目を覚ますと
さっきまで あったはずの 温もりは
そこに なかった。
((あ・・・れ?))
慌てて 見回してみても
何処へ行ったのか
彼の姿を 見つけることが出来ない。
((どこ・・・行ったんだろ?))
素肌に シーツを 巻き付けると
ベッドから 降りる。
ひんやりとした 感触を 確かめるよに
テトテト歩く。
家中を 探しても 見つからなくて
ちょっぴり
泣きそうになりながら
ふ、と 外に 目をやると
目の端に 白い影が 見えた。
た・・・たくみ?
恐る恐る 呼び掛けると
ん?
彼の 優しい瞳に 囚われ
思わず 動けなくなる。
なに?
どした?
ふわっと 緩やかな笑顔で 見つめるその目が コッチにおいで、と 呼んでいる。
もー、何処いったかと 思った。
いつ 起きたの?
全然 気付かなかったぁ。
あー、ゆうべは 激しかったもんな、チビ。
だから 呼んでも 気付かないくらい グッスリ 寝てたんだろ?
((ゆうべ・・・ッ!!))
強く握りあった 手と手を 思い出し
急に 恥ずかしくなって
俯く 私の 顔を
背後から シーツごと抱き締めて
イジワルそうに ニヤリと 笑いながら 覗き込む 彼。
も・・・もうッ!ばかッ!
知らないッ!
彼の腕から 逃れようとしたけど
ガッチリ 組み込まれたよに
動くことも 出来ない。
え、忘れたの?
こーしたら 思い出す?
耳元で 囁きながら
私の耳に 歯をたてる。
ひあッ・・・
砕け落ちそうになるのを
しっかりと 支えながら
そんな声 出したら
また 襲っちゃうぞ?
ニヤニヤと 笑いながら
その唇を 首筋に すべらせる。
その 唇が
その 首筋が 燃えるように熱い。
くッ・・・あ・・・
ダ・・・い・・・
ん?
ダメなの?
嫌なの?
別に 俺は 止めてもいいんだけど?
そんなことを わざと言いながら
いつの間にか 抱き抱えられ
ベッドに 沈められる。
イジワル。
拗ねた 唇は
彼に 優しく噛まれ
力を 失ってゆく。
たくみ・・・。
その唇を 指で 確かめながら
名前を 呼ぶ。
何度も。
何度も。
ずっと・・・
ずっと 呼んでいたかった。
彼の 名前を。
タ・ク・ミ
触れる 指先も 熱を帯びる。
タ・ク・ミ
唇を 確かめながら そう呼べるのは
私だけ。
タ・ク・ミ
呼ぶ度に
その 瞳の中の 私が 揺れる。
タ・ク・ミ
彼の 瞳の中で 揺れていられるのは
私だけ。
それを 確かめるように
首に回した手に クッと 力を入れ
自分の 唇を 重ねる。
熱く 襲い来る 波たちを 感じながら
委ねるよに
ココロを
カラダを 開放する。
役目を 終えたシーツが
まるで 波のよに
冷たい床に 漂っていた。