人のグルコース6リン酸を中等度に発現するマウスは動きが活発になり長生きします | 青山ヒフ科クリニック院長Dr.亀山のオフィシャルブログ

青山ヒフ科クリニック院長Dr.亀山のオフィシャルブログ

表参道にある青山ヒフ科クリニック 院長 亀山孝一郎のブログです。

僕がNrf2のことを詳しく述べてきたのには訳があります。

もうすぐ明らかにするつもりですが、もう少しお待ちください。

 

紫外線を浴びたり運動をするとNrf2という転写因子が活性して

グルタチオンというトリペプチドの合成を促進します。

またグルコース6リン酸脱水素酵素(G6PD)という酵素を活性化させてNADPHという水素原子の供与体の産生を増加させます。

グルコース6リン酸という酵素は解糖系のひとつでるペントースリン酸回路(PPP)の中で

その代謝速度を決定する重要な酵素です。

人間ドッグでペットという癌を見つけだす検査をしたことがあると思います。

増殖の盛んな癌細胞ではPPPが活性化して大量のNADPHを作っています。

PETという検査はPPPの活性化があるかどうかを見つけ出す検査なのです。

実はほとんどのがん細胞ではPPPが活性化しているのです。

 

なぜPPPが活性化するかというとPPPで作られるNADPHが増殖の盛んな細胞では大量に必要とされるからなのです。

上の図に示すように運動 ビタミンABC(特にビタミンB3) PQQなどでNef2が活性化すると

G6PDが活性化され、NADPHが大量に産生されます。

細胞の増殖が盛んになると、ミトコンドリアの電子伝達系などで活性酸素が大量に生じます。

活性酸素はビタミンCで還元されます、その結果ビタミンCが酸化します。

酸化したビタミンCを還元するのはグルタチオンです、その結果グルタチオンが酸化します。

酸化したグルタチオンを還元するのがNADPHなのです。

代謝の盛んな細胞では大量の活性酸素が生じますが、それを消去する系の最後の切り札がNADPHなのです。

 

上の図でグルコース6リン酸からリボース5リン酸を作る酵素がグルコース6リン酸です。

作られたNADPHはDNAの基本構造であるヌクレオチドを持っており

増殖の盛んな細胞のDNAの合成に使用されます。

皮膚ではダメージを受けた表皮角化細胞の修復、増殖に使用され代謝の盛んな肌を実現します。

すなわちG6PD/NADPH系は代謝の盛んな細胞では特に重要な役目を果たすのです。

人のG6PDという酵素をマウスに遺伝子的に発現するようにすると、マウスは筋力増強、動きが活発になる

メスでは寿命が延長するという結果が得られました。

 

いままでビタミンC、あるいはビタミンEだけをマウスに投与ししても寿命は延長しませんでした。

この実験では寿命が延長しました。

G6PDの発現によりグルタチオン、NADPH、ビタミンCが増加します。

これらの物質が包括的にあるいはチームとなってマウスに作用して代謝を上げて、活性酸素を消去したために

寿命が延長したのだと考えられます。

 

G6PDはNrf2により活性します。

Nrf2の発現を強化したマウスでは、皮膚のバリア機能が低下し、寿命は延長しませんでした。

Nrf2の活性を抑制するKeap1という蛋白の活性を抑制したマウスでは食堂の壁の過剰増殖で

マウスが食事が胃に届かず生後2から3週間で死んでしまいました。

 

Nrf2を活性化するよりもその下流にある酵素を選択的に活性化したほうがいい結果がでた。

これがNrf2を直接活性するのではなく、その下流にあるものを選択的に活性化したほうがいいのではないかと

以前述べた理由です。