
このままじゃ分が悪い…そう思っていた。
ところが。
何度目かの事情聴取の時、急に旗色は良くなった。
そのオバチャン。
【自分が事故を起こした】
という事実すら否定し始めたらしい。
誰が悪い云々でなく、事故そのものがなかったことにしようと。
いくら警官が、事故当時の状況を聞こうとしても、【事故なんか起きてない】と言って、話しを聞かないのだ。
これじゃ事情聴取どころか、話しすら出来ない。
今度は警官が
「お宅も大変な人に当たったねぇ。」
的発言をし、私達に、そのオバチャンの愚痴っぽい話しまでしていた。
(調子がいいな)
そんな事情だったんで、ダーリンは晴れて無罪放免。
(別に逮捕されてはないが;)
その警官の話しでは、罰金も罰則もないだろうということだった。
一時はどうなるかと思ったが、とりあえずホッとした。
しかし。
簡単に全てが解決、という訳にもいかなかった。
まず、車だ。
助手席側に派手に突っ込まれたベンツは、かなりのダメージを受けていた。
本来なら廃車にしてもおかしくないくらいに大破した車を、でもダーリンはそうしなかった。
まだ購入したばかりだったってこと
(1ヶ月弱)
古いのでなかなか見つからない型だったってこと
彼はこの車に愛着があった。
どうしてもその型が欲しくて、それなりの長い期間、探して、探して、やっと出会えたベンツだった。
で、少し無理を言って、修理してもらった。
この修理屋さん。
おやっさんは、電話でエンジン音を聞いただけで、その車の調子や、悪い箇所を言い当てるってくらい凄い人。
一緒に働いてる息子さんと、可能な限りの修理をしてくれた。
修理費用は保険でまかなえたので、心配なかったが、車の状態は良いとはいえず、かなり頑張ってくれたようだ。
最初車を見た時
「これ…日本車だったら、運転席の人もやばかったよ。たとえ左ハンドルだったにしても。普通の日本車なら死んでたね。」
と、サラッと言った。
正直、ゾッとした。
ダーリンが無事で良かった。
本当に、私が乗ってなくて良かった。
…と、思ったのだが。
そのダーリン。
検査をしてもらうと、ムチウチどころの騒ぎではなかった。
首の椎間板ヘルニア
そう診断が下ったのだ。
どうも、【申請をすれば、障害者手帳が貰えるよ】てな状態だったらしい。
それくらい、酷い状態だった。
が、彼は、またしてもそうしなかった。
普通に自分で、ガッツリ働きたかったらしい。
かなり辛そうではあったが。
やはり、事故の衝撃は相当なものだったようだ。
病院へ通うのも、ひと苦労だった。
昼過ぎから、明け方まで仕事をしているダーリンにとって、休みの度に病院へ通うのは、ある意味至難の業だった。
貴重な休みの日に、ある程度早起きをせねばならない。
大変だったが、定期的に通わないと保険は下りない。
なので最初の頃は、必死で起きて、平日も何度か通った。
保険の関係(もうそろそろ決着つけましょか…的なもの)と、忙しいのを理由に病院へ通うのを止めてからも、数年間は首の痛みに苦しむことになった。
特に雨の前後は。
そして。
その保険。
これが、全く決着がつかなかった。
何故なら、コチラ側と相手側の保険会社が同じだった為だ。
あわよくば、うやむやにしてしまおうというのが、見え見えだった。
その、あまりの対応の悪さに、すぐ保険会社を変えたほどだった。
因みに。
その保険会社は、ほどなく潰れた。