ビタミンCは血管で何をしているの:内皮細胞を大きくして血管を拡張し血流を増加して炎症抑制します | 青山ヒフ科クリニック院長Dr.亀山のオフィシャルブログ

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表参道にある青山ヒフ科クリニック 院長 亀山孝一郎のブログです。

前回はぜビタミンCは皮膚の血流を増加させるのに皮膚の色を白くするのかを解説しました。

要はビタミンCは血管の壁を構成する内皮細胞を大きくして、血管の拡張をすると同時に

内皮細胞同士の隙間を低下させて、外から赤血球が見えないようにして赤みを低下させると同時に

炎症性細胞が血管の外に出て炎症を起こすのを抑えるためです。

 

ビタミンCのこの作用は皮膚におけるニキビ、赤ら顔やアトピー性皮膚炎の発症をある程度抑制するとともに

慢性炎症を抑制して全身や皮膚の老化や発がん糖尿病、高血圧、心血管病変を抑制することにつながるのです。

ビタミンCの血管に対する作用についてさらに解説します。

 

左はビタミンCなしの人の内皮細胞で構成される毛細血管です。血管の直径は小さく、内皮細胞と内皮細胞の間には隙間があるので、炎症性のサイトカインや炎症性細胞が外に飛び出すことが可能です。内皮細胞同士の隙間から赤い赤血球が透けて見えるので、血管は赤く見えます。酸素の飽和度が低下した状態では血液は黒くなり、眼の周囲特にクマは青くなります。生理的濃度のビタミンCを培養液に添加すると内皮細胞は大きくなり、細胞同士が密に結合するようなり、血管内の液体成分や炎症性細胞は外に飛び出すことができなくなります。この状態を透過性が低下したといいます。透過性が低下した血管は炎症を強力に抑制します。一つ一つの内皮細胞が大きくなるので、血管の直径も大きくなり、血管内を流れる血流も増加して、組織に酸素、糖質、脂質をより多く届けることが可能になります。

赤味の強い皮膚の血管を横切りにした図です。血管の直径は短く、内皮細胞同士の隙間から血管の中の赤血球が透けて見えるので皮膚は赤く見えます。

ビタミンCが作用した血管を横から見ました。内皮細胞が大きくなり、血管直径は増加して血流が増加しますが、内皮細胞も大きくなり、その隙間がなくなり、赤血球が透けて見えないので皮膚は白くなります。

すなわちビタミンCは内皮細胞を増大させ血管の直径を大きくして、血流を増加させると共に、内皮細胞を増大させて、内皮細胞同士の接触を密にして赤血球が外から見えないようにして赤みを低下させる作用を持っています。この時血管内の炎症性細胞が血管の外に漏れ出ることもなくなり炎症が抑制されるのです。

 

ビタミンCで内皮細胞が大きくなった状態は血流が増加して、末梢に届けられる糖質や脂質などの栄養素が増加して末梢の代謝が上がります。また血管から漏れる炎症性細胞は炎症をおこして活性酸素を生じますが、炎症性細胞の血管の外への漏れ出しは抑制されて、活性酸素の産生は低下します。実はこの状態が、皮膚や全身の老化を抑制するのには極めて都合がいいのです。老化は、代謝速度の低下と活性酸素によるダメージの蓄積が起こすとされています。ビタミンCは血管を構成する内皮細胞に働きかけて、老化を抑制する尾です。ビタミンCが血管外の組織でのミトコンドリアの代謝を上げて活性酸素を消去しますが、内皮細胞および血管に対する作用もとても重要な作用です。

 

皮膚でニキビや脂漏性皮膚炎などの炎症が起きている場合はどのようになるのでしょう?

