アゲイン 28年目の甲子園 | MamMa Mi〜A ♡アナウンサー 青柳万美のBlog  

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映画、舞台、そして人と食!
日常のあらゆる"おいしい出会い"に感謝をこめて 

高校球児たちが憧れ、その土を踏むために汗水をかける甲子園。
そのあこがれの地で、出場の有無も世代も関係なく、出身校別にチームを組んでもう一度野球をたのしむ「マスターズ甲子園」。
2004年に神戸大学発達科学部に事務局が発足し、第1回大会が開かれました。
この大会応援団長も務める重松清さんの小説『 アゲイン 』を原作にした映画が『 アゲイン 28年目の甲子園 』です。

東日本大震災で死亡した父が残したのは出されることのなかった年賀状。
なぜ父はこのはがきを出さなかったのか。
昔、一球入魂を語っていた父の姿を、その思いを知りたいとマスターズ甲子園の事務局に参加し、かつての仲間を訪ね始めた戸沢美枝(波瑠)。
戸沢のマスターズ甲子園への誘いに「なんで今更」と返答する元キャプテンの坂町晴彦(中井貴一)。
美枝の父・典夫が地区大会決勝前日に起こした事件も大きく影響しているようで—。
ただ夢だけを追っていた10代を終え、人生の様々なシーンを経験した「おやじ」達は
何を得て、何を失ったのか、過去を見つめて今を生き直す姿が描かれます。

人はだれでも心の底にささったトゲのようなしこりを抱え、受け入れ、生きていきます。
一つではなく二つ、三つと。人生を重ねるごとに増え、時には折り合いをつけ、時には深く埋め込んでいき、やり過ごすトゲ。
でも何かをきっかけに向き合い決着をつけないといけないことも、ある。
 そのことをあらためて気付かせてくれる作品です。

中井さん演じる坂町が、2度と野球をするな! その言葉を掛けたことを、真実を知って悔やんだことがわかる「良かった」という台詞まわし。
柳葉敏郎さん演じる元エース髙橋が見せるプライドと男気。
仲間のために最高の送りバントをする親子。
本がしっかりしているからこその見応えです。
もちろん、監督脚本をつとめた大森寿美男さんの感性、吹き替え&CGなしの野球プレー撮影のために満身創痍で白球を追い撮影に臨んだ役者陣、撮影を支えたスタッフの熱い思いもあってこその完成度。
フィルム撮影にこだわったのも、デジタル全盛の中で嬉しいこだわりではないでしょうか。

試合開始の合図、スタンドの声援、そんな球場の音だけでひたむきな球児の姿が浮かぶ。 この暗黙の了解が成立するのは「高校野球」がそれだけ身近であるということ。
これってすごいことですよね…と映画の冒頭から考えてしまいました。
エンドロールに流れる浜田省吾さん書き下ろしの主題歌『夢のつづき』もぐっとくる、
世の父親におくる曲です。
この映画はもちろんサッカーでも、どんなスポーツでも成立するとおもいます。けれど、いつまでもどこまでも「やっぱり子ども」な男だからこそ成立するのかな~。
世のお父さん方には、是非息子さんを連れて「男同士で映画鑑賞」に出かけてほしい、そんな作品と思いました。

今月17日に封切られ、現在全国で絶賛公開中です。
春のセンバツ出場校も決まりました。
プロ野球もまもなくキャンプイン。
「球春」直前。
まずは映画館で、野球という夢にかける姿を注視してみませんか?

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『 アゲイン 28年目の甲子園 』
1月17日~公開中
公式HP http://www.again-movie.jp