翌日。
お姉さん来部屋。
1時間ほどお話し。
内容は勿論、リブ男の話しが中心。
精神的にダメージを受けていたお姉さんは、その後数日、私の部屋へ通うことになる。
私に話をすることで、リブ男への想いを整理する為に。
数日後。
まだ【情】は残っているので、完全に吹っ切れた訳じゃないが、以前に比べたら気持ちが楽になった、と。
私は私で、一緒にカラオケにも行ったりして、楽しかった。
さて、そのリブ男。
相も変わらず、毎日のように私に電話を掛けて来る。
それも下手すりゃ朝晩。
【体調崩すな】なんて偉そうに言ったかと思えば【アイツ(お姉さん)のことで大変な目に遭った】とグチグチ。
私、アナタの苦情処理班じゃないんですが。
そしてある日。
お姉さんが帰って間もなく、例によってリブ男から電話。
(お姉さんが居る時じゃなくて良かった)
結婚についての言い訳なぞをアレコレ。
彼女の方が、メチャ乗り気で、引くに引けなくなったと。
以前、私に【結婚する】と言った時に、彼女は何処だかに住んでる一人娘で、子どもも居る、と言っていた。
結婚したらリブ男は、今の仕事も辞めると。
私が子どもを連れて来なかったのがいけない、と仰ってたのだから、またまた子連れの相手で、しかもその方は子どもさんも一緒に、なんだろから、良かったじゃないか。
何を文句たれる必要があるのか。
だいたい、嬉々としてアチコチで【結婚する】と触れ回ってらしたの、ドナタだったか?
【色々あって、大変なんだ…】なんて涙ぐまれても、迷惑なんすが?
本当に卑怯な男。
私になつくのはマジ勘弁。
そんな不快な思いに追い討ちを掛けるように…。
ガンビが彼女連れで来店した。
遊園地デートの後、何度か飲みに来ていて、今度、【彼女を連れて来る】的な話しは聞いていた。
聞いてはいたが…だ。
やはり、目の前で自分の惚れた男が、公然と【彼女】と言う女と一緒に居るのを、見たくはなかった。
片思いとかならまだ良いが、付き合っちゃったりしてるのだ。
しかも立場的に、私が【公】になることはないのだから。
オモシロイ訳がない。
そんな私を、一緒に来ていたうーたんが猛烈に激励。
『本当に好きなら、自分が幸せになりたいと思ったら、奪い取るぐらいの気持ちでぶつかれっ!!』
と。
何故そんなに私をけしかけるのかは不明だが…。
私は、人の幸せを奪い取ってまで、自分が幸せになろうとは思わない。
そう。
見る限り、2人は幸せそうだったもの。
私は…身を退こう。
きれいさっぱり。
そう決めた、チョッピリ淋しい夜だった。
仕事の後、ゲンチャンとせましと一緒にカラオケ。
ビールetc.を買い込んで、思いっきり楽しんだ。
更に翌日もお姉さんとカラオケ。
ガンビへの想いを吹っ切るには、最高のタイミングだった。
翌々日。
その日から師走。
師走は、お店が無休になる。
従業員も、男性は休み無し。
つまり、30日ぶっ通しってこと。
女性は30日のうち、2日間休みが貰えるが。
最悪、年末年始も営業となる。
12月は稼ぎ時。
オーナーの方針で、全店舗参加の売り上げ競争月間なのだ。
時間の都合で、営業時間を早めて宴会のお客様を迎え入れねばならなかったりして、ドタバタ月間でもあるのだ。
因みに。
給料は全く変わらず(驚;)。
売り上げ競争に勝つと、上位3店舗に少し賞金が出るのと、プチボーナスが出るのみなのだ。
(1位で10万ほど。それを皆で分ける。プチボーナスは一人数千円から数万円。地位によって違う)
忙しいは、休みは無いは、疲れが取れないは、で、心身共にボロボロ状態。
しかし。
人間てのは結構タフなもんで。
倒れそうなくらいボロボロの癖に、倒れないんだ、これが。
いや、悲しいことに。
そんな師走の初日。
偶然、通常なら定休日である筈のこの日。
(必然的に30日プラス6日ぶっ通しになった訳だが(汗;))
常連さんやら、宴会やらで、予想以上に来客有り。
いや、通常ならば定休日だったので、もしかしたら非常に暇かもしれない、と思っていたので。
まぁ、定休日から無休スタートなのは解っていたので、常連さんやら、お客さんに、事前にお誘いをかけていたのだが。
その中には勿論ガンビも居た訳で。
常連さん達との話しの流れから、私がガンビに化粧をしてあげることになった。
それがバカ受けて、くらりんもやると言い出し、元気とぺこにも。
結局、計4人にする羽目に。
うーたんは【俺は良いや】と、不参加。
みんな、思いの外可愛らしくなったりして、テンションMAX状態で、賑やかだった。
ただ…。
ガンビに化粧をしている時
『もう、電話しないから…。彼女居るでしょ!!』
と言ってしまった。
勿論、彼女が居るのは最初から承知していたが、あまり上手くいってないような話だったから、まだ良かったのだ。
それが、あんなに幸せそうな様子を目の当たりにしてしまっては…。
これ以上のめり込んでも辛いだけだった。
ガンビはちょっと困った顔で、黙っていた。
その話しをうーたんにすると…。
なんと、周りから見えないトイレの前の所で、いきなりkissされてしまった。
その後、少し外に連れ出され、メチャメチャ強く抱きしめられた。
熱く、激しく、壊れてしまいそうなくらい。
そして再び激しいkiss。
『マジで付き合いたいっ!!』
って言われ。
もう、ストンって落ちてしまった。
携帯番号を聞き、翌朝電話することになった。