壽初春大歌舞伎 昼の部 | MamMa Mi〜A ♡アナウンサー 青柳万美のBlog  

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大阪松竹座で今月上演されている壽初春大歌舞伎。

先の記事に書きましたが今回は四代目中村鴈治郎襲名披露の興行です。
夜の部をすでに拝見し、今度は昼の部を、と思っていた所大阪松竹座さんからお声掛け頂き、先日月曜日に劇場へ行って参りました。
中日近くになって、場内も活気がさらにあふれてきたように感じられましたよ。
幕間のお弁当でも人気、はり重さんのビフカツサンドも早々に売り切れとなっていました。

昼の部の演目について
○幕開きは『寿曽我対面』
江戸歌舞伎では正月に曽我狂言を上演するのが吉例になっていました。
しばらくと同じように荒事を取り入れ、悪霊を沈め一年の平安を願うという祝祭性を持たせている作品です。
工藤は座頭が演じる立役、和事の十郎と荒事の五郎、道化の朝比奈、立女方の虎、若女形の化粧坂の少将、実事の鬼王、敵役の梶原親子、と歌舞伎の様々な役柄がそろっているのも見所で、様式美を堪能出来る作品なのです。
おめでたさ、を感じられるので、この初春に、そして襲名にふさわしい狂言です。
工藤祐経:中村橋之助
曽我五郎時致:片岡愛之助
鬼王新左衛門:片岡進之介
曽我十郎佑成:中村扇雀 ほかの皆さんです

○続く襲名披露狂言は『廓文章』。
新町の揚屋吉田屋を舞台に繰り広げられる和事です。
上方の大店の若旦那伊左衛門は、大阪新町の郭で全盛を誇った夕霧太夫と恋仲になり、七百貫の借金を抱え、家を勘当となってしまいます。
紙衣に身をやつした伊左衛門ですが恋しい夕霧病の噂に、吉田屋にやってきたのでした。
そんな伊左衛門を若旦那として大切に扱う吉田屋夫婦。
夕霧と伊左衛門の恋模様が常磐津にのせて、はんなりと繰り広げられます。
『夕霧阿波鳴渡』では悲しい夕霧の物語なのですが、この吉田屋は明るいシーンで幕切れなので、悲しくなく、ダメ男でありながら伊左衛門♡と思えるので楽しいです。

伊左衛門を初演した初世坂田藤十郎は生涯の当り役の一つとし、初世鴈治郎より「玩辞楼十二曲」として繰り返し演じられた上方歌舞伎の和事を代表する作品です。
四代目を襲名する中村鴈治郎さんはこの伊左衛門を初役として演じておられます。
襲名まで取っておかれたのだとか。
相手役の夕霧は父の坂田藤十郎さんが。
吉田屋夫婦に中村梅玉さんと片岡秀太郎。
このとき、秀太郎さん演じるおきさと伊左衛門のやりとりは襲名ならではの遊び心が込められています。
中村橋之助さんも、「え?そんなお役で?」というところで登場されますし、愛之助さんも舞台に登場。
秀太郎さんと親子共演にもなり、正月と夕霧と伊左衛門の大大円を迎える吉田屋の華やかさはそのまま襲名の華やぎにつながっているような幕でした。

○お昼の部の〆は『河内山』。
お数奇屋坊主(江戸城で将軍や重役、大名たちにたいして茶道の接待役を務める)の河内山。
質屋上州屋の店先で、持参した桑で作った木刀を五十両用立ててほしいといいます。
はっきりいってワルです。
けれども、上州屋の娘藤が奉公に出た松江出雲の守から愛妾にならないならば手討ちにすると言われ窮地に陥っているときき一肌脱ぐことにします。
もちろん、報酬は前金で100両、成功すればもう百両を要求。
(やっぱりワル・・・)
果たして松江邸に東叡山の使僧としてやってきた河内山。
藤を助けることが出来るのでしょうか。

河内山宗俊:片岡仁左衛門
松江出雲守:中村梅玉
後家おまき:坂東竹三郎
高木小左衛門:坂東彌十郎 ほかのみなさんです。

「たとへ騙りの名はあっても、お城を勤めるお数寄屋坊主。此(この)河内山は直参だ、高が国主であろうが大名風情に裁許(さいきょ)をうける謂(いわ)れはねぇ。」と威勢のいい啖呵を切り、「馬鹿め」と一喝し悠々と去っていく様は黙阿弥狂言ならではでとっても痛快。
いや、騙りと本人が名乗るように河内山はワルなんですが、悪人ではない訳です。
これは江戸歌舞伎ならでの主人公像ですね。
(ま、ルパンたちが泥棒なのにヒーローに見えてくるようなものです。ルパン三世って現代版白浪ものなのね♪)
昼の部の最後の台詞は「馬鹿め」なのですが、胸がスッとするので「たのしかった~」という気持ちで劇場を後に出来ます。
でも、劇場を出る前に、こちらも忘れちゃいけません。

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廓文章を見ると買いたくなってしまうのがこのお菓子「夕霧」。
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井筒八ツ橋本舗さんによる粒あんいり生八ツ橋です。
ニッキとゆずのセットです。
美味しいんですよ音符劇場のお土産におすすめ

初春大歌舞伎もいよいよ中日を過ぎました。
土日に、という方はわずかなチャンスをしっかり掴んで下さいね。

2月の襲名披露興行も、座組が変わりますし、昼夜どっちも見たい!という演目が並んでいます。