血管周囲は肥満細胞やマクロファージなどの炎症性細胞が常に少数存在して、外来性の細菌やウィルスなどの存在を常にチェックしています。アクネ菌が分泌する蛋白分解酵素などを感知した肥満細胞やヒスタミンや蛋白分解酵素そしてサイトカインを放出して炎症を起こします。ヒスタミン、ブラジキニン、そしてトリプターゼなどの蛋白分解酵素は血管内皮細胞に作用して内皮細胞同士の隙間を大きくして血管内の炎症性細胞が容易に結果買いに飛び出してアクネ菌を一掃しやすい状況を作ります。

 

上の図の左が平常状態。中央がビタミンCなどにより血管透過性が低下した状態。右が炎症の状態の血管です。炎症では内皮細胞の拡大機能を上回って血管が拡張して血流が増加して多数の炎症性細胞を病巣に送ります。このとき液体成分も炎症性細胞と一緒に皮膚に漏れ出して皮膚は水分で膨らんだ状態、むくみをきたします。

上の図はニキビの組織反応です。炎症性細胞が血管内皮細胞同士の隙間を通り抜けて血管外に漏れ出しえいます。いわゆる透過性の高い血管です。炎症性細胞は血管内にある時は赤血球の分泌する物質により過剰なサイトカインや活性酸素の産生は抑制されています。血管外に飛びだした炎症性細胞は活性酸素や蛋白分解酵素そしてサイトカインを産生してアクネ菌を駆除しようとして炎症を引き起こします。この時アクネ菌だけでなく周囲の正常組織もダメージを受けてクレーターを生じます。

これに対して正常皮膚で内皮細胞同士はしっかりと接着して、炎症性細胞が血管外に漏出するのを抑制しています。ビタミンABCやグルタチオンはこの状態のまま、内皮細胞を大きくして血流を増加して、末梢組織の代謝を上げるのです。局所の炎症を抑えるには局所の炎症性細胞がサイトカインや活性酸素などを産生するのを抑える必要があります。そのためには血管から炎症性細胞が漏れ出ないようにすることも大切なことなのです。

上の図にニキビの炎症が始まる場合を示します。アクネ菌が産生する菌体外毒素や蛋白分解酵素を認識した肥満細胞などの炎症性細胞はヒスタミンやトリプターゼなどの内皮細胞の隙間を広げる因子を放出します(上の図1)。その結果内皮細胞同士の間隔が増加(上の図2)が増加して炎症性細胞が血管から飛び出して皮脂腺、毛穴の周囲でサイトカインや活性酸素を放出して炎症を生じて、アクネ菌を一掃しようとします。この時放出されたヒスタミンや蛋白分解酵素がさらに内皮細胞の隙間を大きくして炎症性細胞を血管外に流出されで炎症を激しくしたり(上の図3)、正常組織にダメージを与えます(上の図4)。ビタミンCは炎症の出発点である1の段階を抑制して炎症を抑えるだけでなく、皮脂腺や毛穴周囲の炎症性細胞が活性化してサイトカインや活性酸素を放出することを抑制するだけでなく、皮脂分泌を低下させてアクネ菌を低下させすのです。炎症を抑える段階で今までは内皮細胞間の隙間を少なくするという考えはあまり注目されてきませんでした。

 

すなわちビタミンABCやグルタチオンは内皮細胞を増大させ血管の直径を大きくして、血流を増加させると共に、内皮細胞を増大させて、内皮細胞同士の接触を密にして赤血球が外から見えないようにして赤みを低下させる作用を持っています。この時血管内の炎症性細胞が血管の外に漏れ出ることもなくなり炎症が抑制されるのです。

 

いままでは病巣の炎症が治療を行う際のメインターゲットでした。

青山ヒフ科クリニックでは血管に注目して血管からの炎症を抑える事も重要視しています。

血管発の炎症を抑えるには内皮細胞の隙間を低下させて炎症性細胞がすり抜けることができないようにすればいいのです。

その目安となるのが皮膚の赤みです。

皮膚の赤みが低下した皮膚では炎症が起きにくくなっているのです。

 

青山ヒフ科クリニックではビタミンC同様に内皮細胞の隙間を低下させ炎症を抑制する物質を

ピックアップしてニキビ、赤ら顔に対する効果を検討してすでに優れたデータを得ています。

もう少ししたら発表する予定です。

ご期待ください。