先月、母親の実家のある真言宗総本山へ。


 私自身35年ぶりの墓参り。


 母親はそれ以上になる。


 線香も持たず思いつきで家をでた。


 花はきちんと入っている。


 35年前は広い墓地に三軒の墓石や墓標が並んで


 ◯下家の墓に◯林家、◯谷家の墓が並んでいた


 今回は◯下家が奥に。


 手前に1段上げて。


 ◯林家の墓と仕切った枠のみの墓地


 様変わり。しかし、◯下家の墓石は


 苔まみれ。


 しかし、洗い流すものもない。


 杉木立の湿気の多いところなので無理はない


 87歳の母親は必死で素手で触るところの


 苔を取っている。


 淋しい光景


 今までほったらかしにしていた。


 親戚に任せていた。


 花は入っている。


 毎月来よう。


 母が生きている間は連れて来る


 そう誓った。


 5月12日母の日


 母親と妹家族、私達とでスポンジ、たわし


 持参し苔落としに。


 墓の色が出てきた


 そして、祖母は30歳水子とともに


 母の兄は27歳、母の弟は21歳で


 なくなっている。


 父親は年齢は入っていない。


 祖母は子宮外妊娠で母が


 まだ幼いときに。


 弟は友人たちと起業した運送会社


 その運送会社は今も存在してる。


 金銭搾取の嫌疑をかけられ、捨身で


 無実を。その後犯人わかった。


 兄は、結婚し妊娠出産を、間近で◯の川へ


 鮎釣りに。


 流れに流れて下流で発見。


 長男の顔も性別もわからないうちに


 命を奪われた。


 母が目が不自由で、母の将来を。


 心配した父親が、豆腐店を始めた


 親戚に手伝ってもらい軌道にのった。


 当地方の名産 ごま豆腐を商いにしている。


 しかし、軌道に乗った矢先、


 行方不明となる。


 母を残して。


 母を疎ましく思う親類は盲学校へ進学させた


 高校を卒業している母だが、高校から


 行き直させた。


 父は中学の時に転入し盲学校


 ここで出会うが母は父より5歳年上である。


 母は、よくもてた。


 父とは卒業の時に父から淡路島で修行する。


 一緒に。そう誘われた。


 そして高野山には訣別した。


 子供を身ごもり父の実家へ


 三人の娘に恵まれた。


 母はできる子供が、女ばかりを


 喜んだ。父は残念がった。


 母は男の子は家系的に弱い。


 もう突然自分の前からいなくなることが、


 無いように、女の子を喜んだ。


 そんな母親は実家がない。


 場所や工場やお店はある。


 しかし、好まれない。


 叔母などの葬式の時くらいしか帰らない。


 だから35年以上墓参りをしていない。


 私は実家や旦那の墓参りなど毎月何回も行ってる。


 母親に毎月ここへと誓った。


 5月母の日に二回目の墓参り


 線香とタワシ、スポンジ、水を持ち


 墓石はほんのりピンク色


 皆若くして亡くなっているからなんだろう。


 母親に私の知ってる限りの出会いたいであろう


 近所の方に会わせた。


 母は  長生きしてみるもんや。


 と、何度もつぶやく。


 これで思い残すことないとか思わず


 来月も行くんやでと。声をかけた。


 背が丸くなり、目はもちろん見えない。


 耳も聞こえないが、小さくなった母に


 親孝行の真似事を毎月重ねていきたい。