『息子さんは軽度ではありますが、
ADD(注意欠陥障害)傾向にあると思いますね。』
11歳の9月に小児心理発達外来で専門医にそう告げられて7年。
見解を伺った直後は、
すぐにでも特別支援学級にクラス替えをお願いすべきなのか?
どうサポートしていけばいいのだろうか?
本人にはどう伝えればいいのか?
この子は将来社会に出て仕事に就くのは不可能なのだろうか?
などなど抱えきれない程の思いが溢れ続け、暗闇に放り出されたような
そんな言いようのない不安にかられていたあの日。
専門医はそんな私にひとつひとつ向き合ってくれました。
『このまま普通学級にいて何の問題もないですよ。これまで友達とも関係をうまく築けているし、担任からも全く問題ないと回答を頂いていますよ。
本人には忘れっぽい事を自覚してもらい、マメにメモをとる癖をつけるよう教えてあげてください。』
『息子さん程度のADD傾向の人は社会にたくさんいるんですよ。自覚している人もいない人も。息子さんもこれからどんどん学習していって、ちゃんと社会に出ていきますよ。確実に(笑)』
『歌が苦手な人、絵が苦手な人、いろんな人がいるでしょ?息子さんのそれも個性のひとつ。手先が不器用だって理解に多少時間がかかったっていいじゃないですか(笑)お母さん大丈夫ですよ(笑)』
そう仰って優しい笑顔をくれた医師。
おかげさまで今ではADDを持っている事を親である私も忘れてしまうくらいに普通に生活しています。
高校生の頃はやっぱり成績はいつも下位の方だったから忘れようがなかったけれど……
そしてそして、
先月 専門学校を退学し就職先を探していた息子。
『母さん。 俺って何が出来るかな?どんな仕事なら出来るんだろう?』
と、聞かれ
『手先の器用さが求められる仕事と、デスクワークは向かないよね~ でしょ?』
と、答えた私。
私にもわからなかった。
何が出来るのか。
出来ないことはわかるけど。
いろいろ考え企業を探す中、
夫が一言、
『なぁ、お前 農業とかは興味ない?
小4からの野球で体力と根性だけは人一倍あるし、役に立てると思うけどなぁ』
それを聞いた息子が興味を示し、
方向転換。
これまでと職種を変えて探し直し、
見学させて頂き、
面接に伺い、
そして、
採用を頂き、
本日から出勤することとなりました。
2ヶ月間の試用期間があるので、
仮採用という感じかな。
試用期間が終了した時点で
正社員雇用となるとのこと。
お仕事は豚の飼養管理業務。
動物は好きだし、体力勝負と聞き
『自分でも役に立てそう』と
表情は明るい。
少し距離があって車で40分くらい。
まだ免許とって半年だし、かなり心配ではあるけれど、なんでもダメダメと
親の手元に留めて置く訳にはいかないので、新しい大きな扉を開けて進む息子を見守ろうと思います。
心配も親の仕事。
きっとそうなのだと思う。
『何とか息子を社会に出し、親が居なくても自立して生きていけるように支えていかなくては。』
そう強く思ったあの頃。
まだまだ先の事だと思っていた。
でも、まさに今がその時なんだな。
まだまだ何があるかはわからない。
お役に立てる仕事だといいな。
みなさんに可愛がってもらえるといいな。
新しい一歩おめでとう!!
またひとつ大人の階段を登ったね。
どんな時も味方でいるから、
安心して一歩一歩進んでいってね。
あ~ぁ。
帰って顔見るまで落ち着かないな。