説得する技術~フット・イン・ザ・ドア | 刑事塾 詐欺、採用面接、営業で騙されない、ウソや人間心理の見抜き方講座

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大きな事件、いわゆる「捜本事件」(捜査本部設置事件)といいますが、そんな事件が発生すると通称「地取り班」というチームが編成され、徹底した聞き込みを行います。

例えば、殺人事件は通常は捜査本部事件ですよね。

もちろん小さな事件でも聞き込みはしますけど、大きな事件になると聞き込みオンリーの専従班ができるわけです。

ゼンリンの動態図を区分けして、「ここからここまではA班、ここからここまではB班・・」てな感じで担当エリアを分けます。その後、地取り班はずっーと聞き込みをするんですね。朝から晩まで。

私も若いころ、40日近く、連日に亘り、朝から晩まで聞き込みをしたことがあります。

事件によってですが、担当エリア内の世帯の全家族と接触することが求められるんです。

「全家族??」

そうです。全世帯の家族全員です。

聞く内容は「あなたは事件の発生日時にどこにいて何をしていたか?」がメインです。

いうなれば目撃者探しですよね。そして犯人探しでもあります。

発生現場近くを通ってなかったか、悲鳴は聞かなかったか、犯行を目撃してないか、被害者と接点はないかなど、それで事件に関係するか否かを判断するんです。

家族全員と接触するわけですから、学生もいれば、社会人もいますし、おじいちゃん、おばあちゃんもいますよね。

協力的な人ばかりじゃないので「なに?警察?おれはしらねぇよ。忙しいんだ。」なんて扉を閉めちゃう人もいたり、いろいろです。


そこで、非協力な方にはこう言います。

「旦那さん、忙しいところすいません。3分だけ話し聞いてくれませんか?」

そうすると「3分?しょうがないな、なに?」と話をするのを許してくれることがあります。


もちろん、3分で終わることはないので、なるべく端的に概要を説明して、聞きたいことを要領よく質問して「あ、もう30分くらいいいですか?」・・・なんてもっていくわけです。

まぁ忙しいっていってる人ほどヒマだったりするわけで(笑)。


こんなケースでは最初から「30分くらい時間かかるかもしれないけど話を聞かせて」と大きな要求をしても断れてしまいますよね。要求のハードルが高すぎると相手はなにも考えずに拒絶してくるわけです。

そこで、その前段階で「小さな」要求をのませると、大きな要求をのませやすくなります。


これを「踏み込み法」(フット・イン・ザ・ドア・テクニック)といいます。


つまり、片足だけでもドアの中に入れることを同意させられれば、あとでより大きな要求をしてもやはり承諾させることができるというテクニックなんですね。


私もこの手を使って最長で一時間くらい話を聞いたことがありました(笑)。


興味のない相手を掴まえて話を聞いてもらうには有効なテクニックではないでしょうか。(^.^)