源氏物語⑫ | 古文,読んでみよ?

源氏物語⑫

こんばんは。

 

お読みくださり、ありがとうございます。

 

古典文学を読んでいると、人間の心って、昔も今も変わらないんだなぁ〰と思わされる瞬間があります。

 

特に『源氏物語』は、人間の機微が本当によく描かれているな、と思います。それを少しずつお伝えできればな、と思っています☆

 

「若紫」より。

光源氏は、後の紫の上を将来の嫁に!と彼女の祖母などに結婚を申し込んでもなかなか許してもらえません。そりゃあ、源氏18歳、紫の上10歳!

でも、引き下がらないのが、光源氏。その、紫の上への執心を、従者である惟光が端から見ている場面。惟光の心情です。

 

(光源氏)

「少納言の乳母といふ人あべし。尋ねて、くはしう語らへ」などのたまひ知らす。

 

(惟光の心情)

さもかからぬ隈泣き御心かな、さばかりいはけなげなりしけはひをと、まほならねども見しほどを思ひやるもをかし。

 

(現代語訳)

(源氏は、紫の上の世話役が少納言の乳母であることを、のぞき見のとき以来記憶している。源氏は、その側近の乳母をつてにと考え、身分相応の惟光を遣わす。(『新全集』頭注より)

 

(光源氏)

「少納言の乳母という人がいるはず。その人を尋ねてこまかく相談せよ。」とお言い聞かせになる。

 

(惟光の心情)

「こうもまあ抜け目のないお心ではあるよ。あんなにもまだ幼げな様子だったのに」と、ほんのちらりとであるが、自分もその人をのぞき見したときのことを思いだすにつけても、惟光はこのなりゆきをおもしろく思っている。 

 

 

従者の惟光は楽しんじゃってますよね。主人(光源氏)は必死なんですけどね。

 

惟光の心情にも手を抜かない紫式部。小説家って、こういうものなんですね。